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Yoshihito Nishioka

西岡良仁

 生年月日: 1995.09.27 
 国籍:   日本 
 出身地:  三重県(日本)
 身長:   170cm 
 体重:   64kg 
 利き手:  左 
 ウェア:  YONEX 
 シューズ: YONEX 
 ラケット: YONEX VCORE 98 
 プロ転向: 2014 
 コーチ:  Yasuo Nishioka 

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 ツアーの中ではとびきり小柄な体格ながら、抜群のスピードを誇るフットワークで前後左右どんなボールにも喰らいつき、粘り強さと創造性の豊かさを兼ね備えるストロークの展開力でラリー戦を制していく日本期待のレフティー。14歳でアメリカのIMGアカデミーに留学し、以降ジュニア時代から着実に結果を残してツアーレベルへとステップアップしてきており、こうした経緯も含めて日本国内では「ポスト錦織」の最有力候補として注目されているが、ATPのプロモーションにおいて未来のテニス界を担って立つ“NextGen”の1人として紹介されるなど世界的にもその存在が浸透し始めている。本格的なブレイクとして17年初頭からの試合を追うごとの成長は著しく、アカプルコ(500)では直近の大会での優勝で乗っていたハリソンとソックを破りベスト8に進出し、翌週のインディアンウェルズ(1000)でもラッキールーザーながらベルディヒから大逆転金星を挙げるなど旋風を巻き起こしベスト16に入った。それぞれナダル、バブリンカに敗れはしたものの、あと一歩のところまで追い詰める非常に内容の濃い試合を演じた。その後膝の大きな怪我で1年近くを棒に振ったが、18年にはスムーズな戦線復帰に成功し、秋には深圳(250)で予選勝ち上がりからツアー初優勝を果たした。オンコートでは熱い心を前面に出すファイターである一方で、会見での発言などからは極めて冷静に自分と相手のプレーを客観的に分析し、それを明晰な文章で表現している印象があり、頭の良い一面が垣間見える。

相手の弱点に付け込む頭脳的な戦略と高度な技術力

 相手コートにボールを返す技術力の高さと俊敏性を活かした驚異的なコートカバーリング力をベースにとにかくしつこくラリーを続け、相手の状況を的確に見ながら巧みに攻守を出し入れしてミスを引き出したり、あるいは自らハードヒットしてポイントを奪うこともできる、多彩で頭脳的なストロークは彼の最大の武器である。単純なパワーでは劣る分、先に打ち込まれるケースが増えるため、基本的には受け身から始まる打ち合いが多いのだが、本人が話す通り打たれる展開には人一倍慣れており、そうした時間帯ではポジションを下げてラリーのペースを落とし速い攻めを許さず、次第に難しいところに返していく。そうするうちに対戦相手はポイントパターンを失い、気がつけば西岡のペースに嵌っているというのが彼のテニスの不思議な魅力であり、相手とすれば掴みどころが見えない厄介な点である。もちろん粘りの中でチャンスを見出せば、自ら踏み込んで攻撃に転じるプレーも持ち合わせており、間合いをとる感性やそこからの切り替えのスピードと判断が強さの要因となっている。このように自分のプレーの良し悪しではなく、相手の考えに入り込んだうえで弱点に付け込む戦略を選択していけるクレバーな思考は勝負において非常に重要であり、体格的なハンディを背負う彼ならではの魅力ともいえる。

持ち前の組み立て能力に強打力が加わって進化したフォアハンド

 左利きであることの利点を最大限に活かしたショットメークで相手を苦しめるフォアハンドは、オープンスタンスのコースが読みにくいフォームから軌道の高さや球速の緩急で非常に幅の広い変化を出せるのが強み。ラケットヘッドにボールを引っ掛けてトップスピンで緩くショートアングルを突く崩しはトップレベルの試合ではあまり見られない類の技巧的なショットで、その対応には多くのプレーヤーが手を焼く。主な球種はスピン系だが、一方でこのところ威力アップが目覚ましいのが体全体を使ってライジングでボールを押さえ込むフラット系の強打であり、ツアーで上位に位置するレフティーと比較しても遜色のないスピードとキレを習得したことによって、相手に対する脅威度は確実に増し、ストレートから逆クロス方向には効果的にウィナーを重ねることができるようになっている。課題としては、フォアのダウンザラインで相手を追い込んだ次のショットをクロスのオープンコートに打つ際にコースが甘くなる傾向がある点で、攻め急がずにじっくりと組み立てるのは長所とはいえ、決めるべきボールではしっかりと決め切る意識を高めたい。

