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Andrey Rublev

アンドレイ・ルブレフ

 生年月日: 1997.10.20 
 国籍:   ロシア 
 出身地:  モスクワ(ロシア)
 身長:   188cm 
 体重:   75kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  RUBLO 
 シューズ: NIKE 
 ラケット: HEAD Gravity Pro 
 プロ転向: 2014 
 コーチ:  Fernando Vicente 

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 細身の体型ながら瞬発力とバネのあるフィジカルを活かし、速いラリーの中で絶え間なく強烈なストロークを繰り出して相手の守備を打ち破る速射砲型の超攻撃的なテニスを持ち味とするロシア期待の若手有望株プレーヤー。ジュニアNo.1という輝かしい経歴もあり、かなり早い段階から世界の注目を浴びる中で、プロ転向の14年以降フューチャーズ、チャレンジャー、ツアーレベルと一歩ずつステップを踏んで着実に成長曲線を描いてきた。17年にはウマグ(250)でATP史上7人目となるラッキールーザーとしての大会制覇を果たし、10代でのツアータイトル獲得の快挙を成し遂げた。また、同年全米ではディミトロフ、ゴファンといったシーズンの主役たちをストレートで下してベスト8に進出するサプライズを披露し、一気に若手世代をリードする存在となった。その後怪我による離脱があって逆に同世代の出世レースには後れをとった感もあったが、20年に凄まじい進化を遂げて5タイトルを含め同シーズン最多の勝利数を記録、上位プレーヤー以外にはほぼ無敵と言っても過言ではない安定した力を発揮するまでに至り自身初のトップ10入りも果たしている。特にATP500における強さは目覚ましく、20年ハンブルク(500)から21年ドバイ(500)にかけて驚異の23連勝を成し遂げた。下半身の踏ん張りがショットの力強さの鍵となる彼にとって、相性が良いのは滑るサーフェスのクレーや芝よりも激しい動きの中でも急停止ができるハードコートである。また、同胞で兄貴分のような存在であるハチャノフと組んだダブルスで結果が出ており、基本的にボレーが得意なタイプではなく前衛での動きはある種奇妙ですらあるのだが、両者がベースラインから放つ強烈な突き球ストロークやリターンはダブルス専門プレーヤーたちを震撼させている。

爆発的なショットスピードが見る者を魅了するフォアハンド

 彼の攻撃力の大部分を構成しているのが、広いスタンスで力を溜め込み上半身の凄まじい軸回転としなやかな手首の返しによって爆発的なスピードをボールに伝えるフォアハンドで、スイングの鋭さや非常に綺麗なショット軌道は見る者を大いに魅了する。まさに“一撃必殺”という表現が似合うショットであり、彼にフォアで先手を取られて3本以上持ち堪えられるプレーヤーはツアーにもそう多くはいない。激しい打ち合いの中でフォア側のボールに対応する際に、右足を一直線に伸ばして踏ん張り、低い姿勢からカウンターに転じるのが彼のスタイルであり、ベースライン後方にポジションを下げたり、ラリーのペースを落として守りに徹するということはあまりない。膝から腰にかけてのやや低い打点から最も強いボールを放つ点はロシア人らしい特徴といえ、特に彼は一定のタイミングで捉える感覚に優れている。ハードヒットの連続で相手を追い込むと、最終的には最も得意とする回り込み逆クロスをサービスライン付近の浅いところにコントロールしてポイントを締めるのが確立されたパターンとなっている。現状でも威力に限ればすでにツアー屈指だが、今後精度を上げてミスを減らすことができれば「世界最高のフォアハンド」と称される時代も来るかもしれない。

安定性を向上させてフォアとのバランスを見出したいバックハンド

 バックハンドは前方へ踏み込めた時にはクロス方向を中心に相手を追い込むだけの威力あるショットを繰り出せるが、体軸のぶれないフォアと異なりフルスイングで捉える際に少し頭の位置が動く分ミスになることが多く、フォアを多く使わせてもらえない展開では苦しくなる。それでもオープンスタンスでのカウンターやスライスによる凌ぎなどを習得しつつあり、元々難のあったディフェンスの局面での対応力は向上傾向にある。ダウンザラインへのコース変更で力が入り硬さが出る癖を改善できれば、彼の理想とするアグレッシブなテニスに上積みとなることは間違いないが、自分の打つショットが速すぎて次の対応に間に合わない場面も見受けられるだけに、圧倒的なフォアとのコンビネーションを念頭に攻撃力と安定性のベストバランスを模索していきたい。そのヒントとなるのはリターンやパッシング時に見せるコンパクトにブロックして返球する打ち方だろう。

1stのポイント獲得率が突出する進化を遂げたサーブ

 サーブはストロークなどに比べて進化が遅れ、最重要強化ポイントの1つとなっていたが、20年シーズンの大活躍はまさにそのサーブの劇的な改善によってもたらされたと言っていい。スライス系を配球の軸としつつ強烈なフラット系でコンスタントにエースを奪い、また3球目以降の速攻の質も申し分ないことから、特に1stのポイント獲得率が突出する。2ndのスピンサーブも以前は浅さが気になり、ネットに掛けるダブルフォルトも多く、もう少しラケットに厚く当てて距離を出す取り組みが求められていたが、ここ最近は緊張する場面を除けば安定性を確保しながら厳しいコースを狙えるようになってきている。

トップ5への挑戦の鍵はプレーの幅

 今後彼がトップ10に定着してさらにその上へ挑戦していくためには、集中力の浮き沈みが激しいメンタル面での若さをいかに早い段階で克服できるかが大きな鍵を握る。試合展開の優勢劣勢を問わず常に感情を表に出す気性の荒さは1つの個性といえるが、些細な不調で怒りを露にするのは若手らしい勢い溢れるプレーとは別次元の感情コントロールの問題で、相手に弱みを見せることにもなる。それ以上に重要になるのがテニスの面で、操る球種を増やしてハードヒットをより一層活かすための戦術のバリエーションが欲しいところ。技巧派を相手にしてラリーのペースを落とされたり、小技系統を要する勝負に持ち込まれたりすると、攻め手を失って強みが消される傾向が見てとれる。とはいえ、すべてのショットを打ち切ることで相手に息継ぎを許さないという長所の範囲内ではありながら、ここ最近は確率の高いプレーを選択する成熟性を身につけており、先は明るいことを感じさせる。プレースタイルとしてはパワーヒッター色が濃いが、であれば筋力を上げてさらに球威を増すことも必要だろう。才能豊かな人材が揃う”NextGen”世代であるが、ルブレフも今後間違いなくお互いを高め合う良きライバル関係を築く一翼を担う存在となるはずだ。