Sebastian Korda
生年月日: 2000.07.05
国籍: アメリカ
出身地: ブラデントン(アメリカ)
身長: 196cm
体重: 79kg
利き手: 右
ウェア: NIKE
シューズ: NIKE
ラケット: Wilson Blade 98 (18×20)
プロ転向: 2018
コーチ: Petr Korda, Dean Goldfine,
Theodor Devoty
球速の速いフラット系の端正なショットを打ち続けるストローク能力の高さと、その中で攻守を巧みに出し入れするラリーコントロール能力に長けた、現在のアメリカ若手世代で最も将来に大きな期待を持てる逸材プレーヤー。98年全豪のチャンピオンである元No.2ペトル・コルダを父に持ち、激しい打ち合いにも常にラケットのスイートスポットに当てて綺麗に返す天性の打球センスは彼のDNAが確かに継承されていると言われる。18年全豪ジュニアを制してから2年半ほどの下積みを経てツアーに頭角を現したのが20年後半で、予選を勝ち上がって初出場となった全仏で4回戦に進出すると、翌21年にはマイアミ(1000)で3人のトップ30を撃破してベスト8、パルマ(250)で早速ツアー初優勝を飾るなど、驚くべき成長スピードでトップ50入りを果たしている。現在はハードコートを好きなサーフェスに挙げているものの、すべてにおいて脱力で自然なテニスはクレーと芝でも戦力が全く落ちない強みを持ち、特定の環境ではまだまだ実力不足というプレーヤーが若手には多い状況にあって彼のオールラウンド性は突出していると言っていい。ちなみに、母のレジーナ・コルドバも元プロテニスプレーヤー、2人の姉ジェシカとネリーはともに世界トップレベルで戦うプロゴルファーであり、世界屈指のスポーツ一家としても知られている。
深く、速く、低く突き刺すスピード感抜群のストローク
細身の体躯でありながら打球時の軸のぶれが非常に少ないことが安定した精度を生んでいるスピード感抜群のストロークはコルダの最大の武器である。両サイドともに癖のないシンプルなフォームから放たれ、攻撃でも守備でもあまり軌道を高く上げることなくペースのあるボールを深く、速く、低くコントロールするのが特徴で、相手とすればコルダを後方に押し下げているにもかかわらずボールに差し込まれる点で脅威だ。フォアハンドはしっかりと振り切って球威で押し込むクロスコートの強さ、卓越したフットワークとラケットワークを駆使してタイミングを早めるストレートの切れ味、またそれを角度のつけにくいコート中央からでも逆クロスに狙える高度な技術を備える。バックハンドは特に動きに無駄がなく、速いリズムで応戦し最後はトドメのダウンザラインを突き刺す形を得意とする。また、真っ直ぐ縦方向に滑らせる正統派のスライスも手札に揃えており、強い打球を吸収して低いボールを送ることで相手の連続攻撃を止められるとともに、無理な体勢で強打はしないという強みにも繋がっている。ストロークにおいて弱点があるとすれば、フォアは比較的緩い球に対して力を溜めて打ち込む場面で却って体が浮き上がってミスを出してしまう点、バックは必要以上にクロスに引っ張ってミスが増えやすい点といえるか。
基本に忠実なネットプレーも大きな得点源
ベースラインからネットへの移行もスムーズで、頻度こそそれほど高くはないものの、フォアでコートの右奥を突いて前進する動きや、柔らかいタッチで魅せるドロップボレーも含めて確実にオープンスペースに流し込むボレーは非常に基本に忠実で安心感がある。
今後の進化に期待したい長身からのサーブ
2mに迫る長身を活かした高さのある強力なサーブを持ち、3球目を攻撃に繋げる秀逸な処理も含めて持ち味ではあるが、現時点ではまだまだ課題の側面が大きい。インパクトに向かう動きの過程で面がやや開きすぎる傾向があり、スピードや回転力を最大限に高めることができていない点で案外容易な対応を許してしまっている。純粋な筋力アップによる威力向上も十分に可能であることを考えれば、近い将来にはビッグサーバー級のサービスゲームを手に入れられるポテンシャルはあり、進展を注視したい。
面を合わせて切り返す攻撃的なリターンは脅威
一方でリターンはすでにトップクラスのうまさを見せている。相手のショットの威力を利用してカウンター気味に展開するストローク同様、速いサーブにコンパクトに面を合わせて鋭く切り返すリターンで高いブレーク率を誇る。2ndにはコートの内側に踏み込んで一撃で仕留めにかかるリターンも光り、攻撃的な姿勢は相手に心理面でのプレッシャーも与えている。
洗練されたテニスで間違いなくトップに来る逸材
圧倒的なパワーがあるわけではないことと表裏ではあるものの、彼のテニスは見ていて心地良さを覚えるほどに無理がない。それは技術的には洗練されたフットワークがあるために打点周りのドタバタした雰囲気がないことも理由だが、戦術的には強引に一発で決めたくなるような場面でも2、3本のコンビネーションで崩すイメージを常に持ちながらプレーしている印象があり、その落ち着きぶりや成熟度には驚かされる。ポーカーフェイスを貫くオンコートの態度もテニスのスタイルと親和的でいかにも彼らしい。トップレベルのハードヒット勝負で全くスピード負けせず、それどころか展開の速さで相手を面食らわせる強さがあり、そこに様々な器用さを織り交ぜて的も絞らせない。間違いなく上に来る存在と断言できる存在であるが、一歩ずつ階段を上る姿は必見だ。