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Stan Wawrinka

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 生年月日: 1985.03.28
 国籍:   スイス
 出身地:  ローザンヌ(スイス)
 身長:   183cm
 体重:   81kg
 利き手:  右
 ウェア:  YONEX
 シューズ: YONEX
 ラケット: YONEX VCORE Pro 97 330
 プロ転向: 2002
 コーチ:  Magnus Norman, Daniel Vallverdu

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 世界最高のシングルバックハンドを軸としたベースラインからの強力なストロークによる重厚かつ攻撃的な組み立てと、その中でトドメを刺す豪快なビッグショットを持ち味とするスイスのNo.2プレーヤー。プレースタイル的には大きな弱点はなく、様々なプレーを織り交ぜつつ総合力で勝負する正統派のオールラウンダーといえるが、やはり最大の魅力であり相手にとって脅威となるのは凄まじいキレとパワーである。また、驚異のスタミナを誇り、経験に伴って手に入れた鋼のメンタルとともに、「Stanimal」という異名にあるような彼の野性的な強さを支えている。他にも「Stan The Man」という愛称もあるが、これも彼の強靭さを表すものである。彼にとって最初のブレイクイヤーは08年で、ローマでのマスターズ初の決勝進出によりトップ10の仲間入りを果たすと、北京五輪の男子ダブルスではフェデラーと組んで金メダルを獲得した。その後数年は思い通りに成績が伸びず苦しんだが、13年にノーマンがコーチに付くと特大の潜在能力が覚醒。そうでなくともスイス出身のプレーヤーの中では歴代屈指の強豪であったが、フェデラーという高すぎる壁の前でその存在は隠れがちだった。しかし、14年全豪では2強とも言われたナダルジョコビッチを破ってのグランドスラム初戴冠という偉業を成し遂げ、世界的な人気や知名度が急上昇した。また、15年全仏ではキャリアグランドスラムに向けて死角なしと言われ、実際にあと一歩に迫ったジョコビッチを決勝で一蹴しての初優勝を果たし、ビッグ4の牙城を崩す勢いを見せている。一方デビスカップにおいては、フェデラーが参加に消極的だった時期でも、エースとしてチームを牽引していたことは非常に高い評価を得ており、14年にはついにフェデラーとの二頭体制でスイスに初タイトルをもたらした。基本的にはクレーを得意とするタイプであるが、球威で勝負するハードヒット主体のテニスは、ハードコートでも絶大な強さを発揮する。左腕に刻まれたフランスの劇作家サミュエル・ベケットの名言“Ever tried. Ever failed. No matter. Try again. Fail again. Fail better.”のタトゥーが有名で、これは彼のテニスあるいは人生における哲学であると話している。また、最近は試合の要所で見せる右手人差し指で自らの額を指さすポーズが彼のトレードマークとなっている。

広角に散らすパワーショットと戦略的な組み立て

 ストロークはフォアハンド、バックハンドともに溜めの長いテイクバックから非常に速いスイングスピードで鋭いボールを打ち込む。威力を落とさずとも非常に広角にボールをコントロールできる点が強みで、角度をつけるショットは本来技巧的な側面が強いが、彼の場合両サイドともにコートを鋭角に抉るような「豪快なアングルショット」を大きな武器としている。彼に先制攻撃を許して守り切れるプレーヤーはツアーでも数少なく、とりわけベースライン付近に留まってストロークを打ち、ネットにも盛んに仕掛けることができている時の彼を止めるのは困難を極める。逆に悪い時の彼は、ベースライン後方に取ったポジションからなかなか内側に入ってこない傾向がある。一発のショットの破壊力に目が行きがちだが、ラリーの組み立てのうまさも兼ね備えており、バラエティーに富んだショットを相手や試合状況によって使い分けて、常に理詰めのプレーができる戦術派の一面も持つ。また、サーフェスによって戦い方を変えるのも特徴で、ハードコートではパワー重視のショット選択が多い一方、クレーでは前後のポジション取りを強く意識したより戦略的な組み立てを実践する。かなり後方で構えてもその分だけボールを飛ばせるのが彼の特徴で、ボールに回転をかけてネット上の高い位置を通すことで相手のペースを落とし、その後に自分のタイミングでペースを上げる。この流れに嵌ってしまうと相手とすると有効な対抗策はほとんどないに等しい。このように、戦術として強引にでも攻撃することを意図している時は別として、ラリーでは忍耐強く落ち着いた組み立てを見せる。

