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Roberto Bautista Agut

ロベルト・バウティスタ・アグート

 生年月日: 1988.04.14 
 国籍:   スペイン 
 出身地:  カステリョン・デ・ラ・プラナ(スペイン)
 身長:   183cm 
 体重:   75kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  LACOSTE 
 シューズ: Mizuno 
 ラケット: Wilson Pro Staff 97 (18×20) 
 プロ転向: 2005 
 コーチ:  Daniel Gimeno-Traver,
       Tomas Carbonell 

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 上背に恵まれない分を幼少時にサッカーで鍛え抜いた抜群の脚力で補い、相手からの攻撃を粘り強く跳ね返しつつ、フォア、バック両サイドから大きな角度をつけたショットで相手を振り回した末にラリーをものにするしぶといストロークを持ち味とするベースラインプレーヤー。同郷のフェレーロを憧れの存在と話すように、彼もまたフォアの強さを軸としたダイナミックな展開力で勝負するタイプ。テニスのスタイルとしては比較的堅実さが強みとなっている分、決して派手さはないが、14年にマドリード(1000)で初のマスターズベスト4進出を果たして以降はトップらしい非常に安定した成績を残し続けている。当初彼のトップ20入りというのはあまり予想されていなかっただけに、14年にそのシーズンで最も成長したプレーヤーに贈られるATPの賞に選手間投票で選ばれたことも頷ける。早いタイミングでボールを捉えて回転量の少ないフラット系のショットを打ち込んでいくテニスは、慣れ親しんだクレーよりもむしろ高速系サーフェスで強さを発揮する傾向にある。14年のツアー初優勝を見ても芝のスヘルトーヘンボス(250)とスペイン人にしては珍しい実績があり、また特にハードコートではベルディヒやデルポトロ、ツォンガといったパワー系プレーヤーに対して相性の良さを見せており、ツアーで軽視禁物の存在となっている。16年の上海マスターズ(1000)では準決勝でジョコビッチに競り勝つアップセットを演じ、最終的には準優勝に輝くサプライズを提供した。さらに一段階スケールアップした19年には全豪でベスト8、ウィンブルドンでベスト4とグランドスラムでの上位争いにも絡み始めており、キャリアの充実期を迎えている。

ボールを払う独特なスイングで繰り出す伸びやかなフォアハンド

 薄めのグリップでボールを下から払うようにしてしなりを効かせた独特なスイングによって繰り出されるフォアハンドは彼の最大の武器で、上体がぶれない分、精度が非常に高いことに加え、球筋がかなり読みにくく、かつ深いショットがバウンド後に伸びてくるため、見た目以上に相手に与えるダメージは大きい。フォームとの関係で最も力強いショットが打てるのは太腿から腰にかけての高さだが、軽やかなフットワークと読みの良さを駆使して常にその打点で捉えられることが、ミスを出さずに強烈なショットを一発ではなく連射できる高い能力を生んでいる。また、コートの大部分をフォアでカバーできることが攻撃的な展開を可能にしている要因でもあり、鋭い振り抜きからクロスコートに引っ張る強打やバックサイドあるいはコート中央付近からの逆クロス、長いラリーからのカウンターストレートなど決定打を多数備えている。非力に見えて実は少々打点が詰まっても力強くもっていく技術とパワーがあることに加え、ラケットが長く見えるほどリーチが長いという特徴を持ち、とりわけ基本ポジションとするベースライン後方でその能力が活かされている。それほど積極的にコートの中に入ってプレーするタイプではないが、それでも攻撃力が落ちずウィナーを多く取れるのは、フォアに安定して深さを出す正確性だけでなく、力感のないスイングからは想像もつかないような突出したショットスピードがあればこそで、相手としてはたとえベースライン後方であっても彼に構えた状態でフォアを連続して打たれると展開が苦しくなる。

テンポアップと大胆さが課題のバックハンド

 バックハンドはクロスに角度をつけるのを得意とするが、ややクロス一辺倒になって先に展開されるケースが多く、ストレート方向への攻撃を増やすなど、もう少しフォアのような大胆さが求められる。技術的にはボールの落としすぎや待ちすぎの傾向があり、彼の中では確率を上げるための手段なのかもしれないが、結果的にそれがパワーと精度の両面を犠牲にしてしまっている。また、スライスを交ぜて変化を加えようとする姿勢自体は評価できる一方で、その質が伴わないために相手にチャンスボールを供給してしまうことが多いのが現状だ。それと関連するところで、とりわけ格上との対戦において長いラリーから仕留めにかかる場面でフォア、バック両サイドからドロップショットを多用するが、彼のストローク力をもってすれば決して得意ではない技巧的なショットで自分から仕掛けるよりは、むしろひたすら打ち粘って相手側の根負けを狙った方が結果的にポイントを取れる確率が高まりそう。自らテンポを上げていくショットが見られず、打点の高低や緩急の揺さぶりについていけないシーンも散見されるこのバックは改善の余地が残されている。

脚力と予測力を活かしたツアー屈指の粘り強さ

 粘り強い返球をしながら耽々とチャンスを窺う中で、持ち前の予測力も活かして徐々に形勢を守から攻へと切り替えていき、最終的に自分からライン際へ打ち抜いてポイントを取っていくのが基本的なパターンで、それほど一発のカウンターの怖さはないが、相手としては速い攻めを仕掛けているにもかかわらずロングラリーが増えるという展開に引き込まれると非常に厄介というのが彼のテニスの特徴といえ、彼との対戦ではある程度の心身の消耗は覚悟しなければならない。近年は両サイドともにディフェンス局面において確実にボールをクロスに戻す正確性が高まったことで、より一層しつこさに磨きをかけており、自分の返球が厳しい分だけ主導権を握って攻撃する機会も増えている。

安定感のあるテニスを支える確率重視のサーブ

 平均で70%近くを記録する確率の高いサーブも、安定感のあるプレースタイルに大きく寄与している要素の1つである。フルパワーでエースを取りにいく類の1stではないとはいえ、ある程度フラット系を軸に、ライン際を狙って相手を崩すことのできるサーブでツアートップクラスの高確率を誇っていることは特筆に値する。今後はいかに確率の高さを維持したまま、サーブ一本でポイントを取るような形を作っていけるかが課題となる。

容易にフリーポイントを与えない確実なリターン

 確実性に秀でるリターンが彼の安定性を支えている面も見逃せない。ラリーやサーブ同様にエースを奪われる怖さは決して大きくないが、速さに屈せず変化にも崩れず、なかなかフリーポイントをくれない嫌らしさがある。バックハンドの厚い握りでサーブを待つ姿勢がフォア側の対応力をやや低下させている面も否めないが、引きつけた打点で打ち返せるフォアハンドの特徴がそれを補っているともいえる。

更なる上積みを狙うならばプレーの選択肢の増加が鍵

 ナダルより下の世代から伸びてくる人材に乏しかったスペインにあって、14年に本格化したバウティスタ・アグートの存在は同国にとって光となった。すでに若いとは言えない年代であるが、持ち前の年間を通したタフさに衰えは見えず、精力的に大会に出場しては虎視眈々と上位を窺っている。格下のプレーヤーにはほとんど負けないというあたりは彼の堅実なテニスをよく表しているが、トップ10級を破っていくためには、素早いフットワークとフォアの強打を基盤とした攻撃の切れ味に磨きをかけるべくポジションをもう少し上げて戦いたい。また、プレーの選択肢を増やす必要もあり、その意味で今後はサーブ、リターン、ネットプレーなどストローク以外の要素が飛躍の鍵を握りそうだ。