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Feliciano Lopez

フェリシアーノ・ロペス

 生年月日: 1981.09.20 
 国籍:   スペイン 
 出身地:  トレド(スペイン)
 身長:   188cm 
 体重:   88kg 
 利き手:  左 
 ウェア:  Joma 
 シューズ: Joma 
 ラケット: Wilson Ultra 100 
 プロ転向: 1997 
 コーチ:  なし 

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 強烈なサーブと華麗なネットプレーを組み合わせたサーブ&ボレーを主体とする攻撃的なテニスを武器に積極的にネットに出てポイントを取る、主にクレーにおいて世界のトップで活躍してきた歴代のスペイン人プレーヤーとは間違いなく一線を画する異色のプレースタイルで長くトップレベルを維持するサウスポー。スペインという枠に限らずとも、パワーテニス全盛の中にあっては、キレのあるスライスを多用しスルスルとネットを奪う、言ってみればクラシカルなスタイルは非常に貴重で一見の価値がある。03年頃から台頭してトップ30に入り、以降04年ウィーン(500*)でツアー初優勝、05年ウィンブルドングランドスラム初のベスト8など速い環境での強さに定評があるビッグサーバーとして中位を維持してきたが、ベテランの域に入ってもう一段階プレーの質を高めることに成功し、14年にはトロント(1000)でベルディヒやラオニッチを下してベスト4、上海(1000)でナダルやイズナーを破ってベスト4など、以前よりマスターズでの活躍が目立つようになっている。技術的な才能に恵まれながら、勝負所で弱気になる精神面の弱さを指摘されることが多かったが、経験を重ねて試合中の状況判断や相手の精神状態が分かるようになってきたといい、近年のストローク強化によるクレーでの成績向上も助けて、30歳を超えてから自己最高の12位を記録した。最も得意とするサーフェスは実績が示すように間違いなく芝で、毎年クレーシーズンが終わり芝の時期になるとまさに水を得た魚の如く生き生きとしたプレーで上位に進出する。特に自身が“キャリア最高の一週間”と振り返った17年クイーンズ(500)での鮮烈な優勝、そしてトリプルヘッダーを乗り切る驚異のタフネスぶりを発揮し単複優勝の快挙を達成し“キャリア最高”をさらに更新した19年同大会での活躍は記憶に新しい。また、デビスカップでは長きに亘ってスペイン代表に選出されており、単複を問わないマルチな働きで04年、08年、09年、11年、19年と5度の優勝に大きく貢献している。彼の存在があるために、相手国が安易に芝や高速系ハードを選択できないという意味では影のエースと呼んでもいい。16年にはマルク・ロペスと組んだペアで全仏制覇を成し遂げており、近年はダブルスでも強豪の地位を確立している。

上体を捻ってコースを読ませない強烈なサーブ

 サーブは彼の最大の武器で、220km/hにも届く強烈なフラットサーブと左利き特有のワイドに切れるスライスサーブを巧みに使い分けて相手を大いに苦しめる。ワイドサーブも他のプレーヤーが打つような非常に回転量の多い球種とは違い、あまりスピードを落とさない類のものである。上体を大きく捻る独特なフォームは相手にコースを読ませず、強烈な威力とあいまって絶大な効果を生み出す。また、ボディを強く意識させておいて両サイドを空ける配球術もエースの多さに寄与している。サーブ&ボレーに出る確率が高いにもかかわらず、高い決定率を維持できるのはこのサーブゆえである。

面がぶれない確実なボレーが光る華麗なネットプレー

 ネットプレーはサーブと並んで彼の大きな武器で、現役の中ではネットに詰める頻度が最も高いプレーヤーの1人だ。ラリー戦の中でも前に行くフェイクを入れながら常にネットへの姿勢を崩さないため、彼との対戦は神経を擦り減らす試合になりやすい。相手のボールが少しでも浅くなるとすぐさまネットプレーに転じるが、その際バックのスライスでのアプローチが多いため、ネットとの距離をしっかりと詰めることが可能となり、相手への圧力を最大化している。この弾道の低いアプローチが深く入れば、相手は十分な体勢でパッシングショットを打つことはまずできないため、アプローチの時点で勝負ありの状況を作り出すことができるのが強みである。また、そこから繰り出すボレーの技術も高く、たとえ体が伸び切った状態でも力負けせず、強いボレーや浅く沈めるドロップボレーを難なく繰り出し、サービスダッシュでは体正面を突く鋭いリターンや足元に沈められても、得意のローボレーはコントロールが乱れない。彼のボレーは真正のボレーヤーらしくパンチ力が一番の長所で、あらゆるパスに対して面がぶれないのが凄さだ。そして何よりこうした確かな技術力に裏付けられたネット際での落ち着きが相手にとっては相当なプレッシャーとなる。ここ最近ネットプレーが減少傾向にあるのが気がかりで、以前に比べてストロークでも十分に戦えるようになったためという理由は1つ考えられるが、それによってやや彼本来の長所が薄れているような印象もあり、シングルスで苦しい時期に差し掛かっているいま、原点に回帰するのも手かもしれない。