史上最高との呼び声高いシングルバックハンド

 クロスでもストレートでも打点を相当前に取りつつ体軸をダイナミックに回転させながらインサイドアウトの横振りスイングを正確に実現する、独特なフォームから繰り出され史上最高との呼び声も高い強烈なシングルバックハンドはバブリンカの絶対的な武器であり、その抜群の威力と精度から美しい軌道を描いてウィナーを量産する。ラリーの中で普通に打っているクロスのショットが常にウィナー級というのが、相手にしては恐怖を感じるところで、スライスなども交えて何とかその感覚を狂わせたいのだが、並のスライスでは簡単にオープンコートへ強烈なウィナーを打ち込んでくる。とはいえ、彼自身無理な攻めで自ら崩れることは少なく、コントロール重視のスピンショットや安定感のあるスライスを駆使して、メリハリをつけながらチャンスをじっくり待ち、相手がしびれを切らしてペースを上げてきたところを逆にカウンター気味に鋭く展開する。特にダウンザラインやコート中央部から逆クロス気味に放つショットは彼が最も得意とするところで、決まり出すと文字通り手がつけられない。上半身にパワーがあるため、通常なら力の入りにくい膝や顔の高さまでどの打点からでも、またベースラインはるか後方や外側に追い出されたところからでも同じように強烈なショットを打ち抜ける極めて特異な能力を持ち、相手としては常に警戒していなければならない。

劇的進化を遂げた強打のフォアハンドでバック頼みを脱却

 フォアハンドは厚いグリップとややオープンスタンスで、本来ならばテンポを上げるショットを打ちづらいが、彼の場合はそこからでも早いタイミングでボールを捉えることもできる。ここ最近はフォア強化の過程で、テイクバック時にラケットヘッドを立てて構えることで、上から叩いてポイントを取ろうとする意識が高まり、チャンスにはしっかりと左足でステップインして打つようになった結果、バックにも引けを取らない破壊力を備えるようになり、攻撃的なテニスに新たな武器が加わった。とりわけフォアのクロスの打ち合いに強く、十分な深さと角度で相手を攻め立てると、甘くなった返球に対して逆クロスへの強打を叩き込む形もバックに劣らず決定力が高い。

揺さぶりや変化に耐える柔軟性が課題

 ベースラインでのハードヒットの打ち合い、すなわち真っ向勝負における強さは間違いなくツアーで一、二を争うレベルであるものの、前後の揺さぶりやペースの変化によって翻弄されると、彼本来の良さを消されてミスが増える傾向がある。また、対戦相手の特徴に合わせて用意してきた1つの作戦に少し固執しすぎるところがあり、試合の中でプレーを切り替える戦術的な判断力や修正能力に磨きをかけたい。今後はどんな相手にも対抗できる柔軟性を身につけるとともに、自らも前後の組み立てを有効に使えるようになりたいところだ。

屈強な肉体から繰り出すパワフルなサーブ

 全身バネのような屈強な肉体を活かすため、あまり上半身を捻らずシンプルにボールに力を伝えるフォームが特徴的なサーブは、最速220km/hを超えるツアー屈指の高速フラットサーブを武器にエースやフリーポイントを連発する。以前は精度や配球にムラがあり、威力の割に効率良くポイントを取れないケースが目立っていたが、最近はとりわけワイドへのスライスサーブの精度が増したことで、サーブからの攻撃のバリエーションも増え、サービスキープ率が上がってきた。加えて、スピードを抜いたサーブも交ぜてくるため、リターン側としては速いサーブにタイミングを合わせるのは容易なことではない。全体的に確率が悪く、確かにいつ入ってくるか分からないという部分で1stポイント獲得率が高い側面はあり、それほど確率に関係なく盤石なサービスゲーム運びができるタイプのプレーヤーであるとはいえ、不用意なブレークを許さないためには安定感アップが必要である。ただし、2ndになっても容易に攻撃を許さないのが彼の強みでもあり、スピード・深さ・回転量のいずれも高次元で備え、ポイント獲得率もとりわけ近年はツアーでも上位に位置する。

