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Fabio Fognini

ファビオ・フォニーニ

 生年月日: 1987.05.24 
 国籍:   イタリア 
 出身地:  サンレモ(イタリア)
 身長:   178cm 
 体重:   79kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  EMPORIO ARMANI 
 シューズ: K-SWISS 
 ラケット: Babolat Pure Drive 
 プロ転向: 2004 
 コーチ:  German Gaich 

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 イタリア勢の伝統に違わず、堅い守備から秀逸なテクニックで角度をつけたストロークを放ってチャンスを作り、確実にポイントを重ねていく堅実なスタイルと、凄まじいハードヒットの応酬を挑んでいく果敢なスタイルの二面性を持った才能溢れるストローカー。強さのベースは安定したストローク力だが、そこに抜群のテニスセンスに基づく数々の天才的なショットが加わって、非常に見る者を沸かせるテニスをする。性格的には明るく、むしろやや派手なタイプなのだが、テニスは泥臭く勝利を拾いにいける根性タイプのプレーヤーなのが興味深いところで、接戦を楽しんでいる雰囲気がある点も魅力の1つである。実績が示すとおりクレーコートを最も得意としており、イタリア人男子として13年ぶりにグランドスラムシングルスでベスト8に進出したのが11年全仏、初のビッグタイトルを獲得したのも13年ハンブルク(500)でクレーだった。15年にはナダルに対してクレーで2連勝、また全米では壮絶なフルセットの死闘の末破るなど、同一シーズンににナダルを3度撃破した史上4人目のプレーヤーとなる快挙を成し遂げている。その全米での試合は同時に、グランドスラムで初めて2セットダウンからナダルに土をつけたという勝利でもあった。成績面では意外に乏しい彼であったが、19年にはモンテカルロ(1000)で「まさか」のマスターズ初優勝を飾り、めでたく才能に見合った箔付きプレーヤーになったと表現していいだろう。その他のサーフェスでの成績は凡庸で、強豪と呼べるレベルには達していないが、本人曰く嫌いなサーフェスはないらしく、テニスのスタイルからも今後の戦力アップはまだまだ期待できる。15年全豪では同胞のボレッリと組んでダブルス優勝を果たすなどダブルスでの実績も十分で、デビスカップでは重宝される存在だ。また、ツアーきっての色男としても知られ、その自覚もある彼はプレーヤー間ではロッカールームで最も鏡の前に立っていることで有名なのだとか。今となってはイタリアNo.1プレーヤーとなったが、あまり大きな野心は持っていないようで、あくまでもマイペースでツアーを楽しむ実力者というのがフォニーニの素顔に近い。

力の抜けた状態から切れ味抜群のショットを放ち続けるストローク

 彼の最大の武器であるストロークは、まるでウォーミングアップかのように全身の力が抜けた状態から放たれる。フォアハンド、バックハンドともに高く跳ねるボールの処理がうまく、小さめのテイクバックから相手のボールとタイミングをとりつつ、キレのあるクリーンなボールを打ち抜く。特に得意なフォアはどんな状況でも上半身の軸がまったくぶれることがなく、ツアー屈指のスピードショットを高精度で広範囲にコントロールできる。また、足元で弾む相手の深いショットを一層コンパクトなスイングで切り返して攻撃に繋げるライジングショットは、比類ないセンスの高さを示すテクニックの1つである。早い構えで長い溜めを作ることで相手の動き出しを遅らせるのがうまいバックも安定感と攻撃力が高い次元で融合されており、クロスのアングルからダウンザラインまでウィナーを量産する。ひとたびリズムを掴めば、両サイドからレーザービームの如く強打の連続攻撃を仕掛けてくるため、相手としては文字通り防戦一方に立たされてしまう。ただし、基本的には長いラリーを続ける中でチャンスを見出していくスタンスで、守から攻への切り替えが抜群にうまく、メリハリのあるストロークを持ち味とする。ベースライン後方からは高めの軌道で相手コートの深い位置にコントロールし、自由に打ち込ませない。逆に、浅く返ってきたボールを高い打点から叩くのが彼のスタイルである。時間の作り方も巧みで、自分が体勢を崩されかけた時にはゆったりとしたスライスやループボールを意図的に使って、ラリーをイーブンに戻すことができる。ドロップショットを得意とし、フォア、バック両サイドから正確なコントロールができる。とりわけフォアのドロップショットはラリーで優位に立っていない状態からでも一本で形勢逆転を狙えるほど質が高い。

才能と技術力はツアートップクラス

 テニスの才能と技術の高さはツアーでもトップクラスで、それは他のプレーヤーにはない独特なショット選択や、どんなに難しい体勢でもいとも簡単にラケットの真ん中で綺麗に捉えてウィナーにしてしまう点から見てとれる。ネット際のボールの処理のうまさもその1つで、自分から意図して前に詰めた場合だけでなく、相手のドロップショットなどによって引き出された場合でも、難しい返球を飄々とやってのける。何をやってくるかが読めない自由奔放さは安定感に欠ける一方で、気を良くすると一転非常に危険なプレーヤーと化す。相手としては試合の中でいかに彼に気持ち良くプレーさせないかがポイントとなってくる。

スピーディーかつ軽やかなフットワーク

 フットワークもストローク同様、それほど丁寧に行っている印象はないが、届きさえすれば面を合わせる感覚だけでどこにでもコントロールできる彼にとっては問題にはならず、突出した足の速さを活かしたコートカバーリング力はむしろ武器といえる。また、攻撃面においても軽やかさは回り込みフォアを多用できる点で大きなアドバンテージとなっている。

一層の飛躍を阻むサーブの弱さ

 サーブは彼の最大の弱点であり、更なるレベルアップを図るうえでは改善が不可欠である。プレースメント重視のサーブを打つが、特別正確性が高いわけでもなく、確率が高いわけでもない。スタッツが物語る通り、相手に対してほとんどプレッシャーを与えられていないのが現状であり、特にサービスゲームのキープ率が著しく悪い。とはいえ、最速210km/hを超えるフラットサーブは持っているだけに、もう少しパワーで押していくサーブを増やしていきたい。

いかにも天才らしい気分屋なメンタリティ

 メンタル面は未熟な部分が多く、非常に出入りの激しいプレーの原因となっている。あまりにプライドが高いのか、自分の思い通りに試合展開が進まないと、すぐに集中力を切らして試合を投げるような態度をとったり、審判にケチをつけたり、ラケットを放り投げたりといった悪態をつくのが日常茶飯事で、そうした粗暴な言動による罰金処分で話題に上ることも多い。プレーにおいてはとりわけサーブが雑になり、ダブルフォルトやフットフォルトを連発して自滅する傾向がある。また、ゾーンに近い状態でも大事な場面で一瞬の気の迷いからミスを出してしまう点もメンタルの弱さの顕れである。天才らしい特徴といえばそれまでだが、心の部分の改善が更なる飛躍への鍵となっていることは言うまでもない。テニスのレベルは限りなくトップ10に近いものを持っており、また結果だけに囚われないとにかく見ていて楽しいテニスで今後もツアーを賑わせてほしい。