力負けせずに巧みなカウンターを放つバックハンド

 地面を力強く蹴り上げることでパワーを生み出し、逆に上半身のコンパクトな回転により軸がぶれず安定感もあるバックハンドは本来彼が得意としているショットで、低めのテイクバックと鋭いスイングから早いタイミングで捉えて強いボールを連続で返す能力はフォア以上のものがある。ジャックナイフも含めて高い打点から深く突き刺すようなショットに対しては相手もなかなか前に入ることはできず、そのうえ浅く鋭角にコントロールされたアングルショットも交ぜられるため、動く範囲も広くなってしまう。強烈なショットを器用に跳ね返していく守備面に問題はなく、今後はウィナーを狙うダウンザラインの精度を向上させたいところだろう。

得意なラリー戦に持ち込む確実なリターン

 リターン返球率の高さも彼のプレースタイルにおいては重要な要素の1つで、一本で攻撃していこうという意図はさほどでもないが、速いサーブでも跳ねるサーブでも確実にラリーに持ち込めるリターンはとりわけビッグサーバーに対して有効で、実際にその系統のプレーヤーからコンスタントにブレークを奪うことに成功している。

あらゆる工夫で弱さを覆い隠したいサーブ

 逆にサーブの弱さは今後の躍進に向けて改善が不可欠な課題である。まずは配球の大部分を占める左利き特有のスライスサーブにより磨きをかけることに重点を置き、その先プラスアルファでフラットサーブを組み込むことができれば、ストロークからは多様な形を持つだけにある程度安定したサービスキープは実現できるだろう。

強烈な攻撃にも屈しないタフなフィジカルとメンタル

 まだまだこれから先の伸びしろが十分にあるとはいえ、フィジカルとメンタルの強さはすでに大きな武器となっている。特に下半身の強靭さが試合を通して振り回しに屈しない堅い守備力を生み、またフィジカル的に苦しくなっても最後まで決して勝利を諦めない精神力や闘争心で何とか踏みとどまる戦いぶりが印象的で、その振る舞いが自然と観客を味方につけることにもなっている。時折若さを露呈して崩れることもあるが、フラストレーションを日本語で吐き出す独り言なども含めて彼の興味深い個性といえる。パワー強化もやはり重要で、現状でもオーバーパワーを狙ってくる相手に対して十分粘れてはいるが、それを一週間あるいは年間通してキープするのは厳しい。したがって、自分からポイントを奪うショットや戦術の選択肢を増やし、1ポイントにかける体力をいくらか減らしていきたい。

泥臭さを厭わない根性と天性のテニスセンスの融合体

 ミスを出さないショットの正確性と体力や根性があってこそ実現できるのが我慢強さを真髄とするスタイルであり、その中にあって天性の才能を感じさせるようなテクニックも突然飛び出してくる西岡のテニスは大いに魅力に溢れている。一発の大砲はなくても、有効な手を休みなく繰り出せば主導権を握って勝つことができることを証明して余りある。ポイントを自ら掴み取るプレーを得意とする錦織とはまた異なる意味で抜群のセンスを持ったプレーヤーであり、今後成長を続けていけば自身の憧れであり各ショットのフォームも近いものがある元No.1のリオスのように、小柄でもトップに定着できる素質は間違いなく秘めている。錦織の活躍にも引っ張られながら若手特有の勢いを発揮して更なる飛躍を西岡良仁には期待したい。