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Pablo Cuevas

パブロ・クエバス

 生年月日: 1986.01.01 
 国籍:   ウルグアイ 
 出身地:  コンコルディア(アルゼンチン)
 身長:   180cm 
 体重:   78kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  LACOSTE 
 シューズ: asicas 
 ラケット: HEAD Prestige MP 
 プロ転向: 2004 
 コーチ:  Facundo Savio  

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 ベースライン後方にポジションを取り、バウンド後に勢いが増すような球威のあるボールを攻守に出し入れし、空間とタイミングを巧みに利用して徐々に優位に立ちながら長いストローク戦でポイントを重ねていくウルグアイの職人クレーコーター。これという目立った大きな武器はないが、粘り強い守備と堅いストロークに対しては明確な弱点も見出しがたく、幅の広い攻撃パターンも備えており、勝ちにくい試合巧者タイプの筆頭格といえる。09年にトップ50入りを果たすも、その後右膝の怪我が深刻化し、一時は現役の続行さえ危ぶまれた時期も経験したが、約2年のブランクを経て復帰するとツアー初優勝を含めた大飛躍を遂げ、自らがかねてより目標に掲げていたトップ30へと一気に駆け上がった。さらに、16年リオデジャネイロ(500)では準決勝でナダルから大金星を挙げた末にタイトルを手にしている。チャレンジャーレベルではほとんどクレーの大会に参戦してツアーに上がってきた経歴を持ち、それだけでも彼がクレーに特化したプレーヤーであることの証明だが、キャリア通算のクレーでの勝率は6割近くに上り、これは彼ほどのランクに位置するプレーヤーの中では突出した数字となっている。ダブルスでも実績を残しており、08年にはオルナとの南米ペアで全仏を制している。また、もう1つ彼を語るうえで絶対に外せないのは、ペールと並ぶツアーにおける「トリックショットの宝庫」であること。股抜きや背面打ち、その他のフェイクショットも多数備える。明らかに必要のない場面で放つこともあり、スタンドプレー的な側面も強いが、その技術とセンスは抜群の一言で、後ろ向きに走った時にどんな技が飛び出してくるのかが読めない、見る者を大いに沸かせるプレーヤーの一面も持っている。

面がぶれない力強さと駆け引きのうまさでラリーを支配

 攻守に安定感が際立つストロークは彼の最大の武器で、両サイドともに強打を広く深くコントロールしつつ、スピン系の非常にキックの効いたボールで相手の体勢を崩し、大きな角度をつけて相手を走らせながらじわじわと追い込んでいくプレーを得意とする。相手の仕掛けを待って逆にカウンターチャンスをものにしていくのが主なスタイルだが、相手の強打をタイミングで合わせる対応力とそれをオープンスペースに確実に跳ね返しながら自分の展開に持っていく能力に秀で、ラリーの支配力は高いものを持つ。一方で、一撃で仕留めるショットスピードも備え、サーブやリターンからの早い展開でチャンスを見つけて力強いウィナーを次々と相手コートに突き刺したり、あるいは相手の予測しない場面で強打を繰り出したりという駆け引きのうまさも彼ならではといえる。小柄だがフォアハンドはジャンプしながらネットより高い打点でボールを捉えることで、フラット系の伸びのあるショットとなり、彼のテニスの中では決定打として大きく機能している。シングルハンドで放つバックハンドはフォロースルーでの手首の解放を抑えめにすることで、安定性を確保しているのがフォーム的な特徴。クロスに打つ際にボールの外側を削るように捉えるため、スピンが効いてサービスライン付近に落ちる鋭角なショットとなりやすく、相手に対して長い距離を走る対応を強いることができる。また、弾んでくるボールに対して伸び上がりながらライジングで捉えて展開していくのが特徴で、以前はそこで少し打点が詰まったり、深いショットに対して当たりが悪くなることがあったが、最近はその技術に磨きがかかり、非常にインパクトがクリーンになったことで攻撃力の切れ味に向上が見られる。フォア、バックに共通している強みはラケットの面がほとんどぶれないことで、握りの強さと振りのコンパクトさが相手のパワーを逆手に取った展開力を生み出している。

トータルバランスに優れたサービスゲーム

 バリエーション豊富なサーブも相手に対して難しい対応を迫ることのできる武器の1つで、デュースサイドでは200km/hを超える速いサーブを軸に、アドバンテージサイドではワイドに跳ねるキックサーブを軸にしつつ、勝負所では裏をかいた配球でエースを奪うなど、トータルバランスに優れたサービスゲームを展開する。また、ダブルスでのキャリアが先行していたこともあり、積極的にサービスダッシュを試みるのも特徴で、ネット際で見せるテクニックも水準以上のものを持っている。

玄人好みのクレー巧者テニスで隠れた強豪としての地位を確立

 今やジョコビッチや錦織の活躍により、クレーでもフラット系でどんどん打ち込むスタイルがテニス界を席巻しているが、彼のようにトップスピンを軸にして丁寧かつ執拗な組み立てと微妙な駆け引きの中でポイントを取っていく古典的なクレー巧者タイプが上位を賑わしている事実もツアーの中では見逃せない。彼のテニスはプレースタイルから各ショットのフォームに至るまで、全仏優勝の実績を持つアルゼンチンのガウディオに瓜二つだ。基本的に活躍の場はクレーに限られるが、それもスペシャリストらしいクエバスの特徴の1つと言うべきだろう。ただし、近年は彼自身ハードコートでも勝てるテニスの形へとシフトしているような印象もあり、クレーで培った高い軌道で相手を押し込むテニスに、展開のスピードが加わったことで、上位陣にとって危険度は増したといえる。勝利を目の前にして硬さが顔を出すメンタルは改善したいが、いずれにせよ今後もベテランらしいプレーで隠れた強豪としての地位をさらに確立していきそうだ。