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Pablo Carreno Busta

パブロ・カレーニョ・ブスタ

 生年月日: 1991.07.12 
 国籍:   スペイン 
 出身地:  ヒホン(スペイン)
 身長:   188cm 
 体重:   78kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  Joma 
 シューズ: Joma 
 ラケット: Wilson Blade 98 (18×20) 
 プロ転向: 2009 
 コーチ:  Samuel Lopez,
       Jose Antonio Sanchez de Luna 

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 スペイン人らしいベースライン後方でのスピンボールによる返球能力とコート内側に入って速いテンポで捉える器用な感覚を兼ね備えたストローカータイプの中堅プレーヤー。これというはっきりとした技術的な武器や特徴はないが、フィジカル・メンタル両面での粘り強さやスピンを効かせたサーブも含めてスペインテニスの王道とでも言うべき安定したテニスは同胞の元No.1フェレーロを彷彿とさせ、経験を重ねるに伴って徐々に上位陣にとって厄介な存在になってきた。13年序盤にフューチャーズレベルで驚異の7大会連続優勝を成し遂げて脚光を浴び、4月のオエイラス(250)では予選上がりからベスト4、グランドスラム初出場となった全仏では1回戦でフェデラーと対戦するなど、当時は勢いに加えて話題性も十分で、その年は後半にかけてもチャレンジャーレベルで4つのタイトルを獲得する快進撃を見せ、結果的にランキングは12年末の654位から1年間で64位まで急上昇した。元々はクレーを得意とするが、16年が彼にとってのブレイクイヤーとなった要因はハードコートでの活躍であり、ウィンストンセーラム(250)でツアー初優勝を果たした。同年はダブルスでも存在感を示し、同胞のガルシア・ロペスとのペアでは全米準優勝にも輝いた。17年は持ち前のしぶとさに一層磨きがかかり、全仏ではディミトロフやラオニッチを下してベスト8、全米ではドロー運に恵まれた部分もあったが自身初のグランドスラムベスト4に進出し、同時にトップ10入りも決めた。5時間を超える死闘の末に不運な判定にも泣いて敗れた19年全豪4回戦の錦織戦も記憶に新しいが、まさにあれは彼のタフさを象徴する一戦だった。22年にはモントリオール(1000)でマスターズ初優勝のサプライズも起こしたが、ベレッティーニ、シナー、フルカチュなど次世代のトップを担う強豪をまとめて退けた勝ち上がりもまたいかにも”いぶし銀”らしい大会だった。

低い姿勢で強い攻撃を跳ね返す守備力が武器のストローク

 ストロークは両サイドともにフルパワーでボールを打ち抜くというよりは自らのバランスを崩さないよう力を抑えながらプレースメント重視で長いラリー戦に持ち込むのがカレーニョ・ブスタのスタイルで、その中で相手の根負けを狙ったりわずかな隙を突いて攻撃に転じるというのが主なポイントパターン。フォアハンドは高めの位置のテイクバックからラケットヘッドがあまり落ちずにインパクトに向かうため、厚い当たりでスピード感のある鋭いショットを繰り出すことができ、特に逆クロス方向への強打を攻撃面における最大の武器としている。また、クロスコートの打ち合いからダウンザラインのコーナーを突いて安定感のあるネットプレーに繋げるパターンも持ち合わせており、すべてにおいてポイントの取り方にそつがないのが彼の特徴といえる。両肘がまっすぐに伸びたテイクバックが印象的なバックハンドは守りの局面での精度が非常に高く、押されているように見えてもボールは常にベースライン際にコントロールされ、そのうえフラット系のボールにはバウンド後に伸びがあるため、相手に決定的なショットを許さない。その安定感を生んでいるのは膝を折って低い姿勢をキープする下半身の強靭さであり、細身ながらロングマッチの終盤になってもその粘りは落ちない。また、スピードを落としたアングルショットを交ぜてオープンコートを作る能力も高く、巧みな返球からより攻撃力の高いフォアで叩く展開を作り出している。もう少しバックのダウンザラインでポイントを奪えるようになると怖さも増しそうだ。また、彼自身も更なる成長に向けた鍵と話すアグレッシブな戦い方を強化するためには、決定打の精度を上げることが課題である。現状は相手がハードヒットで打ち込んできている時には壁の如きディフェンス力とカウンター能力で跳ね返せるのだが、いざチャンスボールになるともったいないアンフォーストエラーでポイントを落とす場面が多い。

堅い守りを支えるフットワークと予測力

 彼の強さのベースは動きの良さであり、俊敏なフットワークを活かしてベースライン付近でラリーを展開できている時は相手にとって脅威となる。ショットとの関連でいえば、斜め後ろに動きながらのカウンターを得意としており、パワーよりもスピードで相手に差をつけるテニスを可能とする要因となっている。彼の試合ではインテンシティの高いラリーの応酬が繰り広げられることが多いが、その中でも相手が強打すると見るや即座にポジションを下げて受け止める態勢を整え、しっかりとスイングできる余裕を確保する巧みな判断力がミスの少なさに寄与している。

彼のテニスの中で最も攻撃力が光るリターン

 強力なリターンは彼のテニスの中で最も攻撃力が前面に出た武器であり、ビッグサーバーにも怯まず常にクリーンな返球を実現する。とりわけ光るのは回転系のサーブにタイミングを合わせ弾かれることなく力強くボールを捉える能力で、フォア側に逃げるスライスサーブにはリーチの長さを、バック側に高く跳ねるスピンサーブにはジャンプしながらでも軸がぶれない体幹の強さを存分に活かしつつ、インパクトの瞬間に必ず一歩前へ踏み込むことで深く鋭いリターンを可能にしている。そのステップインの姿勢は時折見せるリターン&ネットの戦術にも大いに貢献している。時折返球率を重視するあまりブロックリターンにこだわりすぎるきらいがあり、しっかりとラケットを振って返す力があるにもかかわらず消極的に終始してしまうのはもったいなく映る。

更なる飛躍には一発でポイントを奪える武器が必要

 派手さはなくとも守りがとにかく堅く非常に戦術性の高いテニスは十分にトップ20に値するが、さらに上を目指すためには否が応でもトップ10級を破っていく必要があり、それを考えるとサーブ力の強化やストロークでもどこかに一発の魅力が欲しいところ。やや小粒感が否めない近年のスペイン勢だが、その流れに一石を投じるようなプレーヤーに大成できるかどうか、今後の数年間に注目したい。