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Gael Monfils

ガエル・モンフィス

 生年月日: 1986.09.01 
 国籍:   フランス 
 出身地:  パリ(フランス)
 身長:   193cm 
 体重:   85kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  ARTENGO 
 シューズ: ARTENGO 
 ラケット: TR960 Control Tour 18×20 
 プロ転向: 2004 
 コーチ:  Gunter Bresnik,
       Richard Ruckelshausen 

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 長い手足と超人的な身体能力を活かした驚異的なコートカバーリングを最大の持ち味とする守備的なプレースタイルで、伝統あるフランステニスの中でもとりわけ大きな個性を振りまくプレーヤー。ジュニア時代の04年に全豪・全仏・ウィンブルドンの3冠を達成し、鳴り物入りでデビューを果たすと、05年には18歳にしてすでにソポト(250*)でツアータイトルを獲得するなど将来の華々しいキャリアが予想されたが、長くメンタルの弱さを克服できず、現在に至って最大のタイトルがATP500の16年ワシントンと19年ロッテルダムというのは彼のポテンシャルを考えればあまりにも寂しい。試合中に度々魅せる野性味溢れる動きやアクロバティックなプレーで自然と観客の目を奪ってしまうのが彼の最大の魅力であり、ある意味では最も惹きつけられるプレーヤーといえる。ゆえに地元フランスでの人気も高く、非常に大きな声援を受ける国内の大会は、気分がテニスにダイレクトに反映される彼にとって最高の舞台であり、実際に全仏では08年の準決勝進出を含む4度のベスト8以上、パリマスターズ(1000)でも09年と10年にファイナリストに輝くなど、他の大会に比べて相性の良さを見せている。「フランス以外での試合は仕事という感じがして好きじゃない」というのはいかにもモンフィスらしい愛嬌あるコメントだ。とはいえ、基本的には遅いクレーから速いハードコートまで、芝を除けば少しずつプレーを変えながらサーフェスを問わず強豪らしい強さを発揮できる。注目すべきは何といってもスピードで、サーブやストロークの単純なボールスピード、コートを縦横無尽に駆け回る動きのスピード、意を決してボールを叩きにいく時のスイングスピードなど、スピードと名の付くおよそすべての要素を彼は見どころにしてしまう。それでいて、フランス人プレーヤーらしい繊細なテクニックも数多く持っているため、次に何が出てくるか予想がつかない楽しさも彼の試合の魅力になっている。天賦の身体能力ゆえ怪我に悩まされることが非常に多いが、その潜在能力に疑いの余地はなく、勝ち試合をいたずらに長引かせてしまう癖を解消し、好調が大会単位で続くようになれば、本気でグランドスラムを狙えるはずだ。また、大会ごとに変わるヘアスタイルやポイント間における1つ1つのしぐさ、背中に描かれた守り神の意味を持つ翼のタトゥーなども要注目ポイントだ。

キャリアを通じて攻守のベストバランスを模索し続ける

 ストロークは基本的には丁寧な繋ぎの中で相手のミスを引き出したり、もしくはじっくりとチャンスを待ってから爆発力のある強打でウィナーを狙っていくスタイル。デビュー当時は野放図ともいえるほど攻撃志向が強く、非常にリスクの高いパワー重視のハードヒットを多用していたが、成長していく段階で繋ぎのショットを覚えてミスが減ったのと同時に、テンポの緩急でより効率的に攻めるテニスへと変わっていった。ただし、相手も同じように繋いでくるのであればそのペースに付き合い、ハードヒットしてくる相手には同じく強打で応酬する傾向があり、許容範囲が広いと言うこともできるが、もう少し主体性がほしいのも事実である。その点、最近は試合展開によっては自分からの速い攻めでポイントを重ねようという姿勢も見られ、守備一辺倒からの脱却に取り組んでいる。恵まれた体格を活かして打ち込むダイナミックなストロークは、両サイドともにベースラインの遥か後方からでもエースを奪える破壊力があり、彼自身にその意識があるかは別として、強打してくるタイミングが定石とは大きく異なるため、相手としては度々不意を突かれる形となる。豪快なハードヒットテニスと丁寧にコースを突く手堅いテニスの両方を持つが、その中間に当たる攻撃力と安定感を両立したテニスができないのが難点で、いまだに攻守の出し入れの判断力にはムラがあり、常にそのベストバランスを模索しながら戦っている。

リストの強さと柔らかさがパワフルかつ多様なショットを生む

 厚いグリップから放たれるフォアハンドは、広いスタンスでしっかりと腰を落としつつ上半身を捻って溜めを作り、リストの強さと体の軸回転を最大限に利用するのがフォームの特徴で、左右高低の球筋が非常に読みにくく、軌道を上げた強烈なスピンの強打でもショットに相当なスピードが出るためウィナーが多い。トップスピンを多めにかける確率重視のショットは相手からすれば一見すると浅いチャンスボールなのだが、無理に仕掛けに転じようとすればそれはモンフィスの思う壺で、そうした誘いに乗ると反撃に遭う可能性が高い。そのほか、ラケットヘッドに引っ掛けて角度をつけるカウンター気味のアングルショットや時に180km/hを超えてくるフラット系の凄まじいハードヒットなど、変化に富んだ球種をほぼ同じ構えから繰り出すことができるため、相手にとっては緩い打ち合いでも気が抜けない。柔らかなリストワークを使って放つしなやかなバックハンドもパワーと配球範囲の広さを活かした攻撃力やオープンスタンスで粘る返球力の高さはフォアにも劣らない。パッシングの精度に磨きをかければより怖さが増してくるだろう。

