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David Goffin

ダビド・ゴファン

 生年月日: 1990.12.07 
 国籍:   ベルギー 
 出身地:  ロクール(ベルギー)
 身長:   180cm 
 体重:   70kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  asics 
 シューズ: asics 
 ラケット: Wilson Blade 98 (18×20) 
 プロ転向: 2009 
 コーチ:  Germain Gigounon 

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 スピード感溢れる展開力と堅いディフェンス力を武器に、果敢にオープンコートを突いて相手を振り切る攻撃的なストロークを持ち味とするベルギーのオールラウンダー。ラッキールーザーとして初のグランドスラム本戦出場権を得た12年全仏で4回戦進出を果たし、憧れのフェデラーからセットを先取したことで一躍脚光を浴び、世界にその名を知らしめた。翌年は左手首の怪我に苦しみ、一度ランキングを大幅に落としたものの、14年後半にチャレンジャーレベルでの3週連続優勝に続き、キッツビュール(250)でツアー初タイトルを獲得するなど驚異の25連勝を記録し、ATPのカムバック賞を受賞するとともに、本格的にトップの仲間入りを果たした。また、15年にはデビスカップで当初強国とは目されていなかったベルギーをエースとして牽引し決勝へと導く活躍を見せた。そこで得た自信と経験が以降の躍進の原動力になったことは間違いなく、特にモンテカルロ(1000)でジョコビッチに土をつけてベスト4進出、ATPファイナルズナダルフェデラーを破ってファイナリストに輝いた17年の活躍はツアータイトル2つという数字以上の価値があり、まさにビッグ4を脅かす存在の1人として期待度は上昇している。また、16年にはローマの3回戦で終始ゾーン状態を維持した彼がベルディヒを圧巻のダブルベーグルで下して話題になったこともあった。クレーコートでのイメージが強く、実際育った環境の影響もありクレーで強いが、ハードコートでも戦闘力が落ちるタイプではなく、むしろ展開スピードで勝負するプレースタイルから判断する限り、ハードの方が適性は高いようにも見える。運動神経の良さが生み出す動きの速さと、弱点のない技術力で相手の力を吸収しつつコートの奥行きを駆使して攻守を切り替える端正なテニスは、見ていて面白いと評判も高く、日本の錦織とプレーの感性が似通っているという声も多い。

クリーンにボールを打ち抜く打球センスが光るストローク

 フォアハンド、バックハンド両サイドから遜色なくクリーンに鋭くボールを打ち抜くことのできるストロークは彼の最大の武器である。円を描くようなテイクバックとインパクト後の手首の返しが特徴的なフォアは、ラケットヘッドに引っ掛けるような技術がベースにある分、クロスに放つショットが常にアングルを突いて相手を走らせることができるのが強み。どんどん外側に切れていく軌道は対戦相手に対して追いつけそうで追いつけないという感覚に陥れることができる。ボールのスピードは平均的なのだが、テンポの速さとの錯覚で相手はタイミングが取りづらく、対抗策として一歩前に踏み込んで打てるか、あるいは待ち切れるかどうかが問われているといえる。比較的スピードの遅いループ気味のスピンボールで打ち合いながら、機を見てフラット系のダウンザラインで一気にペースを上げるパターンを得意としており、一瞬でスイッチを切り替える際の判断、動きのキレ、ショットの軌道の差は見ものだ。ただし、一定以上のパワー・スピード・深さのあるショットに対してはラケットが弾かれて甘いボールを返球してしまう傾向があり、年々改善の兆しは見られるとはいえここが唯一やや非力さを露呈している弱点だ。重さのあるショットでは元々ないため、プレースメントが甘くなると相手にとっては気持ち良く上から叩けるボールとなってしまうのが彼にとっては苦しいところだが、1本目の強打をミスなく返球できるようになれば、自慢の展開力でラリーを支配する形へと持ち込めるはずだ。フォアはグリップが厚い分スライスへの対応にも難があり、持ち上げきれずにネットに掛けるシーンが目立っている。一方、彼自身が最も得意と話すバックは自由自在で、踏み込んでクロスへストレートへと十分な威力でサイドラインに吸い込まれるように美しく決まる。特にダウンザラインへのウィナーは随一の精度を誇り、打点やリズムを狂わせようとスライスを打たれてもその正確性はまったく乱れない。技術的にはボールをしっかりと引き付けた打点から繰り出すため、ハイテンポの中にも一瞬溜めがあり、これにより相手の足を完全に止めることができる。また、フォアと異なり攻め込まれても確実にクロスのコーナー付近へ鋭いショットを返し押し戻す力強さを備えている。

