Mikhail Youzhny
生年月日: 1982.06.25
国籍: ロシア
出身地: モスクワ(ロシア)
身長: 183cm
体重: 73kg
利き手: 右
ウェア: adidas
シューズ: adidas
ラケット: HEAD Extreme Pro
プロ転向: 1999
コーチ: Boris Sobkin
あらゆるプレーをそつなくこなし、多彩なショットの組み立てで勝負するベースラインストロークと多様なアプローチショットから機を見て積極的にネットに詰めるプレーを使い分ける、クレバーかつオールラウンドなテニスで息長くツアーのトップで活躍するロシアの強豪。02年頃からとりわけ大舞台でコンスタントな活躍が見え始めていたが、06年全米でフェレール、ロブレド、ナダルというスペインのトップ3を立て続けに破ってベスト4に進出したあたりが本格ブレイクの時期であった。以降、07年ロッテルダム(500*)でのビッグタイトルや、10年全米で再びベスト4に入るなど、上位陣を倒す実力を持ったプレーヤーとして要所で常に存在感を示してきた。カフェルニコフやサフィンの影に隠れながらも、着実にビルドアップしてきた技術に裏打ちされた安定感のあるテニスは、サーフェスを問わず好成績に繋がっており、すべてのグランドスラムでベスト8以上を記録、一時はトップ10入りも果たしている。また、02年デビスカップでは決勝戦の最終ラバーに抜擢されると、2セットダウンからの逆転勝利を収め、ロシアに初優勝をもたらした。低い姿勢をキープしたままのプレーで強さを見せるため、中でも芝を得意とし、一部では彼を“芝のスペシャリスト”と評する声もある。繊細な技術力を活かした多彩なテニスを持ち味とする一方、闘志を剥き出しにしながら粘り強く戦うタフなメンタルも兼ね備えている。“ミーシャ”の愛称で知られる彼は、趣味は読書、10年にはモスクワ大学にて哲学の博士号を取得するなど、非常に知的な一面も持っている。10歳の時から師と仰ぐソブキンは元々は数学教授であるが、その研究熱心な性分はコーチとしての手腕も発揮し、現在に至るまで彼のテニスに多大な影響を及ぼしている。また、大きな試合で勝利した後に見せる敬礼ポーズは大佐であった父親を敬ってのものであり、今ではユーズニーのトレードマークとなっている。
威力抜群のスライスで展開を作る多彩なストローク
ベースラインからのストロークはシングルバックハンドからツアー屈指の完成度を誇るキレのある当たりの厚いスライスを軸に、粘り強くラリーをする中で徐々にチャンスを作っていくのが特徴。ゆえに、フォアハンド、バックハンドともにあまりフルスイングはせずにコースや確率を重視した打ち方をする。バックは両手打ちから片手打ちに切り替えた経緯を持つため、リターン時などには時折フォロースルーに左手がついてくるというユニークな特徴がある。技術的にはテイクバックの段階ではハードヒットとスライスのどちらが出てくるかわからない点が強みで、相手の予測を困難なものにしている。また、動きの中やオープンスタンスでも安定して深いショットを打てる懐の深さも魅力だ。緩急のつけ方やバウンドの高低を操るのが巧みで、重いフラットとトップスピン、低く速く滑るスライスを自由自在に駆使して自分のペースに持ち込むと、タイミングの早いライジングショットでストレートを狙う形を得意とする。巧みな面捌きに支えられたコース変更のうまさも彼の強さの1つであり、コートを広く使った展開や意表を突いたプレースメントで相手を大いに苦しめる。パワーヒッターに比べると非力な感は否めないが、その分を補って余りある技術力の高さが彼の強さのベースとなっている。とはいえ、インパクトと体重移動のうまさでウィナーを狙った時のショットは非常に低く鋭いものがある。ドロップショットの使い方が非常に効果的で、ポイントの締めに使うことも、ネット勝負に持ち込む布石として使うこともできる。課題としては、フォアを筆頭に一発の決定力に欠ける点がしばしば挙げられるが、とりわけ相手がベテランとの試合では間の奪い合いや駆け引きが強調されるという点で、玄人好みの好試合になることが多い。相手にオーバーパワーされるほど非力ではないが、パワーで勝てるほどパワフルではないという彼の特徴もそうした試合を生む要因だろう。
強く弾くボレーがスピーディーなテニスに調和
ダブルスでも実績があるように、ネットプレーの技術にも定評がある。とりわけ読みの良さ、反応の良さが抜群でネット際での落ち着きに繋がっている。ボレーはしっかりとブロックして速く足の長いボールで対抗する、いわゆるダブルス向きのボレーを多用する。持ち味であるスピーディーなテニスにはそのシンプルに強く弾くボレーがうまく調和している。また、ダイビングボレーなどで観客を魅了することも多い。
気性は荒いが頭の中は常に冷静
ロシア人らしく気性が荒く、ミスをするたびに落胆の表情を浮かべたり、大声を上げたりもするが、そこから崩れることは少なく、中身は常に冷静で最後まで自分のスタイルを見失わずに貫くことができるメンタル面の強さも持っている。
自慢のテクニックは経験の蓄積でまだまだ進化
30歳を過ぎ、自身のキャリアの締めくくりを意識し始めているような雰囲気も出てきている中で、14年以降は大きくランキングを後退させてしまっている。モチベーションの低下が懸念されるが、逆にそれをいい意味でのリラックスに繋げて健在ぶりを発揮したい。芝での強さについては経験の蓄積によるところが大きく、衰えるどころかまだうまくなっている印象さえある。オンコート、オフコート問わず豊かな個性を振りまくユーズニーにはまだまだ表舞台で活躍を続けてほしい。