↓クリックをお願いします/↓優良スコア配信サイト 

20200215102533

Vasek Pospisil

バシェク・ポスピシル

 生年月日: 1990.06.23 
 国籍:   カナダ 
 出身地:  バーノン(カナダ)
 身長:   193cm 
 体重:   88kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  Original Penguin 
 シューズ: asics 
 ラケット: Wilson Blade 98 (18×20) 
 プロ転向: 2007 
 コーチ:  なし 

f:id:Kei32417:20200210170544p:plain

 長身から繰り出すビッグサーブを軸に果敢にネットにも仕掛ける展開の速い攻撃的なテニスを武器とし、ラオニッチとともに10年代以降のカナダテニスの躍進を支えてきた中堅プレーヤー。ジュニア時代はチェコにテニス留学をし、その後カナダのナショナルチームの一員として鍛え上げられた経歴を持つ。サーブにもストロークにも一発の魅力を備えたタイプだが、その実、豪快さよりも繊細な感覚がテニスの基盤になっている側面が強く、軽く打っているように見えるショットが相当な伸びによって相手を押し込むというのが彼のテニスの大きな魅力であり、このあたりは持って生まれたセンスに加えて東欧で実力を磨いた賜物かもしれない。13年に地元カナダのモントリオール(1000)でイズナーやベルディヒを破ってベスト4に進出したことをきっかけに自信をつけ、そのまま勢い溢れるプレーでトップへの階段を駆け上がった。当時は90年代生まれのプレーヤーの中で最も早くトップレベルに頭角を現した1人として期待も大きかったが、思いのほか結果に恵まれず上位に定着できないキャリアとなっている。高速系サーフェスとの相性が良く、最も得意とするハードコートのほか、15年にはウィンブルドンでフルセットマッチを3つ制する劇的な勝ち上がりを経て自身初のグランドスラムベスト8を記録している一方、クレーは全くと言っていいほど駄目で、戦績の偏り具合は逆に清々しいくらいだ。また、14年ウィンブルドンではそれまで組んだことのなかったソックとのペアで、ブライアン兄弟やパエス・ステパネクをはじめ錚々たるダブルス名手たちを撃破し、衝撃的な優勝を果たした。以後もそれがフロックではなかったことを証明するように強さを発揮しているが、2人でダブルスの練習をすることはないらしく、自他ともに“相性”の良さを認めている。集中開催にもかかわらず控え不在という窮地の中、単複に大活躍を披露してカナダを救い、同国を史上初の準優勝に導いた19年デビスカップの鮮烈なパフォーマンスは記憶に新しく、彼の強さを占ううえでは時々のランキングをあまり当てにしない方が賢明だろう。

角度とスピードでフリーポイントを量産するサーブ

 彼の最大の武器である強烈なサーブは膝を曲げた状態から全身をバネのように使い、伸び上がるようにしてボールを捉えるダイナミックなフォームが特徴。長身をより活かすために非常に高くトスを上げることでさらに角度を加え、センターはもちろんワイドの厳しいコースにも210km/h前後のフラット系の高速サーブを入れられるのが強みとなっている。また、ダブルスでの活躍が増え始めた頃からサーブ&ボレーの頻度も高まり、柔らかいタッチで短く落とすボレーとのコンビネーションで、より多くのショートポイントを奪えるようになった。逆にベースラインに留まった時の3球目の処理がいまひとつで、もう少し速い反応と滑らかな動きでボールに入っていけるとミスも減りそう。ダブルフォルトの多さや確率の低さなどの懸念材料もあるものの、全体としてはどんな相手に対しても十分通用するサーブといえ、今後改善されてくればツアー随一のサービスゲームを構築できそうだ。

