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John Isner

ジョン・イズナー

 生年月日: 1985.04.26 
 国籍:   アメリカ 
 出身地:  グリーンズボロ(アメリカ)
 身長:   208cm 
 体重:   108kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  FILA 
 シューズ: FILA 
 ラケット: Prince Beast Pro 100 Longbody 
 プロ転向: 2007 
 コーチ:  なし 

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 208cmというツアートップクラスの長身から繰り出すビッグサーブと強烈なフォアハンドを軸とした展開の速い攻撃を武器に、スター不在と言われる現在のアメリカテニスを牽引する大型プレーヤー。年齢の割にプロでのキャリアが少ないのは、ジョージア大学の学生を経てのプロ転向だったためで、彼の世代では珍しい大卒プレーヤーだ。これまでのキャリアでは、ワイルドカードで出場した07年ワシントン(250*)で1回戦から5試合続けてファイナルセットタイブレークを制して決勝に進んだ驚異の勝ち上がりや、09年全米でのロディック撃破、そしてなんといっても10年ウィンブルドンでの11時間5分、ファイナルセット70-68という天文学的な数字が並んだテニス史上最長試合のマウ戦など、ファンの記憶に残る印象深い試合をいくつも演じている。本格的にトップに定着したきっかけは12年インディアンウェルズ(1000)で、準決勝でジョコビッチを圧巻のサービス力によって粉砕し、マスターズ初の決勝となった一戦ではフェデラーに敗れるも、これによりトップ10の扉を開いた。13年シンシナティ(1000)や16年パリ(1000)でも格上を次々と破る快進撃でタイトルにあと一歩まで迫りながらいずれもビッグ4の前に屈していたが、18年にはマイアミ(1000)でついに悲願のマスターズ初優勝を成し遂げた。前週のインディアンウェルズ(1000)ではソックと組んだダブルスでチャンピオンに輝いており、変則「サンシャイン・ダブル」の達成ということでも話題になった。また、このグレードにおける最年長記録更新となった32歳11か月での初戴冠は、長くマイアミマスターズを開催してきたクランドンパークの最終章を飾るにふさわしい文字通りメモリアルなタイトルとなった。すべてのプレーにおいて主にその身長により生み出される唯一無二の“角度”が魅力となっており、相手が誰であれ1ポイントが勝敗を決するような戦いに持ち込めるビッグサーバー特有の強みを存分に発揮している。歴代のアメリカ人プレーヤーの典型に違わず、彼もネットプレーを積極的に織り交ぜた攻撃的なプレースタイルで、球足の速い遅いよりもバウンドの高いハードコートを最も得意とし、北米ハードの大会でポイントを荒稼ぎする傾向にある。また、他のプレーヤーと調子のピークが少し違うのも彼の不思議な特徴であり、荒れ気味の大会で気づけば優勝争いにイズナーが絡んでいるということが少なくない。

満点評価を遥かに超える絶対的なビッグサーブ

 イズナーの絶対的な武器であるサーブは、最速253km/hを記録したことがあるスピードは当然だが、その高さで常軌を逸した角度とバウンド後の跳ね上がりを実現できるため、2ndでも軽くエースを狙いにいけるのが他のプレーヤーにはない特徴で、少なくとも相手のバランスを崩すことにかけて彼の右に出る者はいない。220km/hを超すフラットサーブは高い打点からまさに叩き落とすイメージでエースを量産する。もとより備える角度に抜群のキレが加わるキックサーブは絶大な効果を生み、相手からすると分かっていても綺麗に返球することは非常に難しい。これで相手の体勢を崩し、高い打点からの強打あるいはドロップショットなどで早めに攻勢をかけていくのが彼の形だ。ビッグサーバーたる所以はもちろんエースの数だが、確率もトップクラスで大きく崩れることが少ない安定感も特筆すべき点である。相手からすればたとえコースが読めても、非常に高く弾むため深くリターンできず、強力な攻めに遭ってしまう。また、ピンチの場面でのサーブに対する集中力は驚異的で、2ndでも200km/h以上のスピードでラインに乗せることができ、いくら彼が超ビッグサーバーとはいえタイブレークにもつれ込むセットがこれほど多いのは、こうしたタフなメンタルがあってこそだ。サーブ一本で相手の体勢を崩し、力のないリターンを誘う場合が多いため、サーブ&ボレーに出る頻度やその決定率も高い。ただ、リターン巧者や守備力の高い相手との対戦では、3球目の攻めが単調になってパスで抜かれるケースも多く、今後はサーブからの攻めのバリエーションを増やしたいところだ。なお、ボールをつく前に股の後ろからボールを通すという実に面白いルーティンを持っている。

