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Janko Tipsarevic

ヤンコ・ティプサレビッチ

 生年月日: 1984.06.22 
 国籍:   セルビア 
 出身地:  ベオグラードセルビア
 身長:   180cm 
 体重:   80kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  FILA 
 シューズ: FILA 
 ラケット: Tecnifibre T-Fight 320 
 プロ転向: 2002 
 コーチ:  Dirk Hordorff, Rainer Schuettler 

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 ベースラインから展開するタイミングの早い強打の波状攻撃と粘り強さが際立つ守備力を併せ持つ、バランスの整ったテニスを持ち味とするセルビアのNo.2プレーヤー。プレースタイル的には優れたフィジカルを活かしたパワー系のストローカーに分類されるが、その実、相手の出方に対応しつつ攻守を出し入れできる知的なプレーが強さのベースになっているという、二面性を持ったタイプである。彼の名を聞いてしばしば思い出されるのは08年全豪3回戦におけるフェデラーとの一戦で、4時間半近い激闘の末敗れたものの、トップを撃破する潜在能力の高さを備えた危険なプレーヤーであることを十分に印象付けた。その後もしばらくは燻っていたが、11年に全米でベスト8に進出し、クアラルンプール(250)では念願のツアー初優勝を飾るなど一気にブレイクを果たした。実際のランキングこそ上昇気流に乗ってきたのはその時期であるが、デビスカップではセルビア代表として00年以降常に名を連ねる経験豊富なプレーヤーであり、10年には母国を悲願の初戴冠に導く立役者の一員となった。以降自らのプレーに自信が持てるようになり、同郷で親しい友人のジョコビッチの活躍に影響されたように急速に実績を積み上げ、一時期はトップ10としての地位を確固たるものとしていた。また、同じく11年に飛躍を遂げた錦織が5戦全敗を喫した「天敵」としてや、腕や背中に日本語でタトゥーを彫るなど、日本でも馴染みの深いプレーヤーである。加えて、オフコートではかなりの知性派で、ニーチェドストエフスキーが愛読書という、テニスプレーヤーとしてはやや変わり種でもある。サングラスはティプサレビッチのトレードマークで、ボールが見やすいという理由からプレー中はいつでも着用している。ハードコートを最も得意とするが、他が苦手ということはなく、どの大会でも安定した力を発揮する。

体の軸回転で放つフルスイングの強打が武器のストローク

 ストロークはフォアハンド、バックハンドともに体の軸の回転を使ったフルスイングが特徴であり、主な球筋はスピンとフラットのちょうど中間あたりで、威力と安定感のバランスがうまく保たれている印象。とはいえ、しっかりと構えた状態から前に踏み込んで放つショットはフォア、バックに関係なく凄まじい威力を誇る。ラリー中の基本的なスタイルとしては、ベースライン後方からはゆっくりと繋ぎ、相手の攻めに対して粘り強く返球、そしてチャンスと見るや一気に早いタイミングでストレートへ強烈な打球を打ち込む形を得意とする。緩いボールに対しては同じく緩めのボールで付き合い、相手がペースを速めてくればフラット系のショットで応戦する形が目立つ。つまり、自らリスクを背負ってどんどん打ち込んでいくよりは、ラリーの中で相手との間合いを計りながら機を見てウィナーを狙う堅実なテニスといえる。ゆえに彼の試合では、相手のレベルに関わらずニュートラルな好ラリーが展開されることが多い。中でも精度が高いのはバックで、完成度の高いダウンザラインが大きなポイント源になっていることはもちろん、膝付近の低い打点からでも強烈なショットを繰り出せる柔軟性も兼ね備える。トップとの激しいハードヒットの打ち合いをまったく苦にせず、変化を付けられるよりはむしろそういった真っ向勝負の方が彼のテニスは輝きを放つ。ラリーで優位に立てばネットプレーに転じることが多く、そこから繰り出されるボレーも別段うまさがあるわけではないが、無難にこなす確実性がある。

タイミングとパワーで相手を押し込むクイックサーブ

 決して上背のあるプレーヤーではないが、クイック気味の早いモーションから繰り出されるサーブも彼の武器の1つで、対戦した多くのプレーヤーは彼のサーブに苦しめられたと語る。アドバンテージサイドでは他のプレーヤーよりもセンターから離れた立ち位置から打つため、ワイドの非常に厳しいコースにもスピードを落とさず、フラットで入れられるという特徴がある。また、相手の意表をつくサーブ&ボレーの織り交ぜ方も効果的で、勝負所で選択することも多い。

下半身の粘り強さがファイターたる所以

 最後まで諦めず粘り強く返球するコートカバーリング力もまた持ち味の1つである。体勢を崩されても確実かつ強いボールが打てるのは、彼の身上である下半身の粘り強さによるものである。一方、スライドの技術があまり高くないため、左右に大きく振られると踏ん張り切れず、体が流れてしまい次の動きが一歩遅れてしまう傾向があり、欠点となっている。バックハンドはそもそもオープンスタンスを使わないため、とりわけバック側で顕著に見られる。

怪我の回復を信じて懸命に現役を続ける姿が感動を誘う

 劣勢に置かれると闘志が空回りして冷静さを失う悪い癖がある点や、プレーにやや緩急を欠く点など、細かな課題はあるものの、全体が整っている分大きな上積みは見込みにくい。今の実力を考えれば現状を維持することが当面の目標となりそうだが、もとより彼のテニスはそれほどリスクを負うことなく総合力で勝負するタイプであり、そもそも予想されていなかったトップ10定着を実現していることから、好調時のテニスを継続させる力はすでに実証済みだ。14年以降、左足踵部分に発症した腫瘍からの回復に長い時間を要し、復帰後もペースを抑えての大会出場が続いているが、彼自身は自分の全盛期はまだ先にあると信じて懸命にテニスへ取り組んでおり、成績はともかく彼が元気にプレーする姿を見るだけでファンとしては感極まる思いである。

 

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