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Jo-Wilfried Tsonga

ジョー・ウィルフリード・ツォンガ

 生年月日: 1985.04.17 
 国籍:   フランス 
 出身地:  ル・マン(フランス)
 身長:   188cm 
 体重:   93kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  adidas 
 シューズ: adidas 
 ラケット: Babolat Pure Aero Plus 
 プロ転向: 2004 
 コーチ:  Thierry Ascione, Sergi Bruguera 

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 強力かつ正確なサーブや破壊力抜群の重いフォアハンド、柔らかさが際立つネットプレーなど多彩な武器を駆使して相手を圧倒する攻撃的なプレースタイルで、83年全仏のヤニック・ノアを最後にグランドスラム優勝者が途絶えているフランスにおいて現在最も大きな期待を背負っているプレーヤー。非常にスピーディーな展開の中にストップボレーのような短く止まるボールを織り込み、相手のリズムを一気に崩壊させるプレーを十八番とする。08年全豪で当時ランキング38位のノーシードながらトップ10を3人破って決勝に勝ち上がるという大旋風を巻き起こし、世界にその名を轟かせた。特にナダルに手も足も出させず勝利した準決勝でのパフォーマンスは圧巻だった。同年終盤にパリでマスターズ初制覇を成し遂げた際にはジョコビッチロディック、ナルバンディアンを、14年に2度目のマスターズ優勝を果たしたトロント(1000)ではジョコビッチ、マレー、フェデラーをそれぞれ撃破しており、好調時のテニスは誰にも止められない危険なプレーヤーである。また、その攻撃的なプレースタイルや風貌、彼の醸し出す独特な雰囲気から“テニス界のモハメド・アリ”と称されることがある。勝利後に見せる愛嬌たっぷりの“ビクトリーダンス”もファンの心を掴んで離さない理由の1つである。だが一方で、実は意外に繊細で、テニスに関しては相手によって緻密に戦術を考えるタイプでもある。得意とするハードと芝の試合ではツォンガの積極果敢な攻めのテニスが奏功し相手を苦しめることが多いが、苦手とするクレーではロングラリーに持ち込まれるとしびれを切らし自滅する傾向がある。それでも最近では、軌道の高いボールやドロップショットなどを多用する、より頭脳的なプレーを軸に安定して上位に進出できるようになってきている。

高い打点からボールを叩き潰す破壊力抜群のフォアハンド

 常に少し跳び上がりながら体重を前に乗せていくフォームが特徴的なフォアハンドは躍動感に溢れ、その威力はツアーでもトップクラスを誇る。主に高い打点から叩き潰すようにしてボールを捉えるが、フラット系のスピードボールとバウンド後に非常に重く弾むヘビートップスピンという軌道が大きく異なる球種を同じスイングから操ることができるのが大きな強みであり、サーフェスや相手との相性によってその割合を少しずつ出し入れする戦略性の高さを持つ。クロスに引っ張るショットは腰の鋭い回転に加えて、横に動きながらでも体重が流れずに前にかかる分、たとえボールが浅くても軽くはならないのが相手にとっては厄介で、力負けを避けようとすると今度は力んでミスをするという悪循環にもなりやすい。常に積極的な回り込みの意識もあり、逆クロス方向には比較的スピン系で弾ませて相手をコート外に追い出すような意図が強く、ウィナーを狙うのはむしろストレートへの強打が多い特徴があるが、そのいずれも大きな武器となっている。特に後者のショットはシュート回転がかかってコートの外から内側に巻くような軌道で入ってくるため、相手としては一瞬アウトに見えるという意味で対応が難しい。また、最近ではベースラインから下がって、トップスピンを多用しながらチャンスを待つ、いわばカウンターパンチャーのようなスタイルも習得し、あえて自分のフォア側を空けて相手にそこへ打たせ、待っていたとばかりにクロスコートに展開する反撃力もポイント源となっており、あらゆる戦略に順応する柔軟性が増した印象である。

安定感に難ありも片手打ちという飛び道具を持つバックハンド

 バックハンドは他のプレーヤーよりも打点が体に近く、上半身の回転で押し出すようにしてボールに力を伝える点が特徴。相手の予測を外し、かつ相手が驚愕するほどの強打で攻めようとする姿勢は、ハマれば絶大な効果を生むが、強引さが災いし前後の打点にブレが生じてミスが続くこともあり、安定感には若干の難がある。フォアに絶対的な攻撃力を備える分、バックは相手に自由に打ち込ませないように、コンスタントに深さを出す方向での強化が必要といえる。それでも強打一辺倒ではなくスライスやドロップショットなどの小技を駆使しつつ、得意のフォアで打つチャンスを窺う強かな一面も備えている。アプローチショットなどで使う攻めのスライスのキレは申し分ないが、守備局面での凌ぎのスライスは浮いてしまうことも多く、まだまだ改善の余地がある。また、近年は状況に応じてシングルハンドを使うケースが増えており、主に両手では間に合わない走りながらのパッシングやネット際の処理に用いるが、単なるスタンドプレーではなくポイントを取るための有効な1つの手段として使い分けて機能させることができており、型にはまらない彼のテニスを象徴する要素の1つである。

