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Felix Auger-Aliassime

フィリックス・オジェ・アリアシム

 生年月日: 2000.08.08 
 国籍:   カナダ 
 出身地:  モントリオール(カナダ)
 身長:   193cm 
 体重:   88kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  adidas 
 シューズ: adidas 
 ラケット: Babolat Pure Aero VS 
 プロ転向: 2017 
 コーチ:  Frederic Fontang, Toni Nadal 

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 バネのあるフィジカルを特徴とする高いコートカバーリング能力により常に積極果敢な姿勢を貫き、抜群の決定力を誇るフォアハンドや繊細なタッチで操るネットプレーで仕留める剛柔兼ね備えたオールラウンドなテニスを武器に、近い将来世界の頂点を狙う新進気鋭のカナダの逸材。16年全米優勝をはじめジュニア時代から輝かしい実績を持ち、また同時並行的にフューチャーズやチャレンジャーに参戦して経験を積んできた非常に早熟な才能の持ち主であり、世代をリードする存在として最も早く頭角を現してきた2000年代生まれのプレーヤーだ。トップ100を目前に捉えた位置で19年シーズンをスタートすると、リオデジャネイロ(500)で準優勝、マイアミ(1000)では予選勝ち上がりから大会史上最年少(18歳7ヶ月)ベスト4の快挙を達成し、わずか3ヶ月あまりで30位台まで大幅ジャンプアップを果たした。ツアーデビュー以来対トップ20で5連勝を記録した点など、オジェ・アリアシムの名を知らしめる意味でも彼の登場はまさに鮮烈の一言だった。ツアー決勝8連敗とどうしてもタイトルが獲れず、周囲からのプレッシャーも増して苦しんでいたが、22年ロッテルダム(500)でようやく初優勝を飾ると、やはり肩の荷が下りたように秋には3週連続優勝を達成してATPファイナルズへの出場も勝ち取った。無駄のない洗練された動きとすべてのショットに確かな技術力を備える点でハードコート的なテニスを軸にどのサーフェスにもしっかりと対応でき、北米育ちにはクレーはからきし駄目というプレーヤーも多い中で彼は珍しくクレー適性も高い。なお、王者を見据える大器としては偶然にもあのフェデラーと誕生日が同じということでも話題になっている。

爆発力と柔軟性を高次元に兼ね備えるフォアハンド

 比較的薄いグリップから癖のない素直なフォームから繰り出す当たりの厚いフォアハンドは彼の最大の武器であり、回転量と球速を高次元に両立したショットで次々と攻め立てる。中でも得意とする逆クロスへの決定打は、高い打点から叩き落とす爆発的な強打はもちろん、ミドルコートで低い打点を強いられた場面でも非常に柔らかいラケットワークとボールを下から巻き上げるヘッドスピードによって鮮やかにウィナーにしてしまう。全体的に球持ちの長さを感じさせるしなやかなスイングで捉えられることが技術的に成熟している点であり、ボールをしっかり押すことができるため浅く入ることがあまりない。一方で、フォアのアンフォーストエラーが止まらなくなるのが彼の典型的な負けパターンであり、ベースラインに収められず大きく抜けていったり、差し込まれるフレームショットが増えたり、打ち気が逸ってインパクトを引っ掛けたりと、試合の中での修正能力が課題となっている。

回転量の多さが特筆に値するバックハンド

 バックハンドにおいて特筆に値するのはラリーで放つショットの回転量の多さだ。両手打ちはフラット系の軌道が一般的だが、彼の場合フォアと同等であることが数字に表れている。バウンド後に加速するような球種によって相手を押し込める強みがあると言っていいだろう。コート内側に入ってタイミングを早めたショットも備えており、長身を活かしたアングルにダウンザラインにと攻撃のパターンも自在だ。相手からのボールが一定以上深いと少し打ち損じることがあったり的を大きく外すミスに繋がるのが技術的な課題だ。それでもオープンスタンスで踏ん張ってのカウンターなども含めてフォア、バックともに攻守にほとんど完成されたクオリティを備えていることは好調時のプレーに明らかであり、今後の焦点は戦術面の向上だろう。ペースの緩急や球種の変化を相手に合わせて使えるようになれば、不要なミスを減らしつつ相手へのプレッシャーも増すことができて鬼に金棒だ。

強烈なパスを軽いタッチでいなすローボレーは一級品

 ストロークに一発がありながらも積極的にネットを窺う姿勢やボレーのうまさにも定評がある。特にバックのローボレーは一級品で、膝元に沈んでくるパッシングショットを軽いタッチで少し横の回転を含んだアンダースピンをかけて飄々とコントロールしてしまう。ただし、堅実なショット選択が光り良い意味で派手ではないストロークとは対照的に、フルパワーの強打で前進し非常に勢いのあるカウンターパスに対処せざるを得ない場面や、定石を守らず安易にクロス方向にアプローチを打って抜かれる場面が目立ち、ネットへ出る形の作り方は考え直す余地がある。技術的にはハイボレーではもったいないミスがあったり、またスマッシュは致命傷になりかねないほど苦手にしている雰囲気がある。現状でもネットプレー自体は武器の1つとして十分に機能しているが、さらにクオリティを高めるための取り組みを進めたい。

弱点の面があるも大きなポテンシャルを秘めるサーブ

 体を目一杯伸びやかに使うサーブも相手に対して大きな脅威を与える。頭の真上からやや右側に上げるトスアップを標準とし、スライスサーブとそれを匂わせながら反対サイドへの強烈なフラットサーブを配球の軸とする。少なくとも1st単発でポイントを掴み取る力はトップクラスと言っていい。ただし、本来間違いなく武器となり得るサーブにおいて現状は弱点を晒してしまっている面もある。その原因はダブルフォルトの多さだ。2ndでも思い切ってライン際を狙う強気の裏返しではあるのだが、それでも看過できない多さであることに加えて、大事な場面で出てしまうことが印象をより悪くしている。それと、サービスゲームで基本的にショートポイントを志向している割にポイント間および1st-2nd間にかける時間がかなり長いタイプであり、もう少しその間を短くした方がプレー全体のリズムへの好影響に繋がったり、必要以上の気負いを軽減する効果も期待できると思われる。

将来のNo.1候補との評価が妥当な特大スケール

 展開の組み立てにおいて何でもできる万能型でありながら器用貧乏に陥ることなく、どこからでも一撃で仕留める爆発力もあるテニスは将来のNo.1候補と評価されても納得の特大スケールだ。ナダルを育てた手腕が名高いトニ・ナダルを陣営に迎え、トッププレーヤーとして勝ち続けるためのエッセンスをさらに学び得ようとしている。人の良さが垣間見えるメンタル面の不安はあるものの、まだまだ無限大の伸びしろを残しており、同胞の親友シャポバロフとも切磋琢磨しながら2人で清々しくトップを競い合うようなテニス界の構図を多くのファンが望んでいるはずだ。