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Hubert Hurkacz

ホベルト・フルカチュ

 生年月日: 1997.02.11 
 国籍:   ポーランド 
 出身地:  ヴロツラフ(ポーランド
 身長:   196cm 
 体重:   81kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  YONEX 
 シューズ: YONEX 
 ラケット: YONEX VCORE Pro 97 
 プロ転向: 2015 
 コーチ:  Craig Boynton  

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 ベースラインに張り付くような下がらない位置での粘り強い守備力でボールをよく拾い、そこから切れ味鋭いカウンターや長身を活かすような一発を放ったり、あるいはコートの内側に入って器用なテクニックを見せたりと堅実かつ多彩なポイントパターンで相手を脅かすポーランド期待の新星。18年にチャレンジャー3大会優勝、またツアーレベルでは各大会で予選を突破して本戦入りする中で着実に力を積み上げてきた。そして19年にはウィンストンセーラム(250)でツアー初優勝、ブレイクの芽を大いに感じさせるプレーヤーとなった。また、錦織が2週間で2度敗れた相手として日本での知名度も急上昇した。その後やや停滞の気配も見せていたが、21年に一気に開花し、上位にフレッシュな顔ぶれが揃ったマイアミ(1000)でシャポバロフ、チチパス、ルブレフ、シナーといった年代の近い相手を下して驚きのマスターズ初制覇を成し遂げ、ウィンブルドンではネットプレーを重視して見事に芝に適応した戦いぶりを披露してベスト4の好成績を収めた。攻守に穴のない技術力と戦術性によってそれほど強引さが出ることなくポイントを重ねるフルカチュのテニスは年齢の割に成熟度が高く、将来的にも恐らくはビッグヒッターというよりはバランス型のプレーヤーとして大成することが予想される。最も相性の良いサーフェスハードコートであるが、十分なパワーを備える分クレーでも、コンパクトなフォームでストロークを打てる分芝でも戦闘力は落ちない。

スピードボールを操る東欧系特有の打球センスを持ったフォアハンド

 軽いスイングからスピードボールを操る東欧系特有の打球センスが光るフォアハンドは攻撃面における軸となるショット。跳ねるようなリズミカルなステップで打点に入り、広めのスタンスから回転数の少ない直線的な伸びのあるボールを繰り出していく。特にタイミングを早めたダウンザラインや逆クロス方向への決定打を得意としている。守備局面で振り上げるスイングになってしまった時にややインパクトがぶれる点は課題といえる。

ストレートへの展開能力が光るバックハンド

 振り子運動のようなゆったりとしたテイクバックからラケットの重みを利用した合理的なスイングが特徴のバックハンドは彼の最大の武器だ。相手の厳しい振り回しに対してオープンスタンスで踏ん張って返球する守備力の面や全体的な隙のなさではフォアに優る。チャンスと見るやダウンザラインへの仕掛けも積極的で、頻繁にストレートに展開できるコントロール能力が、カウンターだけにとどまらない総合力の高さの要因だ。

深く突き刺すフラット系の打球で相手の自由を奪う

 好調時の彼のストロークはとにかくボールが深く、バウンド後に滑っていくフラット系の球種もあいまって相手に自由なスイングを許さない強みがある。課題はチャンスボールに力みが出て精度が大きく狂うことがある点。跳ね返す展開では壁のように堅いが、いざ攻撃のスイッチを入れる場面ではショットをふかす傾向が見られる。ゆえに少し緩めのボールを配球される試合ではミスが嵩むことが多いのが現状だ。

長身からのパワーと安定感を備えるサーブ

 無駄な動作のない安定したフォームを持つ強烈なサーブも武器の1つだ。打点の高さが生み出す角度と210km/hを超えるスピードによって多くのフリーポイントを稼ぎ出す。少し前まではエースの数が少なめという点で伸びしろを感じさせていたが、まさにその1stの破壊力が増したことがトップ10入りの原動力となった。また、とりわけアドバンテージサイドではスピンサーブからサーブ&ボレーも交ぜるなど多様性も備える。1stが高確率を維持できている場合にはそう簡単にブレークは許さないが、立て続けに入らなくなる時間帯があるのが弱点。

隙のない技術力が手堅いプレースタイルの基盤

 力強いプレーの数々を持ち味としていることに間違いはないが、一方で小技の要素もそつなくこなすのが彼の特徴だ。ネットプレーは前に詰める動きに気負いが全く感じられず、ボレーも決して無理をして一本で決めようとしないため、その余裕が相手には壁のような圧力を与える。もちろん柔らかいタッチボレーも秀逸で、ストローク戦では劣勢でもネットで十分に対抗できるクオリティの高さを備えていると言っていい。加えて、前に詰めてきた相手の頭上を抜くトップスピンロブ、ラリーのペースに変化を与えるスライスやドロップショットなど、実にしっかりとした基本技術を身につけている。ラリー中に相手の体勢を見て常に前後の立ち位置を微調整する動きも、彼の抜け目ない戦いぶりを象徴するものといえる。

マレーとベルディヒのハイブリッドのようなテニスは大きな可能性を秘める

 粘りのあるフィジカルとリーチの長さを駆使した非常に広いコートカバーリング、ボールを追ってダッシュする際の前傾姿勢、体重をうまく乗せていくバックハンドのフォーム、またプレー全体を通じての感性や立ち姿も含めてマレーと重なる部分が大きいと言われている。クリアなインパクトによりボールを加速させる能力やその球筋はベルディヒにも似ている。いずれにしてもトップ10の座に定着するだけのポテンシャルは確実に持っている。謙虚さの滲み出た人柄は勝負において仇となる可能性もあるが、今のところ上位陣に挑む対戦や試合の勝負所では努めて強気なプレーを意識し、またそれが実を結んでいるように見える。攻撃のキレやリターンの対応力を筆頭に課題を見つけることはできるが、成長に向けた真摯な練習姿勢が評価されており、ツアー経験とともにすぐに改善・進化してくるはずだ。強さと巧さを兼ね備えた完成度の高いテニスを強化しさらにスケールアップしたフルカチュが、近い将来にさらにビッグタイトルを掲げるシーンを期待したい。