Reilly Opelka
生年月日: 1997.08.28
国籍: アメリカ
出身地: セントジョセフ(アメリカ)
身長: 211cm
体重: 102kg
利き手: 右
ウェア: FILA
シューズ: FILA
ラケット: Wilson Pro Staff 97
プロ転向: 2015
コーチ: Jay Berger
211cmというテニス界最長身から繰り出す桁外れの超ビッグサーブと、チャンスと見るや一撃で仕留めにかかる爆発的なフォアハンドを中心に、パワープレーで相手を蹴散らすアメリカの大型新星プレーヤー。サーブにおいてはいずれのスタッツでもすでにツアートップクラスを誇り、身体のサイズもほとんど共通するカルロビッチ・イズナー級の歴史に残るビッグサーバーと言っていい。15年ウィンブルドンジュニア優勝を伴ってプロキャリアの扉を開けると、チャレンジャーで着実に実力を伸ばし、19年にツアーレベルへの完全移行に成功、ニューヨーク(250)ではツアー初優勝を飾っている。同年には、計10セット戦い、すべてがタイブレーク決着となった先輩格イズナーとの3度の対戦が話題にもなった。両者の特徴を考えれば道理ではあるが、とはいえ改めて彼らが並のビッグサーバーではないことを証明して余りある記録だろう。21年にはトロント(1000)でマスターズ初の決勝進出を果たすなど大舞台での活躍も目立ち始めトップ20にも入っている。 ハードコートで最も強さを発揮するが、好きなサーフェスにはクレーを挙げており、ストロークにも一定のクオリティを備える点で潜在能力は非常に高いものがある。
規格外の威圧感で襲い掛かる超ビッグサーブ
最速230km/hを超えるフラットサーブの球威、回転系サーブの変化量、トスの位置や打点のタイミングを微妙に変えて相手を惑わせるフォーム、それら強さを測るすべての要素で突出した能力を持つサーブは、言うまでもなくオペルカの代名詞であり最大の武器だ。デュースサイドはワイド、アドバンテージサイドはセンターに打つ、驚くほど曲がり幅の大きい高速スライスサーブを配球の軸とする。最もスピードの出るフラットはどちらかと言えばスライス系を補完する位置づけといえ、大事な場面に使うとっておきの武器という印象が強い。キックサーブの弾み方も常軌を逸しており、これを2ndのみならず1stから頻繁に交ぜてくるのがリターン側からすればこの上なく厄介だ。重要なポイント源の1つであるサーブ&ボレーのコンビネーションにおいてこのキックサーブが有効に機能している。技術的には非の打ちどころのないところまで来ており、あとはいかに試合の中での波を減らすことで当たり前に90%以上のサービスゲームキープ率を実現していくことができるかが課題だろう。
一撃で仕留める破壊力抜群のフォアハンド
ストローク戦での狙いはただ1つ、フォアハンドで高い打点をとって強打を放ちウィナーを決めることだ。その強打の破壊的な威力といえば、サーブと見間違うが如き角度とスピードでボールがコートに突き刺さるほど。ただし、低めの打点からでもうまくラケットをボールの下に潜り込ませることでスピンをかけることができ、打点が詰まっても上半身を鋭く回す独特な身のこなしで対応するなど、意外にミスをしない。相手は彼の豪速球しか警戒の範疇にないだけに、時折交ぜる意表を突いたアングルショットでは高い確率で相手のバランスを崩すこともできる。球威とまずまずの対応力を兼ね備えた大きな武器と言っていいだろう。
ブロックショットで意外なカウンターを見せるバックハンド
バックハンドは後ろ側の左手でコンパクトにブロックして返球するショットを得意とする。相手とすれば攻めていても弾むボールを高い位置で処理されてしまうと、通常では受けることのない伸びやかな軌道のカウンターで却って押されやすい。したがって、コートの浅い位置も念頭にオペルカに低い打点を強いり、ミスを誘発したり球速を出させない戦術が必要である。
2m級のプレーヤーとしては合格点の動き
弱点は確実性の低いリターンと動きの鈍さということになるが、動きに関しては2m級のプレーヤーとしては合格点を与えてもいい軽やかさがあり、ある程度長い打ち合いで左右に動いても粘り強く食らいつくフィジカルを持っている。ベースラインでのしぶとさが印象に残るのは、それほどネットプレーを自然な流れで多用できるタイプではない弱みの裏返しでもあるのだが、いずれにしてもフットワークの技術的側面を改善し、打点直前のステップの不安定さを解消できれば、現状一発頼みのストロークからの展開にも奥行きが加わるはずだ。
将来トップ10を目指すにはネットプレーの向上が鍵
規格外のビッグサーバーという特徴からして、大会グレードを問わない年間数大会での好成績により安定的にトップ20に位置することは容易く想像ができるが、同系統のプレーヤーはその上の壁が破れずトップ10定着はならなかった例が過去には多い。彼がその高みに挑戦するためには、エラーの多いストロークに安定感を手に入れることも重要だが、それよりもネットプレー向上によるショートポイントの更なる量産に優先的に取り組むべきだろう。NextGenを代表する巨人プレーヤーとして常に目が離せない存在だ。