Jordan Thompson
生年月日: 1994.04.20
国籍: オーストラリア
出身地: シドニー(オーストラリア)
身長: 183cm
体重: 82kg
利き手: 右
ウェア: NewBalance
シューズ: NewBalance
ラケット: Babolat Pure Drive
プロ転向: 2013
コーチ: Peter Luczak
堅実な技術に裏打ちされたタイミングの早いストロークで対抗しつつ、最大の武器である巧みなネットプレーを積極果敢に仕掛けていくテニスを持ち味とするオーストラリアの中堅プレーヤー。年齢の割にまだまだツアーでの経験は少ないが、逆に言うとチャレンジャーレベルでの実績は十分で、確かな足場を固めてきたことが近年のトップ100安定に寄与している。17年クイーンズで当時No.1のマレーを撃破した番狂わせや19年スヘルトーヘンボス(250)での準優勝に示されるように、スピーディーかつ滑らかな展開でネットをとるクラシカルな豪州スタイルのテニスは芝との相性が良い。また、トップ10級の相手をしばしばロングマッチに引き込む粘り強さも彼の魅力で、明確な武器はなくとも一筋縄ではいかない強敵との認識が徐々にツアーで広まっている。コミカルな口髭をたくわえた容姿もトンプソンのトレードマークと言っていい。
コンパクトな振りで左右に確実に散らすストローク
相手の隙を見てネットに詰めたいスタイルではあるが、それでもベースはストロークである。志向としては攻撃的の部類に入れて差し支えないが、後方からの一発ウィナーを狙うわけではなく、小気味良い動きで高めのポジションをキープしてコンパクトな振りで左右に確実に散らしていく。フォアハンドはトップスピンを強く効かせて相手の自由を奪い、時折見せるハードヒット、中でも回り込みの逆クロスは十分な攻撃力を誇る。バックハンドは相手の球威をうまく受け止めながら運ぶように丁寧にコースを突くのが特徴で、その無回転系統の球種はどこか相手に打ちづらさを強いている雰囲気があり、また速いショットを跳ね返すカウンターショットも質が高い。スライスによるペース変化も自在で、全体的に強引に突破しようとしてミスを重ねるようなシーンはほとんどない。課題はインパクト精度に不安定さがあったりオーバーパワーに遭うことが散見されるフォア側の対応力といえよう。
お手本のような綺麗なボレーが主要なポイント源
粘りのラリーの末に仕掛けるネットプレーが彼の主要なポイント源である。ストロークが特別パワフルではなく、打ち合いで守勢に回ることも多いため、ネットの頻度が突出して高いわけではないが、膝を深く曲げて姿勢を低くし柔らかいタッチで広角にコントロールするボレーの技術力は極めて高い。そのほかキックサーブからのサーブ&ボレーやベースラインのかなり内側で捉えたところからのリターンダッシュなど、要所で効果的なネットラッシュを見せて相手にプレッシャーをかける戦術眼も光る。
単発でポイントを奪える強烈なサーブ
体を低く沈み込ませてパワーを生み出すクイック気味のサーブも武器の1つだ。特にデュースサイドのセンターフラットは210km/hを超える威力で常にエースを計算できる。1stの確率も安定して高く、またダブルフォルトの少なさも特筆に値し、やや突破力に欠ける彼のテニスの中にあって単発でポイントが奪えるサーブは大きな助けとなっている。
オーストラリアの系譜を受け継ぐテニスは要注目
決して派手さはないながら理詰めの展開でネットにつき、お手本のような綺麗なボレーで着実にポイントを重ねるテニスは、見る者に心地良さを覚えさせる。トップ30を目指すためにはストローク戦での一撃力を幾分向上させる必要があろうが、これぞオーストラリアの系譜というテニスは彼自身の実力がついてきた今大いに注目していきたい。