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Martin Klizan

マルティン・クリザン

 生年月日: 1989.07.11 
 国籍:   スロバキア 
 出身地:  ブラチスラバスロバキア
 身長:   191cm 
 体重:   85kg 
 利き手:  左 
 ウェア:  SERGIO TACCHINI 
 シューズ: asics 
 ラケット: HEAD Prestige MP 
 プロ転向: 2007 
 コーチ:  Martin Hromec   

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 強烈なトップスピンを操る破壊力抜群のフォアハンドを武器に、攻撃的なストロークでベースラインの打ち合いを制するレフティーの本格派プレーヤー。06年全仏ジュニアの優勝経験を持つなど、若い頃から将来を嘱望されるような存在であったが、故障が多くツアーでその名が知れ渡るまでにはやや時間を要した。12年全米2回戦でツォンガを破って4回戦まで進出し、サンクトペテルブルク(250)では初タイトルを獲得するなど大きく飛躍し、ATPの新人賞にも輝いた。その後再び怪我に苦しむも、16年にはロッテルダム(500)で準々決勝以降マッチポイントから脱出した2試合を含む3戦連続の逆転勝ちで優勝を果たすと、ハンブルク(500)でも栄冠に輝き、このグレードにおけるトップ10圏外での年間2勝は09年のATPツアー改編以後では初の快挙となった。それだけ彼の能力が優れているということの証明でもあるだろう。本来はクレーを得意としているが、時折ハードコートでも番狂わせを起こす意外性も備えている。

コートを鋭く抉る豪快なフォアハンド

 厚いグリップとダイナミックなテイクバックから繰り出される巻き込むようなフォアハンドは彼の最大の武器で、癖のあるスピンボールはどのプレーヤーもその対応に手を焼く。技術的にはラケットやボールの出所が見えにくいレフティー特有の懐の深さが強みとなってコースが読めず、さらにコース変更や緩急も自在なタッチセンスも持っている。コートを抉るようなスピンショットをクロスのアングルに打って相手を走らせ、そこを起点にフォアの回り込みを多用してストレートや逆クロスに豪快なフラット系のウィナー、あるいはサイドスピンの効いたドロップショットを狙っていくのが彼の形で、非常に配球範囲が広いのが魅力だ。また、長身の割に機動力が高く、広い守備範囲で厳しいショットに対してもカウンターを取っていくことができる。

癖の強いフォームを修正して安定感を習得したいバックハンド

 一方で、バックハンドはしっかりと構えた時には威力のあるボールを打つことができるのだが、両手打ちの利点であるはずのオープンスタンスが得意でないため、走りながらのショットや相手に揺さぶりをかけられると打点が合わずミスに繋がったり、常に左足の踏み込みが必要な分打った後にバランスを崩すケースが多く、対応力という点で改善の余地がある。可能であるならば左手首が極度の下向きに折れる癖の強いフォーム自体を修正できればベストだが、少なくともインサイドアウトのスイング軌道でストレートに展開する技術を身につけたい。

フォアとサーブの一撃力を磨いて躍進へ

 バックの弱さというネガティブな側面も含めて、こうしたテニスのベースの部分はベルダスコに近いものを持っており、彼がそうして躍進のきっかけを掴んだように、フォアで上からフラットに叩く機会を増やし、また一本で決め切るようなサーブを習得できれば、より一層怖さが生まれ、サーフェスを問わず上位を脅かす存在となれるはずだ。

奇策的な戦術や激しい喜怒哀楽に個性を感じさせる

 サービスゲームでしばしばダブルファーストを使ったり、リターンゲームでは欲しいポイントで立ち位置を盛んに変えることで相手のサーブにプレッシャーをかけるなど、奇策的な戦術を切っていく独特の感性を持っているのも特徴の1つで、喜怒哀楽がかなり激しい性格面とともにこのあたりのユニークさも彼の魅力と言っていいだろう。ただし、時に無気力ともとられかねない態度を見せることもあり、彼の中では頭と体をリセットする手段なのかもしれないが、プロとして褒められたものでないことは事実でできる限り控えたい。

スロバキアテニスの復権を託せる潜在能力の持ち主

 同胞の先輩でかつては「アガシ・キラー」で知られた曲者クチェラによってビルドアップされた彼のテニスは、アップダウンの多いメンタルを除けば強くなるための条件がしっかりと揃っており、ボールの外側を削っていくようなサイドスピン系の回転を軸に戦う特異さもあいまって今後更なる飛躍が期待できる有望株であることは間違いない。そのクチェラやフルバティが牽引してデビスカップの決勝まで導いたことで盛り上がりを見せたスロバキアテニスは、以降なかなか若手の台頭がなかったが、クリザンは彼らに比肩するポテンシャルを十分に持っており、ビッグトーナメントのパフォーマンスに注目したい。