最高級の低空高速スライスを主体とする片手バックハンド

 非常にキレの鋭いスライスを中心に多彩な球種を操るシングルバックハンドは、彼のテニスにおいて軸となるショットである。ボールを包み込むような柔らかいタッチから、スピードがあり縦方向に滑る低空高速スライスや、ゆったりとして横方向に跳ねるスライスなど、状況に応じてテンポを変えながら多様なボールをコーナーに正確に打ち分ける。特に高い打点からパワフルに打ち込むプレーを持ち味とする相手にとっては、なかなか自分のペースに持ち込めないため厄介なショットである。また、右利きのプレーヤーにとって、フォアに対してクロスに伸びてくるスライスというのはあまり慣れていない軌道で、しかもそれが継続的に放たれるため、思い通りの展開になりにくい。一方で、最近強化してきているのはバックの強打で、スライス単体の効果が薄れやすいクレーや格上との対戦でもう1つ打開策が欲しい状況では、積極的に打ち込んでいく姿勢を見せるようになってきている。ただ、1つ1つのショットの質は高いものを持っているのだが、打った後の戻りが遅く、流れるような展開を持ち味とする彼のテニスの中にあってはやや機能しにくい側面がある。ゆえに、目立つのは押し込まれたラリーを一本でひっくり返すカウンターショットやパッシングショットのウィナーだ。今後も技術向上に取り組み、使い方に磨きをかければ大きな武器にもなるだろう。

丁寧に繋ぐフォアハンド、決定力には課題

 フォアハンドは常にフルパワーの強打というよりは、トップスピンで軌道を上げて丁寧に繋ぎのラリーを行うことが多い。そして、バックのスライスも多用しながら相手のボールが浮いて浅くなるのを誘ってフォアで叩くのが1つの形である。高い打点からはフラット系で捉えるが、突出した威力があるわけではなく、精度・安定感もいまひとつ欠如しているため、このフォアの強打は課題と言っていい。

相手に自由な強打を許さない巧妙なスライス戦術

 ストロークは全体的に良い体勢で打てる状況では非常にパワーのあるショットを打つが、的確に深くコントロールされると脆さが表れる。ベースライン後方に下げられると武器がなくなり厳しくなることを彼自身が理解しているために、スライスを多用することでバランスを崩さず、高いポジションを保ってラリーを続けるという戦術をとっているといえる。したがって、戦い方はどの相手に対してもシンプルで、サーブで崩してショートポイントに持ち込むか、そうでなければスライスでボールを低く押さえて相手に自由に打たせないことがポイントとなる。

読みに任せて動きがちな守備は弱点

 守備力は彼の弱点の1つで、持ち味であるネットプレーになかなか繋げられないと厳しい状況に陥ってしまう。とりわけ目に付くのはラリー中の動きで、ラリーが長くなってくると読みに任せて先に動いてしまうことが多く、打つ直前でコースを変えられる上位陣が相手であると、この悪い癖に付け込まれてしまう。

実は心身のタフネスぶりこそ驚異的な武器

 リターンに難があるため、タイブレークが複数回絡む試合も少なくないが、そうした中でも耽々とチャンスを待てるメンタル的な忍耐強さも大きな強みで、これがあるからこそ長いラリーでもしびれを切らすことなく、自分の武器であるネットプレーに繋げるための粘り強いプレーが実行できる。タイブレークの多さとの関連でいえば、ファイナルセット6-6を越えていく試合を最も多く経験しているのがロペスであり、その特筆すべきタフさは02年全仏に始まって現在に至るまでグランドスラムを一度も欠場せずに連続出場を続けている事実からも窺い知ることができる。端正なルックスと颯爽としたプレースタイルから見逃されがちではあるが、彼がツアー最古参の1人として衰え知らずの活躍を続けられる理由がまさにこれだ。

パワーに技で対抗するテニスは健在、芝でのプレーに要注目

 全体的には、ビッグサーブ、展開の速い攻め、ネットプレー、スライスなど芝で勝つための要素をすべて兼備しているのがロペスの特徴で、このようなプレースタイルは現代テニスの中では稀有な存在となっている。クロス一辺倒になりがちなハードヒットのストロークをさらに改善・強化したいところだが、いずれにせよ今後も芝を中心に速いサーフェスでは常に要注目人物となってくるだろう。昨今は選手寿命が延びているとはいえ、35歳を超えた今なおトップレベルを維持している彼に対する称賛の声は多く、テニスファンとしてはパワーに技で対抗する姿を1年でも長く見ていたい。