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Ivo Karlovic

イボ・カルロビッチ

 生年月日: 1979.02.28 
 国籍:   クロアチア 
 出身地:  ザグレブクロアチア
 身長:   211cm 
 体重:   104kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  Mizuno 
 シューズ: Mizuno 
 ラケット: HEAD Radical Pro 
 プロ転向: 2000 
 コーチ:  Goran Dragisevic, Mirko Pehar   

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 211cmというツアー最長身を武器に、リターン技術が進化した現代テニスでもほとんど触れることさえ許さない圧倒的なサービス力でエースの山を築く、テニス史上に残る超ビッグサーバー。プレースタイルは典型的なビッグサーバーのそれで、年間通算エース数や1試合のエース数、あるいはサーブスピードなどサーブ関連で様々な記録の持ち主でもある。グランドスラム初出場となった03年ウィンブルドン1回戦センターコートのオープニングマッチで前年優勝者のヒューイットを破り、一躍世界の注目を集めた。07年にツアー初優勝となったクレーのヒューストン(250*)を皮切りに、芝のノッティンガム(250*)、ハードのストックホルム(250*)を制し、フェデラー以外では異なる3つのサーフェスでタイトルを獲得した唯一のプレーヤーとなり、08年にはシンシナティマスターズでベスト4に入るなどの活躍でキャリア最高の14位を記録した。以後は存在感が薄れて下降線を辿り、13年にはウイルス性髄膜炎による離脱もあったが、彼のキャリアは14年以降30代後半を迎えてからの方がむしろ盛んで、飽くなきモチベーションでツアー優勝を重ねる姿に対しては最上級の敬意を表してしかるべきだろう。サーブの優位性が増す芝やハードでの勝率がもちろん高くはあるものの、サーブそのものの質や関連スタッツでは意外とサーフェスによる偏りは出ないタイプで、クレーでもサーブの威力が落ちないあたりは彼が並のビッグサーバーではないことを物語る。一見強面だが、実際はジョークの利いた穏やかで親しみやすい人格の持ち主である。

テニス史に残る攻略不能な超ビッグサーブ

 最速251km/hを誇り、エースやフリーポイントを量産してサービスゲームで獲得するポイントの大半を占めるビッグサーブだが、見た目の印象ではそれほど豪快さが先行するタイプではなく、むしろ力感のなさや柔らかなフォームが特徴。ラケットの出所が非常に見づらく、そこからまさに2階から打ち下ろすような信じられない角度と、220km/hをコンスタントに超えるスピード、そしてプレッシャーのかかる場面でも確率良くラインを捉える正確性を誇るサーブを攻略するのは不可能に近い。技術的には、通常のプレーヤーならセンターにしか打てない高速フラットをワイドにも打っていけるのが強みで、驚異的なエースの数を稼ぐ大きな要因となっている。それほど多くの球種を織り交ぜるタイプではないが、2mを超える身長から生まれる角度は、フラットサーブでもスピンサーブの如く非常に高く跳ね上がり、結果として相手に捕りづらい打点を強いることができる。エースは1試合平均にして20本前後を数え、ラオニッチを筆頭に下の世代からも多数のビッグサーバーが現れた今なおエースを奪う能力にかけては現役最高のプレーヤーと言っていいだろう。

ネット際に巨大な壁を築くポイント源のネットプレー

 彼の中での志向としてポイント源はサーブとネットプレーであり、サーブで相手を崩して、次を簡単なボレーで仕留めるのが主な形だ。ボレーに関して驚くほどのうまさはないが、反応は速く、シンプルに弾いてオープンスペースに鋭く運ぶ技術力もトップの間での水準以上には十分に達しており、またそれ以上にネット際にリーチの長い巨大な壁が立ちはだかることによる相手への心理的プレッシャーが、多くのポイントを生み出す要因となっている。

苦手な中にも唯一無二のショットを持ち合わせるストローク

 サーブが得意でリターンが苦手な彼の試合では長いラリーが展開されることはほとんどないが、ストロークでも印象的なショットを持っている。高い打点で捉えて上から押し込んでくるような強力なフォアハンドは、ある程度激しい打ち合いでも計算が立つショットであり、時折相手が反応すらできないようなウィナーをコーナーに突き刺すこともある。また、バックハンドの滑るスライスは角度がある分だけバウンド後のボールの軌道が並ではなく、そう簡単には対応できない癖球だ。一方で、ネットに詰める時間を稼ぎたいアプローチショットの場面では、意図的に滞空時間の長いカット系統のスライスを打つことも多い。ただし、シングルハンドのバックはその9割以上をスライスで処理するため、ひとたびそのスライスを嫌がらずに返球されると、打開策は皆無に近い。バックに配球する怖さを与えるために、チャンスがあればハードヒットすることもあるという意識を相手の頭に植え付けさせたい。また、フットワークに大きな欠点があるため、基本的に少しでも相手がライン際の厳しいコースに打ってきたり、予測の逆を突かれたりすると、ボールを追うことすらしない。このことは当然大きな弱点であるが、相手としてもストロークのリズムを掴む前にラリーが終わってしまうため、やりにくさも少なからず感じるはずだ。加えて、リターンゲームの勝率が一桁台しかないため、ブレークされるとお手上げに近い分、逆に一発狙いのような大胆な攻めを仕掛けてくる点が相手にとっては脅威となっている。

勝負所で致命的なミスを犯すメンタルの弱点

 意外とメンタル面に弱さがあり、勝敗を分ける重要な局面で弱気になって致命的な判断ミスを犯すことがあり、あれほどのビッグサーブを持ちながらタイブレークの生涯勝率が5割を切っているのもこのあたりが原因の1つである。最近では15年から16年にかけて彼にとって直接的に勝敗に関わるファイナルセットタイブレークで11連敗を喫したこともあった。

40代に入っても野心は十分、通算エース記録を更新し続ける

 故障などもありしばらく停滞した時期もあったが、健康体を維持しつつマイペースでツアーを回っている最近は再びランキングを上げてきており、いまだにサーブの完成度は年々高まっている印象さえある。中位に安定していた近年でこそ彼にシードが付くことも多くなったが、トーナメントの初戦でカルロビッチと当たるのは誰にとってもかなり厄介で、すべての上位陣を悩ませている。彼に勝つには1つブレークすることが鉄則だが、それ以上にリターンが返らないことに対して冷静さを維持し、我慢強く自らのサービスゲームをキープできるかが問われているといえる。サーブ以外の能力はトップレベルとはいえず、しばしば“サーブだけのプレーヤー”などといった紹介がされるが、このことに関して彼自身はむしろ機嫌を良くしている。「1つの能力でトップに上がれるのはすごいこと」というのがユーモア溢れる彼の主張だ。年齢を重ねて今や40代に突入、ツアー屈指の大ベテランとなった近年は故障も多いが、体に負担がかかるスタイルでもないため、まだしばらくは活躍できそう。15年には同郷の先輩イバニセビッチの持つキャリア通算エース記録の塗り替えも実現したが、彼の野心はまだまだ十分。今後も息長くプレーを続けてほしい個性派の1人だ。

 

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