サーブもまた剛柔を兼ね備える

 ロディックに似た狭いスタンスで両足を揃える独特なフォームから繰り出される威力抜群のサーブも彼の武器の1つで、1stは最速220km/hを超えるフラットサーブを備え、どんな相手も苦しめることができる。また、アドバンテージサイドからセンターを狙って放つスライスサーブは抜群のキレを誇る。2ndもかなり思い切って打っていくのが特徴だが、ダブルフォルトの多さは致命傷にもなりかねない大きな欠点だ。加えて、威力の割にポイント獲得率など数字の面が伸びてこないのは、サーブとそれ以降の攻めに連動性を欠いているのが大きな原因だが、最近は決して得意ではないが効果的にサーブ&ボレーを組み込んだり、3球目の攻撃性を高めたりと、サービスゲームを意識的に短い時間で終わらせようという工夫が見える。

バネのような肉体を駆使した驚異的なコートカバーリング

 軽快で躍動感溢れるフットワークはストローク戦での粘り強さを支える彼の最大の魅力である。全身バネのような強靭かつ柔軟な肉体を余すことなく使い、縦横無尽にボールを追う姿はまるで豹が疾走しているかのようにスピーディー。ラリー中の基本ポジションをベースラインから3m近く後方に取り、あらゆるウィナー級のショットに対してことごとく返球する守備力はまさに圧巻の一言で、クレーはもちろんハードコートでも柔軟性を活かし、激しいスキール音を伴うスライドフットワークを駆使して、不可能ともいえるほど広大な範囲をカバーし反撃に結びつける姿から「スライダーマン」の異名をとる。また、逆を突かれた時に見せるダイビングショット、バックサイドの厳しいボールを後ろ側の左手一本で返球するディフェンス、信じられないような跳躍力から繰り出すダンクスマッシュ、相手のスマッシュへの対処で見せるジャンピング股抜きショットなども彼ならでは即興プレーで、それらを行なって実際にキャリアを彩るようなスーパーポイントを数限りなく生み出している。ただし、やや無駄ともパフォーマンスともとれる動きも多いが、そうした要素が彼のテニスを語るうえで欠かせないものとなっている以上、ある程度のスタンドプレーを維持したままトップレベルで戦い抜くためには、ポイント後に肩で息をすることのないようスタミナ面を向上させたいところだ。またそれらの反動か、両膝に深刻な故障を抱えてしまい、年間通しての活躍は見込めなくなってきている。

プレー中の喜怒哀楽は魅力も自滅癖は克服したい

 メンタル面はまだまだ未熟な部分があり、現在の状態ではトップレベルに達しているとは決していえない。元々プレー中表情に喜怒哀楽がはっきりと表れるプレーヤーで、特に「Allez!」の雄叫びでスイッチを入れ、観客を巻き込んで流れを掴んでいく一連の戦いぶりは高く評価できる。しかし、勝負所でそれまで打っていなかったショットを突然織り交ぜて自滅する、一旦崩れ出すとミスが止まらなくなる、無駄にトリッキーな打ち方をするなどといった悪い癖が頻繁に見られ、全体的にはやはりマイナスに傾く要素が多い。格上を瀬戸際まで追い詰めながら勝ち切れなかったり、自らのサービスゲームで40-0からあっさりと逆転されたり、ツアーで準優勝が非常に多いのも、少なからず心理面が影響している。年間通じて安定した成績を残し続けるためには、自分のメンタルをコントロールできるように改善することが不可欠である。

観客を楽しませながら勝つのことを美学とするエンターテイナー

 自分のテニスを1つのエンターテイメントとして捉え、観客を楽しませるプレーをして勝つのを美学として持っていることでも知られ、生粋のエンターテイナーであると同時に、それはある意味ではプロ意識の高さともいえるかもしれない。これまでは時に楽しませることが先に出て、結果に執着できず勝ちを取りこぼすこともあったが、長期離脱という苦い経験を経て、再び上を狙う強い気持ちも出てきている模様。コーチであるティルストロムの下、かつてない猛練習に励み、ハイレベルなパフォーマンスを年間通して発揮してキャリア最高の6位を記録し、ATPツアーファイナルズ初出場も果たした16年のプレーぶりはまさしくそうした心意気が生んだ賜物といえるだろう。その時々の体調や気分次第で結果が読みにくく、ツアーの不確定分子として、またテニスの常識を超越した奇想天外なプレーヤーとして今後も目が離せない。