爆発的な威力で相手を怯ませる攻撃的なストローク

 ストロークではフォアハンドを得意とし、特に高い打点が取れた時の逆クロス方向へのフォアが最大の武器であり、その爆発的な威力でウィナーを多く奪うが、その他にもネットに出るための正確なアプローチやドロップショットなど強打一辺倒になることは少ない。とりわけドロップショットで浅く落として接近戦に持ち込み、次の球を長いリーチを活かしたボレーで決める形は1試合の中で何度も見られる。また、回り込んで打つ頻度が高く、多少強引にでもフォアを選択し、武器である逆クロスに叩き込む。一方、その強引さが裏目に出て、打てないボールで無理に打っていき、ミスを重ねることも多々あり、勝負球の見極めが課題の1つとなっている。フットワークを向上させ、フォアで打つ回数を増やせれば、ストローク戦での戦闘力が格段に上がるだろう。彼のフォアにおいて印象に残るのは当然一撃のパワーだが、相手とするとそれ以外の緩めのトップスピンが意外に厄介で、速いテンポで前後左右に振り回していきたいところに高く弾む球種で粘られると、逆に焦りが出てミスを重ねてしまうこともある。バックハンドも強く叩いてウィナーを取ることが可能で、特に近年はダウンザラインのクオリティを高めることに成功し意外性のあるショットとして機能しているが、基本的な思考としてはスライスも交えながらとにかく丁寧に深く返球しようという繋ぎの意識の方が強い印象だ。

ボールの勢いを殺す柔らかいタッチが光る器用なネットプレー

 ネットプレーの器用さにも定評があり、多くのポイントをボレーで生み出す。彼のスタイル上非常に重要な意味を持つ要素なだけありそのクオリティは高く、鋭いパッシングショットでも確実に勢いを殺す柔らかいタッチや、対応できる範囲の広さが売りである。長身でありながら彼のような繊細なラケットタッチができるプレーヤーはなかなかいない。足元に沈んでくるボールの対応さえ良くなれば、トップに肩を並べられるだけの資質はある。ただ、タッチ系のボレーではなく強く弾いて深さを出すハイボレーには課題があり、パンチ力には向上の余地がある。また、頭上を越えていくロブに滅法弱く、自慢の長身を活かせていないのは、ボディバランスがあまり優れていないためで、本来スマッシュで強く叩きたいボールを叩き切れず、弱く返してチャンスボールを供給してしまうケースが多い。元来サーブ、ストロークともに体の開きがやや早い癖があり、とりわけフォアのクロスやスマッシュで比較的パワーロスが大きくなってしまっており、技術的な課題と言うこともできる。

打点周りに不安定さが拭えないフットワーク

 守備力という面では様々な問題があるが、中でもフットワークは彼の最大の弱点である。出だしの一歩目を置く位置を誤るシーンが多く、しっかり構えて打てそうな場面でボールに近づきすぎて窮屈な対処となり相手を助けてしまうのが大きな課題だ。とりわけ弱いのは前後の動きで、ドロップショットへの反応と対応に難がある。大柄なため俊敏性の部分にはある程度目をつぶるとしても、厳しいコースのボールを何とか返球しようというメンタル的な粘り強さや執念が著しく欠如している点で、守備力の弱さに拍車をかけており、更なる上位進出を目指すためには、守備力の総合的なレベルアップが必要不可欠である。

確実性には課題も積極性で脅威を与えるリターン

 リターンも大きな弱点であり、トップの中ではその数字が断トツで悪い。そのため一度ブレークすればセットを取る確率が高くなる一方で、一度ブレークされると盛り返せず落とすことが多い。とはいえ、相手の2ndに対して思い切って前に踏み込む積極性を見せている時のリターンは、相手に大きな脅威を与えることができているだけに、まずはリターンの確実性を高めたいところだ。サーブの強さは現役で一・二を争うレベルであり、彼の勝敗を直接的に左右するタイブレークの勝率も歴代トップクラスを誇るが、リターンが少しでも向上すれば相手に与えられるプレッシャーもさらに増すだろう。

大事な場面での勝負勘の鋭さ

 もう1つ彼のプレーにおいて特筆に値するのは決断力だ。試合のここぞという勝負所でそれまでとはショットのコースを変えたり、基本的には攻撃一辺倒の中で相手の心理を読んで守る戦術を使ったり。選択が必ず吉と出る保証はないが、彼は比較的思い切った作戦変更がハマることの多い印象がある。勘の鋭さといったところか。

好調時のプレーは誰にも止められない

 タイプとしてビッグサーバーであることに間違いはないが、過去の同じようなプレーヤーにはなかった武器を備えているのも事実である。他にはない破裂音のような爆発的なインパクトで捉えるショットがコーナーに入ってきたら相手としては止める術がなく、さらに厄介なのは得意のサーブとフォアだけならともかく、年間に数試合あるいは数大会リターンとバックも完璧にタイミングが合ってウィナーを連発してくる日があり、この日に彼と当たったならば不運としか言いようがない。サーブ、リターン、ストロークどの要素においても先手を打って、自分の球威で押していく展開を作れないと厳しいのが現状だが、基本技術の高さを基盤とする正統派のプレーを身につけていることを考えれば、判断力を中心とした少しの上積みでトップ10定着も十分に見えてくる。