両サイドで思考の異なる巧みなリターン

 リターンでは速いボールに対して面を差し出して合わせる感覚に優れ、とりわけデュースサイドではベースライン付近でスライス系のブロックリターンを使うことが多い。一方アドバンテージサイドでは、ポジションを目一杯下げたところから軌道を上げたトップスピンで返球することが多く、当然これは確実性を重視してのことなのであるが、同時にそれを攻めの一手としても機能させることができるのは、パワーのある彼特有の特徴である。こうしてリスクをある程度軽減しながら攻撃的にいくことができるのが大きな強みだ。ブレークポイントなどでは積極果敢にフォアの回り込みを使って、リターンエースを狙っていく姿勢も見せる。

お手本にしたい基本に忠実なネットプレー

 ダブルスでの実績が証明するように、ネットプレーも高いレベルでこなせるため、ラリーの中で相手を押し込む展開に持ち込めれば、頻繁にネットに詰めてボレーで決める。驚くほどの柔らかさや天才的なタッチがあるわけではないが、リターン同様反応が速く、確実にコースへコントロールする基本に忠実なボレーは手本にしたい部分だ。また、ドロップショットなどで前に出された時の対応にも難はなく、中でも逆にロブで相手の頭上を越すプレーを得意とする。

ビッグマッチで生きる無尽蔵のスタミナと攻撃的メンタリティ

 基本的にコート上では淡々とプレーを続けるが、性格は意外と短気で、重要なポイントでの際どいジャッジや不甲斐ないミスには声を荒げて怒りを表す。また、勝敗を左右するポイントでは一打ごとに声を出し、決まると雄叫びとともにガッツポーズを見せる。すでに長年に亘って安定してトップ30には位置していた彼を、もう1つ上のレベルに押し上げることとなった要因がフィジカルとメンタルの向上である。競ったセットを落とすと明らかに戦意を喪失したような姿を晒してプレー全体が雑になったり、アンフォーストエラーが出始めると続いてしまったりといった悪い癖が複数あり、停滞を生んだ最大の要因であったが、13年あたりからその気配は消えつつある。逆に、ピンチでも我慢強く戦い、それを凌ぎ切ることでメンタル的に相手を追い詰めていくことさえできており、今までは上位陣にとって“危険なプレーヤー”の域を出なかったが、ついに本当の意味でトップと肩を並べられる存在になったといえるだろう。この無尽蔵のスタミナとぶれることのない攻撃的なメンタリティが特に生きてくるのが5セットマッチ、すなわちグランドスラムで、序盤に劣勢に立たされても体力勝負に持ち込みながら自らは凄まじい集中力の中でパワフルに打ち抜くスタイルを貫いて徐々に差をつけていくことができる。また、環境の変化を新たなモチベーションにして結果に結びつけるのがうまいプレーヤーであり、10年夏のラングレン招聘直後のグランドスラムでの躍進、あるいは13年よりコーチに迎えたノーマンの下では大事な試合でのパフォーマンスとプレーの継続性が飛躍的に向上した。

歯車が狂うと自滅する一方、ハマると誰よりも強い

 近年彼のテニスは相手に覚えられてきたことで、これまでとは打って変わって、バックで粘りフォアで攻めるスタイルにモデルチェンジを施し、13年に入って実を結ぶ形となった。それまでは最大の武器であるバックのダウンザラインに頼る展開が多かったのが、フォアの強打という新たな武器が加わったことで、バックは“ここぞ”という肝心な時にとっておけるようになったのだ。ただし、14年以降はビッグタイトルを獲得する反面、格下に呆気なく敗れての早期敗退や不可解な逆転負けも多く喫するなど、好不調の波が非常に激しいところが見られる。特にグランドスラム以外の大会では疲労感を感じさせる覇気のない戦い方が散見され、モチベーションの維持に苦しんでいるようだ。テニスの面では、好調だからこそ決まっているショットを不調時にも無理に打とうとしてミスを連発する傾向は治り切っておらず、劣勢な試合展開やあるいは逆にリードが広がりすぎた時のパフォーマンスに不安を抱えるなど、試合運びのうまさという部分で更なる成熟が求められている。歯車が狂うと相手に関係なく自滅する一方で、ハマると誰よりも強い。そんな魅力を携えた彼がノーマンとの良好な関係の中でキャリアの充実期を歩み、内面とともにテニスが強化・完成されていけば、今後さらにグランドスラムの優勝を積み重ねる可能性は決して低くない。故障を抱えた17年半ば以降は成績が下降しており、若手の突き上げも著しいツアー環境にあっては完全復活への道のりも険しいが、再びトップレベルで激しく争う彼の存在感を期待せずにはいられない。

 

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