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Hyeon Chung

チョン・ヒョン

 生年月日: 1996.05.19 
 国籍:   韓国 
 出身地:  水原(韓国)
 身長:   188cm 
 体重:   89kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  LACOSTE 
 シューズ: adidas 
 ラケット: YONEX VCORE Pro 97 
 プロ転向 : 2014 
 コーチ:  なし 

 恵まれた体格を活かしてベースライン後方に堅牢な守備壁を構築し、相手に無理を強いりながら重く深いパワフルなストロークで反撃に転じる攻防一体型のプレースタイルで、日本の西岡とともに次世代のアジア勢を牽引する韓国の新鋭。15年に19歳で初めてトップ100に入るなどチョリッチと並んで同年代の中では最も早くランキングを上げてきたプレーヤーであり、その後一度下位に沈んだが、17年にツアーレベルで本格ブレイクを果たすと才能豊かな若手プロモーションの一環で開催されたNext Gen ATPファイナルズの初代王者に輝き、名実ともに次の時代を担う主役の1人であることが証明された。18年に入っても勢いは止まらず、全豪ではA.ズベレフやジョコビッチを撃破して鮮烈なベスト4進出を果たした。倒した面々を見るだけでも彼の実力に疑問はないが、まさしく真っ向勝負を挑んだ中でトップシードを下した戦いぶりは一気の飛躍すら予感させる凄みを放っていた。これによりイ・ヒュンテクの持つ韓国人最高位を更新、錦織がそうであったようにここからはアジアの枠を飛び越えた活躍が期待されている。ハードコートを最も得意とするが、ベースが安定しているためサーフェスを問わず実力を発揮できるタイプである。なお、幼少期に悪化し始めた視力を維持するために本格的にテニスに取り組むようになったこともあり、現在も眼鏡は彼のトレードマークとなっている。

競輪選手並みの逞しい太腿に象徴されるフィジカルの強さ

 ベースラインからのストロークは彼自身の憧れであるジョコビッチをまさに彷彿とさせるような柔軟性を活かしたオープンスタンスでの粘り強い返球や攻守の切り替えが際立ち、自ら先に展開するというよりは相手の攻撃を受け止める中でカウンターの機会を耽々と窺うのが彼の戦い方。それを支えているのは競輪選手並みの太さが目を引く逞しい太腿をはじめとしたフィジカルの強さであり、トッププレーヤーの怪我が相次ぐ昨今のツアー環境においては1つ大きなアドバンテージになりそうだ。

攻守にわたり強度の高いラリーを展開するフォアハンド

 打点の高低を問わず早い段階でボールの軌道にラケットを入れて構えることにより線で捉えることを可能としているフォアハンドは、指の先までまっすぐに伸びる左手の使い方が特徴的で、ラリーの応酬では執拗にクロスコートで対抗することが多いが、甘いボールに対してはダウンザラインへ綺麗に引いていくコース変更のうまさも併せ持つ。インサイドアウトのスイング軌道は相手に対してストレート方向を強く意識させられる分、クロスのアングルを突くショットで逆を取れる場面が多く、本当のチャンスを見極めて最も得意なストレートや逆クロスの強打を放ってくる。守備面では、押し込まれても下半身や体幹の強靭さ、リーチの長さによってしっかりと背中側にラケットを振り切ってボールを捉えることで打ち合いのインテンシティを落とさないのが彼の凄さである。また、相手のウィナー級のショットに対してスライドを駆使して追いつき、スライス面で返球する感覚の良さが守備力の高さに大きく寄与している。

癖を克服して安定性とパワーが増したバックハンド

 バックハンドも攻守の安定性と一撃のパワーを兼ね備えた大きな武器で、以前はラケットが波打つような非常に癖のあるテイクバックであったが、最近はシンプルな引き方に矯正し対応力がさらに増した印象がある。ダウンザラインを得意とし、スライスなどの低いボールを重心を落としてストレート方向へ切り返すウィナーは彼の最大の魅力といってもいい。また、弾むボールに対して地面を強く蹴って跳び上がりながら押さえ込むショットが光り、深いボールに対しても攻撃的な展開に持ち込めるのも強みだ。

タイミングが秀逸な小技が戦術に厚みを持たせる

 基本的には“剛”の色が濃いのがチョンのテニスだが、鋭いストロークで相手をベースラインに釘付けにすると特にフォアの精度が高いドロップショットで意表を突いたり、前に出てきた相手の頭上を抜くトップスピンロブや自らがネットに出た時のボレーの技術もそつがない。繰り出すタイミングが秀逸なこれらの小技は戦術に厚みを持たせるうえで重要な要素となっている。対戦相手とすれば、前後左右の振り回しや球種の変化などあらゆる選択肢を使って何とかチョンのバランスを崩したいのだが、どうしても引き離すことができず逆に自分が心身ともに追い詰められるというパターンが多い。

3球目の対応力にやや課題を残すサーブ

 膝の屈伸を使い全身の力をボールにぶつけるサーブは実際のスピードよりも圧力を感じ、フリーポイントを確実に計算できるクオリティがある。少しトスが背中側に流れる分、着地で体勢が乱れるために相手のリターンに対する3球目の対応力がラリー中のストロークに比べて落ちる傾向があり、2ndの弱さを克服するためにはフォームの安定が鍵となりそうだ。現状フラットからスライス系が軸となっているが、彼のパワーをもってすればスピンサーブを武器といえるレベルにまで磨き、バリエーションを増やすことも今後の課題となるだろう。

恐ろしく「強い」プレーヤーになる可能性を秘める

 驚異的なコートカバーリング力で相手の攻撃の芽を摘みつつ、的確な判断でネットプレーも含めたアグレッシブさを出していくという効率的かつ洗練された戦いぶりは若手の中では間違いなく抜きん出ており、さらにここ最近は雄叫びを上げる頻度も高まり、プレーヤーとしての迫力も増している。力強いストロークをミスなく打ち続ける韓国人らしいプレーの一貫性と、常に冷静な判断力と高い集中力で戦うメンタルの安定性を兼備した彼のテニスは、この先全体のスケールアップが図られると恐ろしく「強い」プレーヤーに成長する可能性を秘めており、今後の飛躍に大いに期待したい。