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Benoit Paire

ブノワ・ペール

 生年月日: 1989.05.08 
 国籍:   フランス 
 出身地:  アヴィニョン(フランス)
 身長:   196cm 
 体重:   80kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  celio 
 シューズ: Babolat 
 ラケット: Babolat Pure Aero Plus 
 プロ転向: 2007 
 コーチ:  Dave Marshall 

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 長身から繰り出す角度のあるサーブと癖のあるバックハンドを武器とし、伝統国フランスが「新四銃士」の次の世代の中心として期待を寄せてきた才能豊かな大型プレーヤー。本格的にツアーレベルのプレーヤーとなった11年から着実に成長を遂げ、13年にローマ(1000)でデルポトロらを破ってベスト4に入るなどブレイクの兆しを見せるも膝の怪我により勢いを失ってしまった。しかし、15年には前年からの長期離脱で150位以下まで落ちていたランキングをバスタード(250)でのツアー初優勝を含む活躍でトップ30まで戻し、ATPのカムバック賞を獲得した。また、同年全米と東京の楽天オープンで錦織を立て続けに破ったことで、日本での知名度も急上昇した。ドロップショットの多用など、現時点ではトリッキーなプレーが持ち味のやや変則的なプレースタイルであり、緻密な計算の下ではなく、力技と閃きでプレーするタイプであるが、基礎的な技術は高く、多彩な戦術的手札の切り方を覚えテニスの完成度が高まってくれば面白い存在になれそうだ。基本的には遅いサーフェスを好み、クレーを最も得意とするが、技術力を活かせる芝でも強さを発揮する。ハードではフットワークの悪さが露呈される形になりやすいが、今後の取り組み次第で十分に戦えるようになるだろう。近年では立派に蓄えたあごひげがトレードマークになっている。

絶対の自信を持つバックハンドで主導権を握るストローク

 全体重をボールにぶつけていくような独特なフォームのバックハンドは彼の最大の武器で、クロス、逆クロス、ストレートいずれのコースにも、またどんなに厳しい体勢からでも、強烈かつ正確なウィナーが取れる。最近ではトッププレーヤーの間でもその脅威が浸透しつつあり、ツアーでも五本の指に入るバックハンドとも言われている。彼自身バックには相当な自信を持っているようで、フォア側に来たボールでもチャンスと見るやバックに回り込んで叩くことが多く、さらにはバックのドライブボレーも頻繁に繰り出し相手に余裕を与えない。技術的には右足の踏み込みが深い分、相手に対して背中を見せるようなスタンスとなり、その状態から鋭いショットが放たれるため、ボールの出所が非常に読みづらいのが特徴で、スクエアスタンスで打つ普通のプレーヤーよりも打点が少し後ろになる点が懐の深さに繋がっている。もちろんオープンスタンスで踏ん張っての返球も魅力的で、大柄な体格を感じさせない粘り強さも持ち味の1つだ。彼のバックに配球する怖さはリターンでも同じで、相手の2ndのスピンサーブに対して前に入り込み、高い打点からバックで叩いてエースを奪う姿勢は大きなプレッシャーを与えている。ラリーの中に突然織り交ぜる絶妙なドロップショットも得意としており、1試合の中でも執拗なまでに精度の高いドロップショットを放って、相手を前に走らせる戦術を使う。ベースラインでの打ち合いの中でも常に前に落とすことを狙っていると言っても過言ではなく、押され気味の状態からでも鮮やかなタッチで巧みにボールを操ることができる。ただし、やや使い過ぎあるいは不可解なドロップショットの選択も多く、少なからずネガティブな面もある。ドロップショットで培われたテクニックは他のプレーにも生きており、驚異的なバックスピンのかかったストップボレーをはじめとするネットプレーや、逆にネットに詰めてきた相手の頭上を抜くトップスピンロブなど、見どころは多い。フォアハンドは感覚良く打てている時は、バック同様に威力のあるボールで相手を追い込めるが、シンプルでないラケットのテイクバックが原因で安定感に致命的な難があり、アンフォーストエラーが非常に多い。特に当たり損ねたような薄い当たりになってネットにかけたり、短いボールで相手にチャンスを与えるといったシーンが散見される。

複数のリズムを使い分けるメリハリの利いたプレー

 ストロークでは低いボールは深くコントロールして丁寧に繋ぎ、高い打点が取れた時は一気に強打するのが彼のスタイルであり、複数のリズムを使い分け、一定のリズムでプレーしない掴みどころのなさが特徴であり強みにもなっている。逆に、自分が決めにいったショットが拾われると、次のボールで簡単なミスをしてしまうことが多い。質の高いショットが2本3本と続くようになれば、よりトップに肉薄できるはずだ。また、ここ最近は代名詞でもあるドロップショットを意識的に封印しているようだが、そうなるとパワー頼みのテニスになって安定感が削られる側面がある。この点で技と力のバランスが確立されれば大きな飛躍も考えられるはずだ。

1stの破壊力と2ndの弱点が拮抗するサーブ

 体を投げ出すような形で上半身を前傾させるフォームが特徴的なサーブも彼の武器の1つで、とりわけ1stでは高い確率で相手の体勢を崩すことができる。一方で、ダブルフォルトの多さやプレースメントの甘さが非常に大きな弱みとなっている2ndは喫緊の課題である。サービスゲームではエース量産も含めてショートポイント志向が強いが、プレースタイル自体はそれほどサーブへの依存度が高いわけではなく、であればこそ自らサーブで崩れる傾向は改善したいところだ。

誰をしても理解不能なメンタルの動き

 熾烈を極めるツアーの中でトップ20かそれ以上を目指すうえでは、精神面の成熟が必要不可欠だが、彼のプレーに見られるメンタルの動きは誰をしても理解不能というほかなく、試合開始からものの数分でイライラを募らせラケット破壊など怒りを爆発させたかと思えば、そうすることで冷静さを取り戻し、さらには何気ないプレーをきっかけに止められないほどの勢いに乗って大物食いを果たすこともあり、改善するというよりもはやこれは彼の個性と言うべきかもしれない。ただし、集中力の持続時間があまりにも短すぎるというのは勝てる試合を取りこぼす直接的な要因といえるため、その点の自覚は必要だろう。ここ最近はテニスの不調あってこそとはいえ、頭に血が上って感情がコントロール不能に陥る場面が以前にも増して多くなってしまっている。オフコートでの態度の悪さや他人を侮辱するような発言は彼自身のテニスキャリアに影を落とす原因にもなりかねず、周囲のサポートを借りてでもできる限り控えなければならない。

独特な感性で操る剛柔自在のユニークなテニスは一見の価値あり

 個性的なプレーをするプレーヤーの多いフランス勢だが、中でもペールはなかなか他では真似することのできない独特な感性を持っており、それをベースに剛柔の両面を出し入れするユニークなテニスは一見の価値ありと言うべきだろう。本人はあまり大きな野心は抱いていないようだが、彼自身も自覚するようにフィジカル面とメンタル面が向上してくれば、十分にトップ10を狙えるポテンシャルは持っているだけに、まずはテニス界きっての「問題児」という汚名をいち早く返上したい。