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Ernests Gulbis

エルネスツ・グルビス

 生年月日: 1988.08.30 
 国籍:   ラトビア 
 出身地:  リガ(ラトビア
 身長:   191cm 
 体重:   85kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  adidas 
 シューズ: adidas 
 ラケット: Wilson Blade 98 (18×20) 
 プロ転向: 2004 
 コーチ:  Pjotrs Necajevs  

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 大きな体格とパワーを活かした強烈なサーブとストロークにより相手を圧倒する攻撃的なテニスはトップ10に定着できる潜在能力がありながら、実際にはジェットコースターのような上下動の激しいキャリアを送る、現代のテニス界には珍しいややヒールな存在感が独特なスター性を醸し出す悪童タイプのプレーヤー。08年全仏のベスト8や、フェデラーを破ったうえでベスト4に入ったローママスターズ(1000)を含む10年クレーコートシーズンの躍進など、駆け出しの頃は同世代のデルポトロや錦織、チリッチらと並んで未来のトップを担う存在と騒がれていたが、怪我や病気に悩まされ、またラトビア国内有数の裕福な家庭に生まれ育った環境もあいまって、「テニスだけが人生ではない」「試合は好きだけど練習は嫌い」など自由闊達な言動で、他の3人には大きく水を開けられてしまった。それでも20代半ばになると心を入れ替えてテニスに真剣に取り組むようになり、13年デルレイビーチ(250)での優勝以降は本格化の兆しも見え隠れし、14年には全仏でフェデラーベルディヒを撃破してグランドスラム初のベスト4に進出するなど、自身初のトップ10も記録している。そのポテンシャルは絶大で、心身ともに充実している時は十分にトップクラスの実力を発揮し、時折トップ10級を立て続けに打倒する意外性に溢れたプレーヤーだ。常にエースを狙っていく超攻撃的かつリスキーなプレースタイルや、インタビューでの歯に衣着せない発言、奔放な振る舞いでオンコート、オフコート問わず常に話題の中心に上る個性的なキャラクターは、しばしば彼自身も敬愛する元No.1のサフィンと比較される。一球ごとにゆったりと構えて強いボールを打ち込みたい彼にとって、最も相性の良いサーフェスはやはりクレーであり、その他のサーフェスでの戦闘力は一段階落ちるのが現状だ。

両翼から遜色なくパワーでねじ伏せる攻撃志向

 ストロークは基本的には持ち前のパワーでねじ伏せたいという志向が強く、高い打点が取れた時にはすべてエースを狙って強打するのが彼のスタイル。両サイド遜色なく鋭く重い骨太な打球でポイントが取れるのは大きな魅力であり、相手に与える脅威は相当なものがある。また、癖球・荒れ球気味のフォアに対して、非常に綺麗な球筋のバックを持ち、そうしたスピードや軌道の差が相手にはリズムがとりづらいストロークになっている。アイディアとタッチで操る崩しの手札も含めてこれぞクレーコートのハードヒッターというテニスであり、その実力は難攻不落なナダルの壁をも突破する可能性をいつも感じさせ、一時期のトップ10入りは決して勢いだけではない納得感のある地位であった。

爆発力の裏で安定性確保に苦悩するフォアハンド

 両手を大きく上げてテイクバックするダイナミックなフォームから放たれるフォアハンドは、まさにグルビスのテニスそのもので、相手の守備壁を粉砕する爆発的な威力とスピードが魅力であるが、一方で安定感には致命的な難があり、数本のうちに決め切れないとすぐにエラーを出す傾向がある。リズムをとるのが苦手で、それが原因で一時スランプを経験したが、それを克服したのがこのフォアに取り入れた両手を同じように伸ばしてタイミングを取る自分なりのフォーム。テイクバックが大きいため、チャンスボールにはしっかり準備ができてウィナーを打つことができるが、速いショットやタイミング早く打ち返されると、振り遅れてミスになったり、甘いボールを供給してしまう点は依然大きな課題となっている。とはいえ、その特徴的なフォームへの大変革をベースにしつつもここ最近はもう少しシンプルかつコンパクトに矯正し、また何でも強打ではなく状況に応じて繋ぎのボールを使うなど判断力にも磨きをかけることで、徐々に安定したショットへの道のりを歩んでいる。加えて、あまり目立たないが追い込まれた状況で放つ、ボールを撫でつけるような緩いスライスのディフェンスショットも、相手の攻撃を止める有効な手段となっており、ツアー屈指のバックをより活かすうえでは極力をミスを出さないフォアという思考も十分にありだろう。

威力と精度を高度に兼ね備える完成度の高いバックハンド

 フォア同等の球威に加えて、精度を兼ね備えるバックハンドは最も信頼のおけるショットである。単純なパワーで奪うウィナーはもちろん多いが、ボールの出所を隠して相手にコースを読ませないフォームや、鋭角のショートクロスや逆クロス気味の難しいショットも無理なくスムーズに打てる技術レベルの高さが他のプレーヤーよりも突出しており、極めて高い完成度を誇る。巧みな判断と柔らかいタッチから繰り出すドロップショットは、“硬”のイメージが強い彼のテニスに文字通りアクセントとなる武器であり、ストレートにもクロスにも高精度で落とせるため、それだけでも決定率は高いが、次をトップスピンロブで鮮やかに抜いていくのも完全に1つのパターンとして確立している。

スピードと角度でエースを量産する豪快なサーブ

 最速で220km/hを超す抜群の威力と、長身と高いトスアップによって生み出す角度を利用し、エースやフリーポイントを量産する豪快なサーブも大きな武器の1つで、良くも悪くも歯切れの良い痛快なテニスの基盤となっている。スライス系のサーブをあまりスピードを落とすことなく打てる点も大きな強みだ。一方、ダブルフォルトの多さが目に付く2ndは改善の余地がある。あまり入れにいくサーブは打たず、思い切って勝負していく姿勢は時にはプラスの効果を生むが、試合を通した安定性を考えれば、もう少し力を抑えることも必要だろう。

アップダウンの激しい未熟なメンタル

 彼の課題は一にも二にもメンタル面の問題から来るプレーの継続性である。相変わらずアップダウンの激しいゲーム展開で、うまくいかなくなるとラケットを叩きつけて破壊する悪い癖は治っておらず、トップへの道を妨げる大きな要因となっている。しかし、彼自身はラケット破壊もサービス精神の1つと涼しい顔で、そういったルールや権威を恐れない不敵さもまた彼の個性と言うことができる。

スランプに陥りやすい繊細さを"自信"で振り払えるか⁉

 これまでは「潜在能力を最も発揮できないプレーヤー」という不名誉なレッテルを貼られてきたが、過去にベッカーやルコントなどの名プレーヤーを指導してきたコーチのブレスニクに付いてからは確かな自覚が芽生え、生活面からすべてを変えることを決心。以後、突如として結果が出始め、ランキングも急上昇させた。ベテランにも差し掛かる近年は再び不振に喘ぎ、低迷の一途を辿っているが、試合の中で感情をコントロールできずに崩れる以前の姿は減っており、むしろ自分のプレーに対して自信が持てるかの一点に復活の可否は懸かっていると言ってもいい。テニスの型や時に不遜ともとれる堂々とした態度からは想像しがたいほどに実は技術に関して繊細で神経質なのがグルビス。端的に言って破壊力は削ぎ落ちたものの、まだまだ一花咲かせる可能性を秘めた彼の一挙手一投足から目が離せない。