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Daniel Evans

ダニエル・エバンズ

 生年月日: 1990.05.23 
 国籍:   イギリス 
 出身地:  バーミンガムイングランド
 身長:   175cm 
 体重:   75kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  LUKE 
 シューズ: adidas 
 ラケット: Wilson Pro Staff 97 (18×20) 
 プロ転向: 2006 
 コーチ:  Sebastian Prieto 

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 キレのあるバックハンドのスライスを軸にラリーを組み立て、俊敏な動きで流れるような展開を作り出すイギリスのオールラウンダー。デビュー当初はイギリス国内で最も有望な若手として期待されていたが、同時に彼自身のテニスに対する意識の低さが指摘の対象となることも多く、家族やコーチや協会からも見放されかけた時期もあった。近年はようやくプロ精神が芽生え始め、本来の才能に努力が積み重なって、初のトップ100入りを果たしている。後にチャンピオンに輝くバブリンカをフルセットまで追い詰めた16年全米や、チリッチを下す番狂わせを演じた17年全豪の活躍により、彼のポテンシャルは大きな脚光を浴びていたが、その矢先にコカインの陽性反応で1年間の出場停止処分が科せられ、再びキャリアは振出しに戻ることに。性格の根本部分はそう簡単に変わらないと痛感させられる出来事だったが、復帰後はさすがの実力を発揮していち早くトップレベルに返り咲いている。三十路を迎えてテニスの成熟度に精神面が追いついてきた印象のある近年は完全に30位付近に定着し、21年にはメルボルン(250)で念願のツアー初タイトルを手に入れた。日本では、当時トップ10を視野に捉え始め期待も膨らんでいた錦織が13年全米の1回戦で惨敗を喫した相手として、またはメーカーとの契約が切れていた17年全豪において現地のユニクロでまとめて調達したウェアを着用していた微笑ましいプレーヤーとして、記憶しているファンも多いはずだ。

スライスの散らしから多彩な展開に持ち込む綺麗なテニス

 ストロークでは多様な回転とコースを打ち分け、思い切った判断でネットプレーも果敢に織り交ぜていく彼のプレーに対して抱く第一印象は、非常に綺麗なテニスであるということ。高い位置に肘から引いていくフォームが特徴のフォアハンドは崩しと決めの局面で軸となるショットで、クロス、逆クロスに角度をつけていくスピン系のコントロールに優れ、パワフルな一発で仕留めるような武器を持たない分を、オープンコートを作り出す巧みなアングルショットと次をボレーで処理するコンビネーションで十分に補っている。また、フォアは強烈なカウンターショットも得意としており、外側に追い出された位置から反撃するストレートは特に相手にとって脅威である。そのほとんどをスライスで返球していくシングルバックハンドは、彼の奥の深い組み立てを実現するうえで最も重要なショットと言っていい。クロスからストレート、深いところから浅いところまで正確に鋭く滑る攻撃的なスライスを散らして、相手には高い打点を取らせないことで決定打を許さず、逆にチャンスボールを誘い出してネットも絡めた自らのペースに引き込んでいく。ただし、リターンも含めてややスライスの割合が高すぎる部分もあり、フォアに回り込まれるケースも目立つ。少なくとも上位相手には自分から攻める展開を作らなければ勝てないことを考えると、もう少しバックの強打を増やしてもいいかもしれない。決してスピンが苦手なわけではなく、十分に時間のある場面や思い通りの形に持ち込めた場面で放つ強打は非常に伸びがあり、相手のバランスを崩すことに成功している。相手次第でスピン主体の戦術も身につければ、得意のスライスがより生きる効果もあるだろう。

小柄のハンディを補って余りあるパワフルなサーブ

 小柄のハンディを背負っていながら、全身を大きく使ったダイナミックなフォームから繰り出す強力なサーブを備えていることも彼の特徴で、200km/hを超えるフラットサーブに加えて、とりわけアドバンテージサイドで多用する外に大きく跳ねるキックサーブを持つため、2ndの質が高いのが大きな強みである。2ndでも強気に打っていくため、大事な場面でのダブルフォルトも多いが、これはどちらかといえばメンタルの問題といえる。

試合中の浮き沈みが激しいメンタル

 テニスのうまさという点ではトップ50に定着してもおかしくない実力を持っているが、やはり弱点は一にも二にも精神面の不安定さである。試合中のメンタルの浮き沈みが極めて激しく、頭に血が上った状態ではプレー全体が雑になり、それまでの試合展開を壊してしまうこともしばしば。警告をとられない軽く叩きつけるものも含めるとラケットを放り投げる回数が最も多いプレーヤーの1人と言ってもよく、若手と呼べる年齢ではすでにないだけにそろそろ落ち着きを手に入れてほしい。

マレーに続くイギリスNo.2争いをモチベーションにしたい

 バックのスライスによるペースダウンとフォアで攻撃のスイッチを入れるペースアップの緩急で、瞬く間に相手を翻弄する魅力的なテニスを持つエバンズ。年齢的にはベテランに差し掛かっていくが、フィジカルを維持さえすれば技巧派の彼の最盛はまだこの先にあるはずだ。マレーの献身により今やデビスカップで常に上位を争うようになったイギリスだが、シングルスの2番手は固定されておらず、その枠は若手のエドマンドやノリー、ベテランのウォードと熾烈な争いとなっている。それも1つのモチベーションとして今後さらに躍進を遂げてほしい正統派タイプのプレーヤーだ。