低く鋭く滑らせるボレーが武器のネットプレー

 ツアーでもその質の高さは上位に位置するのがネットプレー。サーブからの速い展開に加えて、ストローク戦において早めに縦に切れ込んでネットに詰める仕掛けを多く使える試合の彼は非常に脅威だ。フォアのストレート強打からのアプローチが確立されたパターンであるが、その際の前進しながらショットを打つ自然な動き、ネット前での落ち着いた雰囲気、そしてボレーは丁寧なタッチで常にアンダースピンをかけることでボールを低く鋭く滑らせる類稀な能力が光る。劣勢の試合展開では奇襲も含めてもっと回数を増やしても良いのではないかと思わせる完成度の高さである。

軽快な足運びとスイングから高速ショットを放つフォアハンド

 極力リラックスした状態からラケットヘッドを走らせることでボールにスピードをつけるフォアハンドも大きな武器の1つで、特にリズミカルな足運びで回り込んで逆クロスの鋭角やストレートに叩き込むショットは相手にとって脅威となっている。また、その強さを相手は警戒してポジションを下げるため、同じ回り込みからドロップショットで前に落とし、ネット勝負に持ち込むパターンも使う。フォームの特徴ゆえに肘を伸ばし切らずにボールを捉えられる位置に来れば、たとえ追い込まれていても強烈なカウンターを繰り出すこともできる。加えて、浅く低いボールには非常にコンパクトなスイングで対応するうまさも兼ね備える。相手としては彼に対してバックサイドのボールをフォアで打つ状況を作らせてしまうと、抜群の攻撃力の前に防戦一方に立たされるため、左右の振り回しを有効に使っていくのが得策だ。

狙い撃ちに耐える安定感を身につけたいバックハンド

 若干フォームの硬さが拭いきれないバックハンドは確実にボールを集められると早い段階でミスを出してしまう不安定さが弱点。キレのあるスライスを効果的に交えながら展開を作るが、もう少し自ら積極的に打ち込む強打の怖さがほしいところだ。ただし、フォアの決定力が突出している彼の場合、その得意のフォアで自由に打ち込んでいくために、スライスの緩いボールも含めてバックはいかにしっかりと深さを出せるかが鍵といえる。

敏捷な動きは魅力も脆弱な守備は課題

 大きな体格を感じさせない敏捷性を持っており、コートカバーリングの広さや身体の柔軟性を活かした粘り強い返球も魅力である。技術的にフットワークが未熟な部分は残り、また基本的に狭めのスタンスで打つため体重を前に乗せる攻撃時には問題ないが、強烈なボールを弾き返す守備時には脆弱という特徴もある。とはいえ、大柄な割に小刻みにステップを踏んで打点に入っていくタイプであり、その点では大いなる伸びしろがあるといえるだろう。持ち前のキレのある攻撃力をより活かすためには全体にもう少しポジションを前に上げて戦う意識を徹底したい。

繊細な感覚で操る上品なテニスは遅咲きの可能性あり⁉

 相手に粘られたり、気分的に乗ってこないと粗さが目立ってきて、相手のレベルに関係なくミスを連発してしまう弱みがあり、テニスの完成度が高く、大きな武器も持っている割に成績の波が激しい大きな要因となっている。しかし、若くランキングが低かった頃からデビスカップ代表に選ばれていたことで、メンタル面は比較的成熟しており、大舞台でも硬くならず、また地元の声援を緊張ではなく力に変えられる強さを持っている。技術的な課題はいくつかあるが、それは言い換えれば未だ成長の余地があるということで、とりわけリターンゲームの質が向上すれば、大きな大会でも上を狙えるポテンシャルは間違いなく持っている。高度な技術が要求されるプレースタイルは、年齢による衰えよりも経験の蓄積による実力の純増に繋がるケースが多く、彼もその手の遅咲きプレーヤーに名を連ねる可能性がある。近年カナダはシャポバロフやオジェ・アリアシムなど有望な若手を輩出しており、ポスピシルは彼らの頼れる兄貴分としての存在感も発揮しているが、彼自身のキャリアもまだまだ上り坂であり今後も目が離せない。