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Alex de Minaur

アレックス・デミノー

 生年月日: 1999.02.17 
 国籍:   オーストラリア 
 出身地:  シドニー(オーストラリア)
 身長:   183cm 
 体重:   69kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  asics 
 シューズ: asics 
 ラケット: Wilson Blade 98 (16×18) 
 プロ転向: 2015 
 コーチ:  Adolfo Gutierrez 

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 高いポジションで待ち構えて強烈なサーブをいとも簡単に弾き返す類稀なリターン力と、旺盛な闘争心や圧倒的な脚力を駆使したコートカバーリングを持ち味とし、上位陣にも臆することなく立ち向かう姿が何とも清々しいオーストラリア期待のNextGenプレーヤー。スピンよりもスピード主体のシャープなストロークでチャンスを作り、ネットプレーも多用しながら相手の弱点に的確につけ込むテニス頭脳の高さ、駆け引きのうまさがデミノーの特徴であり個性だ。15年のプロ転向以降着実にランキングを上げてきていたとはいえ、もう少し下積みが必要かと思われていた中、18年シーズンの開幕とともに地元オーストラリアで大旋風を巻き起こし、ブリスベン(250)でベスト4、シドニー(250)で準優勝と若手らしく一気に注目を集める存在へと駆け上がった。そしてちょうどその1年後、19年シドニー(250)で弱冠19歳にしてツアー初優勝を飾った。とりわけ攻撃面でパワーの不足が見られ、技術的にも少し癖のある変則的な打ち方をする分、研究されてきたときに壁にぶつかる可能性もあるが、少なくともディフェンスにおける球際の強さや守り切った末に攻めのスイッチを入れる一瞬の判断力とその切れ味は凄まじく、洗練されていないからこその激しい動きでツアーを掻き回していきそうな雰囲気が漂う。サーフェスの相性は間違いなくハードコートが最適で、クレーは今後も苦労しそうな雰囲気があるが、それも含めてオーストラリア人らしいプレーヤーと言っていいだろう。

ヒューイットを彷彿とさせる衝撃的なリターン力

 ツアーにおいて最も早いタイミングで返球すると言っても過言ではない唯一無二のリターンは彼の最大の武器である。相手の1stに対してベースライン上に立ち、そこからさらに1mほど斜め前に踏み込んで強烈なサーブをブロックする能力は、予測の良さや反応の速さはもちろん相当な衝撃を受け止めるフィジカルが要求され、華奢な身体の彼がそれを実現しているのはにわかに信じられないが、いずれにしてもラオニッチやA.ズベレフの220km/hを超える弾丸サーブに対して倍返しの如き鋭いリターンを試合を通して返し続ける彼のセンスの高さは、王者サンプラスの難攻不落なサーブを完璧に攻略しグランドスラム初優勝を飾った時の若きヒューイットとイメージが被る部分があるほどにセンセーショナルなものだ。回転系の多い2ndへの対処も秀逸で、変化して自分に向かってくる、あるいは遠くに離れていく跳ねるサーブにも体を投げ出して攻撃に転換する。あまり特定の型を決め込まずにスイングする特性がリターンでは生きている格好だ。課題、また相手視点でいう攻略方法があるとすればそれはボディサーブということになるか。彼の強力なリターンは前に入って叩く攻撃力によって形成されており、実は安定感はまだまだな面もある。そこで、最も一撃に還元しにくい体にぶつけるサーブを多用された時、両サイドの対応力も低下しながらリターン全体が機能不全になることがある。

大きな遠心力から直線的なショットを繰り出すフォアハンド

 イースタンに近い薄いグリップから繰り出すフォアハンドは、オープンスタンスの外側にあたる右足の踏ん張りと蹴りの強さが際立ち、また非常に大きなスイングで遠心力を使うのが特徴。握りは薄いが少し後ろの打点で捉えることをスタンダードとしており、ゆえにストレートへの展開を得意としている。中でもクロスコートの速い打ち合いからさらにコートの内側へカットインしてライジング攻撃でとどめを刺す形は痛快。また、相手がフォア側に対して中途半端な攻撃を仕掛けてきた場面で、跳び上がって高い打点をとり思い切り振り抜いて一気にクロスのオープンコートへ突き刺すカウンターはさながらデルポトロのような迫力満点のショットだ。逆襲のランニングショットだからといって走り抜けてしまわないのが彼らしさで、打球後に踏みとどまって次の対応にも隙を見せないのが卓越した点といえる。とはいえ、ギリギリの返球時には脇が開きやすい分だけ比較的体勢が崩れやすく、デミノー相手にネットに詰めるならバックよりもフォア側を突く方が有効である。そのほか頭の上に振り上げて回転量を増やし角度をつけたり、ペースを落とすムーンボールを使うこともあり、緩急のコントロールにも長けている。

