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Miomir Kecmanovic

ミオミル・ケツマノビッチ

 生年月日: 1999.08.31 
 国籍:   セルビア 
 出身地:  ベオグラードセルビア
 身長:   183cm 
 体重:   75kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  DUNLOP 
 シューズ: NIKE 
 ラケット: DUNLOP SX 300 
 プロ転向: 2017 
 コーチ:  Wayne Black 

 頑健な足腰を活かして強く踏ん張るディフェンスとミスの少ない安定したストロークを基盤に受け身のラリーからパワーで押し込む堅実かつ力強いプレースタイルを持ち味とする、強豪国セルビアの次世代を担う旗手として期待を背負う若手プレーヤー。オンコートで醸し出す落ち着いた雰囲気も含めて彼のテニスはすでに非常に整ったバランスを持っており、NextGenの中では良くも悪くも若手らしくないことが個性といえる。ツアーへの参戦は19年からだったが、まだツアーレベルわずか1勝の中、ラッキールーザーとしての出場となったインディアンウェルズ(1000)でベスト8を記録、そこで得た確かな自信の下、年間を通じて十分にトップに通用する実力を証明する形であっさりとトップ50入りを果たしたあたりはさすがジュニア時代No.1といったところ。地面を強く踏みしめることでボールにパワーを伝えるタイプであることもあり、ハードコートが最も相性の良いサーフェスである。

強靭な下半身を活かした反撃能力が光るフォアハンド

 下半身の踏ん張りとぶれない体幹が芯のある強力なショットに還元されるフォアハンドは彼の最大の武器である。後ろ側ないし外側にある右足でしっかりと壁を作り、広いスタンスから重心を低く体重を少し後ろに残して打つのが特徴。スピン系で高い軌道のため安定しており、特にクロスに引っ張る系統のショットの球威、その中でもバウンド後の勢いが突出している。回り込みフォアを駆使して逆クロスへ攻撃を仕掛ける積極性もあり、一発の破壊力というよりも絶えずハードヒットしてダメージの蓄積を狙う戦略は堅実さの表れ。また、守勢からカウンターを放つ場面でもラケットヘッドを利かした振りの速さとショットの精度・威力がまったく落ちない点も強みであり、トップレベルの展開スピードが体に染みつき、反応速度などが上がって追いつけるボール自体が増えてくれば、今後さらに反撃能力の脅威が高まるはずだ。

クロスに叩く強打が武器のバックハンド

 コンパクトな鋭いスイングでボールを捉えるバックハンドは距離を出すショットを得意とする。クロスに気持ち良く叩き込む強打に深さと角度が両立しているのが強みで、相手の予測の上を行くコースへの配球で多くのウィナーを奪う。フォア同様にカウンターも盤石で、オープンスタンスで跳ね返す際に最後の左足の一歩を大きくとってパワーを出す打ち方は錦織やジョコビッチにも共通する高度な身のこなしだ。現状の課題は主導権を握った局面でのダウンザラインにやや精度を欠き、決定打としての有効な使い方になっていない点か。

ブロックリターンの多用が特徴の質の高いリターン

 安定した返球確率と攻撃性を兼ね備えるリターンも武器の1つとしている。1stに対してはフォア、バック両サイドともにスライス系のブロックリターンを多用するのが彼のスタイルで、両手打ちのバックのプレーヤーとしては少し珍しい特徴といえるが、ポイントをニュートラルな形で始めるうえでこのリターンが機能している。一転して2ndになるとコートの内側に踏み込んで叩く姿勢を見せ、実際にポイント獲得率もツアー上位に位置している。

球際に強く手堅い戦術を遂行するのが強さであり個性

 決してテニスに華があるとは言い難いが、体が丈夫で球際に強く、派手さは求めず手堅く戦術を遂行していく首尾一貫した戦いぶりは紛れもなくケツマノビッチの強さであり、またセルビアの伝統を継承した有望なプレーヤーであることを印象付けている。技術面では1stサーブのパワーアップを実現することができれば、数年以内にトップ10を窺う存在になれるポテンシャルを秘めている。「ジョコビッチの後継者」という巨大なプレッシャーを背負わせてしまうのは気の毒だが、高みを見据えて一歩ずつ着実に成長する姿を見守っていきたい。