一瞬の隙を見逃さずにコートの中に切れ込む秀逸な動き

 各ショットにそれほどパワーがあるわけではなく、一発でエースを狙えるこれといった明確な武器はないが、その分相手のショットのコースを読んで素早く滑らかにポジションに入り、強打の威力を利用してキレのあるカウンターでコートを広く使うことで、攻撃的かつ多彩なゲーム展開を可能にしている。身体の線は細いが、コートを走り回ってもバランスを崩さず、しっかりとコントロールした鋭いボールを連続して打てるのが強みであり、また少しでも余裕があればベースラインの内側に斜めに切れ込んで、早いタイミングで次々とストレートへ打ち込んでいく度胸満点の強気なショット選択が大きな特徴であり、好調時のストロークフェデラーと肩を並べられるほどのタイミングの早さがある。ストローク戦でのポイントとして、ベースラインから大きく下げられる状況では彼の良さは出にくく、一球の甘いボールでコートの中に入ってプレーできる態勢を常に整えることが優位性を確保する鍵となっている。また、高速ペースのラリーには強い一方、自ら打たされるような対戦ではミスを重ねて敗れることも少なくない。豪快さで勝負するタイプではないだけに、全体に精度を向上させてミスの連発を避けるとともに、さらにその先ラリー中のすべてのショットが厳しいコースに入るというところまで磨き上げていきたい。

判断は良いが技術には改善の余地があるネットプレー

 ストロークで優位に立ってネットプレーで仕留める形も彼の得意とするところであり、ストローク戦で逆を突いて相手がバランスを崩したその隙を見逃さず、流れるような動きで一気に縦に詰めてボレーというパターンが多い。逆にサービスライン付近のボールの処理からネットにつく際のアプローチショットの精度には改善の余地があり、特にフォアは持ち上げるスイングにやや硬さが出る部分を克服したい。また、前に詰めるスピードやタイミングは良いが、ボレーそのものの技術力やコースの判断力に未熟さが残っているのが玉に瑕。彼のネットプレーは回転系のボレーを目の前に落とす形がほとんどを占める。もちろんドロップボレーはどんなに読まれていても相手の届かないコースにコントロールできれば問題はなく、実際極めて繊細なタッチの感覚を持っているとはいえ、構えの時点でラケットヘッドが下がるフォームは強烈なパッシングの球威に負けるリスクがあり、もう少しシンプルに弾き返すような技術に切り替えても良いだろう。

巧妙なテクニックでコースを読ませないサーブ

 200km/h前後のフラットサーブと鋭く切れるスライスサーブを主な持ち球とするサーブは、ここ最近著しく質が向上し徐々に武器へと進化している。脱力したフォームとゆったりとしたトスアップから放たれるが、実にコースが読みづらく、センター・ワイドともにラインを捉えるコントロールも抜群。特に長身ではなくスピードもさほど速くない中でエースを積み重ねていけるという点では、フェデラー並みの巧妙なテクニックでボールを操っているといえる。とはいえ、トップ10の地位を維持し、さらにもう一段階ステップアップするためには、とりわけ2ndにおいて得意のスライス系とは逆方向に弾む強力なスピンサーブを習得するなどしてサービスキープ力の向上を図ることが必須の強化ポイントとなりそうだ。その意味ではトップに向かう過程は錦織に近い部分があるといえるかもしれない。

相手の思い描く戦術を封じる的確なリターン

 強烈なサーブにも巧みなラケットワークでしっかりと面を合わせて鋭く返球するリターンのうまさは、極めて高いブレーク率を誇る要因となっている。その読みと反応はツアーでもトップクラスで、長身のビッグサーバーや多彩なサーブを持つ上位陣を相手にしてもコンスタントに得意のラリー戦に持ち込む安定感によってサーブの優位性を奪い、加えて要所で強烈なリターンエースを浴びせることで相手に心理面でかなりの圧力をかけていく。中でも光るのはワイドサーブを止める力であり、両サイドともにこのコースを的確に対応することによりサーバーが思い描く戦術を封じ込む。

充実期を迎え覚醒の予感漂う

 女子の元No.1エナンがかつてゴファンを評して「この子がダメならベルギーの男子はしばらくダメ」と話したほどの逸材であることを考えれば、彼のキャリアはここ数年でようやくスタートを切ったというところだろう。16年以降安定した戦績で常にトップ10付近に位置づけてきた事実が証明する通り、テニスの完成度はすでに非常に高く、フィジカルのレベルが上がり、攻守両面でショットの決定力に磨きがかかってくれば、混戦の様相を呈してきているATPツアーなだけに一気の飛躍もあり得る。ツアー決勝6連敗を喫していた頃は勝負弱いところも目についたが、17年後半の充実した戦いぶりで完全にその殻は破ったと言っていいだろう。覚醒の予感も漂っているだけに、今後はとりわけ大舞台でどれだけ突き抜けた結果を残せるかに注目が集まる。