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Aslan Karatsev

アスラン・カラツェフ

 生年月日: 1993.09.04 
 国籍:   ロシア 
 出身地:  ウラジカフカス(ロシア)
 身長:   185cm 
 体重:   85kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  HYDROGEN 
 シューズ: asics 
 ラケット: HEAD Prestige MP 
 プロ転向: 2013 
 コーチ:  Yahor Yatsyk  

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 頑強な身体から強い当たりで飛ばすフラットドライブ系統のストローク強打で相手を押し込む攻撃力と俊敏かつしなやかな動きで自らはバランスを崩さない安定性、無理をせずに組み立てる落ち着きとチャンスを見逃さない思い切り、これらを高い次元で兼ね備えるロシアの中堅プレーヤー。カラツェフの名が一躍世界を轟かせたのが21年全豪、当時114位でトップ100に入ったこともなく、全くと言っていいいほど無名でノーマークの存在だった27歳の彼がなんとグランドスラム本戦デビュー大会にしてシュワルツマン、オジェ・アリアシム、ディミトロフといった上位シード勢を次々と撃破してベスト4に進出。そしてその活躍が決してフロックでなかったことを証明するかのように翌月のドバイ(500)ではATP500で驚異の23連勝を継続していた同胞のルブレフをも下すなどしてツアー初優勝を成し遂げた。今までどこに眠っていたのかと思わざるを得ないが、ハチャノフ・メドベデフ・ルブレフと下の世代から3人揃ってトップに定着した状況に刺激を受けた面もあったのだろうか。いずれにしても強さの条件が整ったテニスを見ると一発屋で終わる気配はまるでない。

極上の打球の伸びを誇る剛柔兼備のストローク

 最大の武器であるストロークは力いっぱいラケットを振り回すのではなく、相手のショットにうまく合わせてスイートスポットで捉える確実性が両サイドともに光り、そこから突出したスイングスピードで爆発的な威力を生み出すのがフォアハンド、柔らかいスイングで正確にコースへ運ぶのがバックハンドということになる。フォアはクロスコートの高速ショットを軸に応戦し、少し緩い甘い球が来ればすかさず引き金を引いて逆クロス系のストレートやクロスのさらに厳しい角度にウィナーを叩き込む。ショット自体の精度もさることながらそのタイミングの見極めも絶妙だ。チャンスボールでは時折技巧的なアングルショットを放つこともあり、強打の頭しかない相手はまず対応できない。バックのラリーも隙はなく、ラケットをゆったりと引き丁寧に面に乗せるようなスイングの印象からは想像もできないスピードそして伸びのある打球が繰り出され、多くのプレーヤーはこのショットに差し込まれてしまう。振られた際の滑らかな足運びにも特徴があり、現代の流行りであるオープンスタンスで踏ん張って体を止めながら打つというよりは、右足を左足側に引き寄せながらインパクトするクラシカルな打ち方をとっている。ストローク全体を通して打つ前に一瞬の間があるのが大きな長所で、ペースの速いラリーでも打点を引きつけて打てる分だけ余裕がありミスを出す雰囲気がない。こうしてパワー、スピード、忍耐いずれの土俵でも優位に立てる極めてレベルの高いストロークの持ち主と言えよう。

破壊力の裏に巧みな戦術とタッチセンスあり

 ハードヒットの破壊力に目が行きがちながら展開の中に小技を交ぜる戦術性やその技術力も見逃せない。基本的にはベースラインの真っ向勝負で上回っていきたい志向を持ち、自ら様々な手札を切っていくタイプでは決してないが、押され気味の打ち合いをイーブンに戻すスライス、ドロップショットの使いどころ、丁寧なボレーで堅実に仕留めるネットプレーなど、頭の良さやタッチセンスを感じさせる要素も数多い。

強烈に叩き返すリターンの攻撃力は脅威

 テイクバックがコンパクトでジャストミート率の高さが際立つストローク能力はそのままリターンの強さにも表れる。1stの速さに負けないくらい鋭い返球を常に実現し、かつバック側はキレのあるスライスのブロックリターンで低く滑らせる器用さも持ち合わせる。高く跳ねてくる2ndへの対処も抜群で、空中で体勢を保ちながらしっかりとボールを待って叩き返していく。リターンエースが多いことはもちろん、時にリターンダッシュも試みる攻撃的な姿勢は相手に相当なプレッシャーを与える。

僅かに隙ありも十分な質の高さを備えるサーブ

 右でも左でもないまっすぐ真ん中への高いトスアップから力を溜めて放つサーブも十分な質の高さを備える。200km/hを少し超えるフラット系からスライス系にかけての球種を配球の軸とし、エースを含めたフリーポイントを確実に稼ぐことができる。回転がかかりきらずにロングするダブルフォルトがやや多い点や1stの確率そのものにも向上の余地はありそうだが、特に致命傷にはなっていない。

上位争いの常連になっても驚かない驚愕のポテンシャル

 彗星の如くツアーに現れるプレーヤーというのは、経歴の面では20歳前後の若手であったり才能は認められながら長く伸び悩んでいた中堅、プレーの面では巨大な武器があるものの欠点も残していることが多いのだが、彼の場合はおそらくどちらにも当てはまらない稀有なタイプで、現状明確な弱点を誰も見出すことができていない。遅い球や前後左右の揺さぶりを巧みに駆使する技巧派との対戦でも強みを消されることなく勝ち星を積み重ねられるかは今後見ていく必要があるが、少なくとも天性の球質を誇るストローク連射による正面突破の力はツアー屈指といっても過言ではなく、明らかに丈夫そうなフィジカルを見ても上位争いの常連になっても驚きはない。実は人材が手薄な93、94年世代に遅れてやって来た盟主としてもカラツェフには大いに期待をかけたい。