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Philipp Kohlschreiber

フィリップ・コールシュライバー

 生年月日: 1983.10.16 
 国籍:   ドイツ 
 出身地:  アウクスブルク(ドイツ)
 身長:   178cm 
 体重:   70kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  Mizuno 
 シューズ: Mizuno 
 ラケット: Wison Pro Staff 97 
 プロ転向: 2001 
 コーチ:  Markus Hipfl  

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 178cmと決して体格には恵まれていないものの、飛び跳ねるような身のこなしや軽い動作でボールに勢いをつけ、かつコントロールする能力が高く、豊富なバリエーションを武器に攻撃的なテニスを展開する、ハースとともに並び称されるドイツが生んだ天才系プレーヤー。華麗なプレーを持ち味とする一方で、球際に強いタイプなうえ、我慢強く戦うメンタルも兼ね備え、小気味良い動きで最後までボールを追えるため、上位陣であってもそう簡単には勝たせてもらえないしぶとさがある。07年ミュンヘン(250*)でのツアー初優勝以降、安定して30位前後をキープする息の長い強豪だが、技術力や駆け引きで勝負させればその実力は間違いなくツアー屈指。トップ10との対戦でも常に数ポイントが勝敗を分ける接戦を演じるが、一方でいつも惜しいところで敗れている印象も強く、「善戦はするのだが」という評価を覆し、12年ウィンブルドンでのベスト8という大きな大会での自身最高成績を更新するためには、何か決め手を持ちたいのも事実だ。パワーよりもテクニックで勝負するテニスはクレーと芝での戦績が良いものの、ハードが苦手というわけではなく、どのサーフェスでも不利が出ない器用なタイプで、これは極めて多彩な技術と戦術を持っていることが大きな理由であるが、どちらかといえばやや遅めの条件の方が彼のテニスには合っている。

あらゆるバリエーションを駆使して相手を翻弄するストローク

 ストロークは我慢強くボールを繋ぎ続けることもできれば、意外性のあるカウンターを放ったりと、緩急を自由自在に操れるのが持ち味。加えて、自分のポジションも盛んに変えながら、コートを横にも縦にも、あるいはボールの軌道の変化で上下にも広く使って相手を翻弄する。ベースライン3m以上後方から内側まで幅広いポジションでラリーを展開するが、それぞれの立ち位置に応じたショットの選択が巧みで、一定のリズムで相手に打たせない。ハードヒットしてくる相手にはある程度打たせながら、待ち構えてカウンターを取る形を得意とするが、これは彼の予測力と“打たせ球”を作るセンスがあってこそのスタイルで、コールシュライバーならではといえる。フォアハンド、バックハンドともにスピン系とフラット系の両方を駆使しながらラリーを支配していく。

アングルスピンと思い切った強打のバランスが絶妙なフォアハンド

 跳び上がりながら打つフォアは、高い打点からフラットに叩いて一気にウィナーを取ることも、同じ打点から強烈なスピンの効いたアングルショットをクロスや逆クロス方向に打って相手のバランスを崩すこともでき、両者を絶妙に配合することで相手に容易な予測を許さない。最近では特にフォアの強打の爆発力が増しており、一撃の切れ味は凄まじいものがある。

とりわけ多彩な技が光る代名詞的な片手バックハンド

 一方、シングルハンドで放つバックはボールを強くヒットするというよりは、丁寧なスイングでボールを運ぶというイメージが強い。肩の入れ方や頭の傾きが特徴的なフォームだが、独特に見えて体の軸をぶらすことなく大きな遠心力を利用するという力の伝え方はシンプルで、その理に適った事実がショットの鋭さを生んでいる。相手のショットに威力がある時は無理して振り切らず、ブロックして面を押し出すような形でそのボールの力を借りて、正確にコース変更をしていけるのが強みである。ボールを押さえつける技術が高く、本来片手打ちの弱点とされる肩より高い打点を強いられても、逆にチャンスとばかりにクロスの鋭角に鮮やかなウィナーを取っていく。クロスラリーで強烈なトップスピンの効いたループボールを執拗に打って相手を釘付けにすることで、広く空いたストレートに流し込むダウンザラインも非常に美しい軌道で決まる。スライスの織り交ぜ方も秀逸で、上から切るような回転量の多いゆったりとした球種でリズムを変えることができる。また、同じフォームから放つドロップショットも得意で、比較的低い軌道でネットを越してくるため、一歩目の反応が遅れてしまっては対応できない。

全身のパワーを余すことなく使う強力なサーブ

 小柄ながらサーブを武器にしている点も彼のテニスにおける強みの1つである。上半身を大きく捻り、全身を使ってパワーを出すのが特徴で、エースを多く奪う200km/hを超えるフラットサーブに加え、展開を優位に進めるためのキックサーブやスライスサーブの質も高く、1stの段階から状況に応じてこれらを使い分けることで的を絞らせない。ダブルフォルトの少なさも特筆に値する点で、2ndの強力さも高いサービスキープ率の実現に寄与している。

状況に応じて使い分ける多様なリターンの選択肢

 リターンもやはり多様性が光り、早いタイミングでコンパクトに合わせて弾き返したり、大きく下がって力強いスピンを打って押し込んだり、また相手がトスを上げた瞬間に一気に前進して叩きそのままネットに仕掛けたり、相手の特性や試合状況に応じて様々なパターンを使い分ける。

堅実で粘り強いメンタルが強さの秘訣

 技術的には天才型だが、そのタイプにありがちな淡白さは見られず、むしろメンタルの粘り強さは彼の強さのベースになっているとさえいえる。メンタル的に堅実派という点は、プレーヤーとして完成までにやや時間を要した理由であるのかもしれないが、その分年齢的にはベテランに差し掛かった時期にキャリアで最も安定した成績を残すようになったことも頷ける。また、地元の大会で決まって好成績を残す点や5セットマッチフルセットでの勝率が高い点も特徴だ。

弱点を突く戦術眼は一級品、攻撃性アップが今後の鍵

 対戦成績があまり芳しくない一定以上のパワーを持つプレーヤーやハイテンポのラリーから頻繁にネットプレーを絡めてくるプレーヤーに対する対抗策を見出すことができれば、マスターズ格以上の大会でも上位争いを演じられるポテンシャルは十分にある。ポジションの前後幅、ショット軌道の上下幅、回転量やコース取りなど、彼ほど様々な変化を出せるプレーヤーは他におらず、それだけにどの選択肢を切っていくか迷いが生じる場面もあるが、いずれにしても相手に気持ち良くプレーさせない戦術眼は一級品。ベースライン後方からの展開が基軸でテンポアップが少なめなため、純粋なショットのクオリティで勝負せざるを得ない点が、彼が上位陣目線で怖さが限定的な理由といえ、ストロークにおいて巧妙な組み立てで引き出したチャンスボールに踏み込む積極性とそれを決め切るショットの威力と精度がもう少し上がると、まだ彼のテニスに上積みあるいは新たな側面も期待できそう。才能の開花が遅めだった分、30代半ばになっても衰えることなく若々しさを保って活躍を続けてきたタフネスぶりは称賛されてしかるべきだろう。さすがに最近は俊敏性や脚力が低下し淡白な戦いに終始する試合も出てきたが、それだけに今まで以上に攻撃性を高める中で今後もドイツテニスを引っ張る存在としてツアーで存在感を示してほしい。