Marton Fucsovics
生年月日: 1992.02.08
国籍: ハンガリー
出身地: ニーレジハーザ(ハンガリー)
身長: 188cm
体重: 82kg
利き手: 右
ウェア: HYDROGEN
シューズ: NIKE
ラケット: YONEX EZONE 98
プロ転向: 2010
コーチ: Zoltan Nagy, Miklos Jancso
派手さはないがすべてにおいて確かな技術力がベースとなったストロークを放ち続け、相手に対して根比べのようなロングラリーを強いる中で自らの持ち味である心身の粘り強さによって試合展開を支配するハンガリーの守備型ストローカー。デビスカップ・ワールドグループ入りを懸けた17年秋のプレーオフで格上の面々が揃うロシアを相手に1人で3勝を挙げる大車輪の活躍を見せて注目を浴びると、18年シーズン開幕の全豪で4回戦に進出、クレーコートのジュネーブ(250)でツアー初優勝を達成するなど早々とトップ50定着を果たしている。一発の魅力を備えるタイプではないが、逆に対戦相手の側から主体的にクオリティの高い攻撃を仕掛けなければそう簡単にはラリーを終わらせてはくれない屈指のしぶとさを持ったプレーヤーとしてここ最近その存在を確立しつつある。テニスの安定性で勝負するフチョビッチにとってサーフェスの違いはそれほど大きな戦闘力の上下に影響を与えない。実際にハードとクレーでの実力は証明済みで、オールラウンドに活躍できるプレーヤーと言っていいだろう。
柔軟な対応力で攻守の軸となるフォアハンド
彼の土俵である長いストローク戦で攻守に渡って軸となるのがフォアハンドである。軌道の高さに変化をつけたり、ボールのスピードを中速程度に抑えながら丁寧にコーナーを突いていくのが彼のスタイル。薄めのグリップとリバーススイングも含めて基本に忠実な癖のないフォームによって、相手の強いショットや長短緩急のバラエティに富んだ球種に対する瞬時の対応力も高く、非常に崩れにくい性質の柔軟な技術力を有するとともにカウンターウィナーもしばしば見舞う大きな武器である。コートカバーリングに自信を持っていることもあり、なるべく多くフォアを使って主導権を手繰り寄せる狙いでポジションをバック側に取ることが多く、逆クロスへの重いトップスピンで相手のバランスを崩せている時の彼は相当手強く、ラケットの重みではなく軽さを活かしたスイングの速さで飛ばすハードヒットの攻撃力も水準以上だ。相手とすればなるべくフチョビッチにフォアを使わせず、特にネットに詰める際にはフォアで対応させない戦術が必要になってくる。
両手打ちながらスライスの散らしが巧みなバックハンド
一方のバックハンドは深いボールにはブロック系のショットで応酬し、時にはダウンザラインへの反撃も通してくる。また、浅めのボールや相手の強烈な攻撃に対する処理にスライスを頻繁に使う特徴があり、両手打ちバックのプレーヤーながらスライスの散らしを非常に効果的に戦術に組み込めることが1つの個性を形成している点といえる。ただし、それがチャンスボールに対して踏み込む姿勢が薄いように映る場合もあり、決め球を見極める判断力と一撃で仕留める決定力の向上が今後の課題だろう。
突出した確実性で相手の疲弊を誘うリターン
ストロークで見せるミスの少なさはリターンでも同様で、一本のリターンが脅威を与えることは少ないものの、深めのポジションから確実に返球を成功させ早い段階でニュートラルな打ち合いに持ち込むうまさがあり、その蓄積が徐々に相手の疲れや気持ちの途切れを生み出す。
1stの確率を改善して隙を減らしたいサーブ
サーブは現状やや見劣りのする要素であり、武器と呼べるレベルには至っていない。エースを数多く奪う類のサーブではなく、プレースタイルとの整合性を考えても求められるのは安定感だが、その1stの確率が低いのが難点。質の高いスピンサーブを持っており、それを1stから駆使することも含めて改善を待ちたいところだ。
持ち前の堅実さに一発の怖さが身につけば更なるステップアップも
堅実の一言に集約できる彼のテニスであるが、すでにトップ10級とも互角に近い試合を数多く演じている。これがコンスタントに勝ち星に繋がってくるともう一段ステップアップすることになるだろう。そのためには攻撃力アップを中心に相手に対する怖さを植え付けたい。いずれにしても脂の乗った年齢にツアーレベルに頭角を現したフチョビッチの活躍は注目だ。