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Sam Querrey

サム・クエリー

 生年月日: 1987.10.07 
 国籍:   アメリカ 
 出身地:  サンフランシスコ(アメリカ)
 身長:   198cm 
 体重:   95kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  FILA 
 シューズ: FILA 
 ラケット: Babolat Pure Aero Plus 
 プロ転向: 2006 
 コーチ:  Scott Doerner 

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 長身を活かした強力なサーブで相手を崩し、アプローチを打ってネットで仕留める、いわゆるアメリカンスタイルのネットプレーや、強く打ち抜くパワー系のストロークによる攻撃力を武器に、近年低迷するアメリカ勢を懸命に牽引するベテランビッグサーバー。期待の大型プレーヤーとして注目を浴びる中でデビューし、キャリア序盤は08年地元ラスベガス(250*)でのツアー初優勝や10年メンフィス(500)でのビッグタイトル獲得など比較的順調にトップ20までランキングを伸ばしてきたが、故障に泣かされたこともあり、燻る存在に落ち着いてしまった感はある。とはいえ、ウィナーの多い派手なプレースタイルは、ハマるとトップ10級をも破る力を持っている。ウィンブルドンで2年続けてNo.1を撃破した活躍が記憶に新しく、16年は3回戦でジョコビッチを破って、彼のグランドスラムにおける連続ベスト8記録に終止符を打ち、17年には準々決勝でマレーをフルセットで下す金星を挙げ、自身42度目のグランドスラムで初のベスト4を記録している。また、17年アカプルコ(500)では大会を通してゾーンに入ったようなパフォーマンスを継続し、ゴファン、ティーム、キリオス、ナダルといった強敵を次々と打ち砕き、文句の付けようがない鮮烈な優勝を飾った。ハードコートを最も得意とし、とりわけアメリカ国内で行われる大会で好成績を残している。

決まり出したら止まらないサーブの爆発力

 2m近い長身から叩き落とすようなビッグサーブは彼の最大の武器で、エースの数や1stポイント獲得率はツアー屈指の数字を誇る。最速230km/hを超えるフラットサーブを得意とし、センターにもワイドにも速いサーブで相手を圧倒しフリーポイントを量産する。彼のサーブの爆発力を知るうえでは、07年インディアナポリスでのブレーク戦でATP記録となる10連続エースを叩き込んだ事実がまさに象徴的だろう。ダブルフォルトが多く、1stとは打って変わって威力が貧弱な2ndの質にトップとの差を感じるが、そこを改善できればさらに高いサービスキープ率を実現できるはずだ。

大胆なフォアの一発をどれだけ活かせるかがストローク戦の鍵

 ひたすらにコーナーを狙ってボールが潰れるほどのハードヒットを繰り出していく破壊力抜群のフォアハンドも大きな武器の1つで、攻撃的なテニスにあって生命線となるショットである。直線的な軌道のウィナーを量産するが、ボールを引きつけて上半身を捻るため出所が見づらく、スイングスピードが非常に速いため、スピードボールでありつつしっかりとスピンが効いているのが特徴である。浅いボールに対して左足でステップインして打った時の威力は相当なものがあり、ビッグサーブとのコンビネーションで多くのポイントを生み出す。また、ストローク戦の中でもチャンスボールと見るや高い打点をとって大胆にストレートに叩き込む豪快さは相手に脅威を与える。手首の強さがあるため、やや不十分な体勢からでも強引にボールを叩いて相手コートにねじ込む力があり、ギャンブルともいえるこうしたショットが入ってくると相手としても対処のしようがない。バックハンドも一発は備えるものの、ややフォームが硬く、対応力に問題を抱える点を本人も自覚しているせいか、リスクを承知のうえでかなり広範囲をフォアでカバーし攻撃に繋げようとする傾向がある。ただし、そのフォアにしろ、確実に深く打たれたり、低く滑るボールを多用されると、持ち前の攻撃力が半減してしまう弱みがある。また、相手に守りを固められた時にそれを打破するための武器を現状では持っておらず、サーブ頼みのスタイルから脱却を図るうえでは、強打に何かプラスアルファが欲しい。その中でここ最近新たなオプションとして確立しつつあるのは、バックで踏み込んで放つアプローチ気味のショットがそのまま鋭角を抉ってウィナーとなるパターンだ。自由度が低いと思われていた小さなスイングが逆に生きているのがこのショットで、ネットへ詰める動きとの連動性が非常に高く、多くのプレーヤーがクエリーといえば長い溜めからのビッグショットという固定観念を持っていることもあいまって意外性は抜群だ。対戦相手とすればクエリーとの試合では凄まじいスピードとパワーを受け止める力があることが絶対条件であるものの、そのうえで速い展開を作って前後左右に振り回し、ミスを引き出すことができればそれほど難しい相手ではない。

近年の躍進は多面的なテニスの習得の賜物

 ポイントの組み立て方やサーブとフォアで一気に攻め立てるプレースタイルの系統は、同胞でしばしばダブルスでペアも組むイズナーとほとんど共通している。一発の怖さでやや劣る分、大柄な割に優れる機動力や粘り強さ、安定感といった部分で上回るというのが彼のテニスだが、それはあくまでイズナーとの比較のレベルの話で、本質的には勝つ時は気持ちよく勝ち、負ける時は意外にあっさりといういかにも最近のアメリカ人らしいプレーヤーといえる。とはいえ、近年の躍進はバックハンドやネットプレーなど本来の持ち味とは異なる部分の向上により多面的なテニスへとシフトしてきたことが大きな要因であることは間違いない。潜在能力は高く、年齢的には成熟期に入るため、今後の数年間がキャリアを分ける正念場となりそうだ。