体の軸回転と打点周りのフットワークが光るバックハンド

 バックハンドは体に近い打点からコンパクトな軸回転で強烈なショットを連打できる武器であり、特にクロスに引っ張るフラット系の威力は相当な脅威となる。加えて、強引にねじ込むようなストレートへの展開も備え、ボールの内側を削るように捉えることでシュート回転がかかった軌道は相手としては厄介だ。厳しい体勢からでも柔軟性を活かしてカウンターショットに繋げていける強みも持ち、そう簡単にチャンスボールを供給することはない。精度が高い要因はインパクトの瞬間には右足が左足の近くへ引き寄せられていることからも明らかなように、振り回されてもしっかりと余裕を持ってボールの後ろに入れる素早いフットワークだ。

対戦相手を脱帽させる驚異的な脚力

 ベースラインでの打ち合いは激しくポジションの上下動を繰り返し、守るべき場面では徹底的に粘る一方で、基本的には常に攻めに転じる機会を耽々と窺う姿勢を見せており、決して守備一辺倒ではなくむしろ積極果敢なプレースタイルと言っていい。純粋な足の速さなら恐らく彼が世界一と思わせるほどに動きが素早く、コート外に追い出すショットにもネット際に落とすドロップショットにも、届かないボールはないとばかりに難なく追いついては反撃してポイントに結び付ける。相手とすればお手上げ状態、たちまち攻め手が枯渇するような窮地に陥る。ストロークでの全般的な課題はゆったりとしたペースのラリーになった場合に攻め手を欠く傾向がある点。懸命に強打を仕掛けてくる相手に対してはその球威をうまく利用しながら有利な展開へと引き込んでいく強かさがある一方で、長いラリーを始めから許容しデミノーの側から打たされるような状況になると突如としてポイントが取れなくなることも多い。打開策は現状フォアのハードヒットだが、抜けるように大きくロングすることが目立ち、その精度には改善の余地を残す。また、無謀な仕掛けがミスに繋がる場面も散見され、特にバッククロスの打ち合いを我慢できず強引にストレートへのコース変更を試みる傾向があり、悪い時間帯は本来の持ち味であるしつこさが消えることがある。これは有り余る運動神経が攻撃意欲を増幅させたことの弊害といえそうだが、戦術上の問題であることから今後はアグレッシブさと粘り強さのベストバランスが徐々に確立されてくることを期待したい。

あらゆるパターンを持ち合わせるネットプレー

 サーブも含めてコート後方からのショット一本ではウィナーがそれほど見込めないこともあり、ポイントの締めとしてネットプレーを盛んに試みるのも特徴である。1stで160km/h前後の遅いスライスサーブをワイドに放ちネットに詰めるサービスダッシュ、相手のサービスへのプレッシャーを増幅させるリターンダッシュ、隙の突き方が巧みなストロークとボレーのコンビネーションなど、あらゆるパターンを持ち合わせる。技術的にはまだまだ粗削りな部分も少なくないが、剥き出しの闘志が文字通り襲い掛かってくることによる脅威は大きく、観客を乗せる意味でもネットプレーは彼のテニスを語るうえで欠かせない要素といえるだろう。

無限の伸びしろを秘めたオーストラリア希望の星

 ここに来て再び増えてきたティーンエイジャーの活躍の波に遅れまいと彼も一気に実力をつけてきており、フィジカルが完成した暁にどれほどのプレーヤーへと進化を遂げていくのか楽しみでならない。技術・戦術における今後の強化軸は、遅いテニスをする相手に対する突破力の向上とパワー耐性の範囲拡大ということになるだろう。不屈のファイティングスピリットも含めて現役時代のプレースタイルが似通う元No.1ヒューイットが全面バックアップに付くという環境は、テニスの面のみならずオンオフ問わず振る舞い方を会得する意味でもこの上ない。トミックやキリオスなどの「問題児」が多い近年のオーストラリアにあっては尚更だろう。無限の伸びしろを秘めた個性溢れるデミノーの将来に要注目だ。