ストップボレーを操る感覚が天才的なネットプレー

 風貌や体格から豪快な印象が先行しがちであるが、繊細なラケットタッチを必要とするネットプレーにも非常に優れ、ツアー屈指の反応の鋭さと柔らかいタッチを持ち、彼の大きな武器の1つとなっている。前後の動きの中で攻撃を組み立てられる特性を活かし、数々の強烈なショットで相手をコート後方に押し留めた後、ネットへ詰めてことごとくボレーのウィナーでポイントを取る。とりわけバック側の対応は天下一品で、強烈なサイドスピンの効いたドロップボレーやハーフボレーを放って相手を翻弄する。打ち合いの中で向かってくるボールに飛び込んでいくようなストロークから常に前へのスタンスを崩さないその姿は相手に威圧感さえ与える。やっと手が届いたようなボールでも天才的なタッチで球足を短くコントロールできるため、一見強引にも思えるアプローチからでも高い確率でポイントに繋げる。ただ、ボレーのセンスが抜群であるがゆえの悩みか、一発目のボレーで決めようとしすぎて必要のないミスを重ねるきらいがあり、判断力には磨きをかけたいところだ。また、空中でも体のバランスが崩れないため、厳しい体勢からのスマッシュも難なく決める。

コースを読まれても返球させない威力を誇るパワフルなサーブ

 サーブは彼の最大の武器であり、エースを含めたフリーポイントの多さはもちろん、返されてもそれ以降の速い攻めで簡単にポイントを取る展開に持ち込める。1stは210km/hを超えるセンターへのフラットサーブが中心であり、読まれても相手のラケットを弾いて返球させないだけの威力がある。ワイドへのスライスサーブも効果的に織り交ぜることで、コースや緩急の変化で相手に的を絞らせない配球のうまさも持つ。トスをあまり高く上げないため、風などの影響を受けにくいのも強みで、1stの確率もまずまずの安定感を維持することができている。課題となっているのは浅くなって叩かれることの多い2ndで、トップレベルの戦いにおいてはこの2ndの出来如何で勝敗が決することも少なくないため、今後はその精度を改善するとともにバリエーションの増加が求められる。また、現役プレーヤーの中ではサーブ&ボレーの頻度が高く、特にショートポイントでピンチを凌ぎたい場面や勝負所では多用し決定率も高い。

粗削りだが脅威十分のリターン

 リターン力という面ではまだまだ粗削りで不安定な部分が多く、トップと比較するとリターンからのポイント獲得率に差があるが、2ndに対しては両サイドともにフォアに回り込んでパワーで押していこうとする姿勢が見られ、相手に脅威を与えている。また、大事なポイントでの決断力が光り、通常ならまずは大事に返球することを第一に考えるような場面でも、彼は逆にエースを狙う姿勢を見せ、実際エースにしてしまうこともしばしばある。

誰も止められない持ち前の威圧感と爆発力を取り戻せるか⁉

 技術的なポテンシャルは誰もが認めるところで、乗っている時にはサーブ、リターン、フォア、バック、ネットどこからでもショートカットで怒涛のような攻撃を仕掛けてどんなに格上の相手も一蹴する力の持ち主であり、何か工夫すれば崩せるという気配さえ感じさせない凄みがある。だが一方で、がっちり守りを固められると攻め急いでミスが増える癖をうまく利用されると苦しくなる。ベースラインからの豪快な強打と柔らかいタッチで操る華麗なボレーが鮮やかなコントラストを描く多彩なテニスが持ち味だが、膝を中心に下半身に故障を抱えて以降は、前への動きにキレを失いつつあり、結果としてネットプレーの質を中心にプレー全体の威圧感や爆発力が低下している印象がある。守備においても逆を突かれて足がもつれ、バランスを崩すようなシーンが目立つようになっている。そして、追い詰められるとパワーに頼る癖を上位には見抜かれており、そこにつけ込まれているために、ここ最近トップ10との対戦成績が芳しくない。冷静に戦えれば手札は多いだけに、近年オーバーウェイト気味のフィジカルの再充実は大前提として、不可解な集中力の低下が招く淡白なプレーをなくすため、メンタルの上下動を極力減らしたいところだ。12年終盤から陣営に迎えたラシードとの関係は約1年で幕を閉じたが、確実にツォンガのテニスにはトップらしい安定感という新たな一面をもたらした。その安定感と本来の持ち味である爆発力が融合してくれば、グランドスラムで優勝を争えるプレーヤーである。