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Viktor Troicki

ビクトル・トロイツキ

 生年月日: 1986.02.10 
 国籍:   セルビア 
 出身地:  ベオグラードセルビア
 身長:   193cm 
 体重:   86kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  lotto 
 シューズ: lotto 
 ラケット: Babolat Pure Aero Plus 
 プロ転向: 2006 
 コーチ:  Jack Reader 

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 恵まれた体格を活かした強力なサーブと返球能力に優れた堅いストローク力を武器とする本格派のパワープレーヤー。10年にデビスカップ決勝フランス戦のファイナルラバーに抜擢され、そこで勝利を収めて母国セルビアの初優勝に大きく貢献すると、11年にはその勢いで一時トップ10に肉薄するなど着実に成長曲線を描いていたが、その後はある種の壁にぶつかったようになかなか勝てない時期が続き、その矢先13年にはドーピング検査拒否の疑いをかけられ、12ヶ月という重い出場停止処分を受けてしまった。この処分の経緯を巡ってITFと激しく争っていた際、完全に彼を擁護する態度を表明し、また練習も共にしてくれた同胞の親友ジョコビッチとの絆の強さが話題になった。すべてにおいて安定した技術力がベースとなったそつのないトロイツキのテニスは、戦術も比較的セオリー通りで意外性には乏しいため、地力で劣る対トップ10の戦績は非常に悪いが、一方で格下との対戦ではしっかりと力の差を示す形で勝ち星を積み重ねることができる。出場停止が明けてから短期間でトップ30へのカムバックを果たした事実が、彼の実力を物語っているといえるだろう。その過程、15年シドニー(250)で自身2度目のツアー優勝を挙げたが、ククシュキンとの決勝はATP史上初となる予選勝ち上がり同士のタイトルマッチであった。ハードコートを最も得意とするが、クレーや芝が苦手ということはなく、あらゆる条件で一定の強さを発揮できるのも強みだ。

 豪快に打ち込む攻撃力を両サイドに持つストローク

 ベースラインからのストロークは繋ぎや組み立ての段階ではトップスピンでしっかりと深さを出しながらボールを弾ませて相手の体勢を崩し、甘いボールには前に入って強烈なフラットショットを叩き込む。特にフォアハンドは非常にメリハリが利いており、同じようなショートテイクバックから多様なショットを繰り出し、最終的にはストレートで豪快に仕留める形が多い。ただ、大事な場面でやや引っ掛けたり抜けたり当たりが悪くなって意図せずペースが落ちたりといったミスが増える傾向があり、彼の課題であるメンタルの弱さが最も顕著に表れるショットがフォアとなっている。フォアは力を溜めて打ちたい分、パワーはあってもテンポが上がりづらいが、一方でバックハンドはタイミングを早めたダウンザラインなどを持ち、両サイドで異なる攻撃力を有する。

戦術のベースは身体の柔軟性を活かした粘りのディフェンス

 とはいえ、基本的には持ち前のパワーをどちらかといえば守備に活かしているのが彼の特徴で、その根幹として大柄なプレーヤーとは思えないほどの機動性能や瞬発力を備えており、さらには柔軟な身のこなしを駆使したディフェンス能力の高さも特筆に値する。フォアサイドはスライス系のブロック、バックサイドは開脚によるカウンターショットを得意としており、全体的には自分から展開するというよりは粘り強いディフェンスからのカウンターや相手の攻め疲れを待つ受け身重視の戦術を主としている。ただし、その守備力の高さにやや頼りすぎるきらいがあり、守から攻へのトランジションとその判断力が1つの課題といえる。こうしたテニスのベースはNo.1になる以前のジョコビッチに近いスタイルといえ、彼がそうして進化を遂げたように、攻撃的な方面で強化すれば安定感だけでなく怖さが出てくるはずだ。そのために攻めの局面ではもう少しバックサイドのボールを回り込んでフォアで打つ思い切りが欲しいところで、少なくとも格上に勝つにはそうした部分での上積みがなければ今後も厳しい戦いが続くだろう。

 1stは頼れる武器、2ndは心もとない弱点のサーブ

 前に上げたトスからクイック気味のモーションで放たれる角度のあるサーブも大きな武器である。常時200km/hを超えるフラットサーブでエースを量産する1stは十分にトップレベルといえるが、2ndは浅くなって自由に展開されるケースが多く、大いに改善の余地がある。大きく前に体重を乗せていくフォームの特性、またボレーの技術も決して低くないものを持っていることから、サーブ&ボレーの多用に進化の可能性を見出すのも面白いかもしれない。

 人の良さとキレやすさ、不安定な精神面が実力の足を引っ張る

 メンタル面での弱点がしばしば指摘されるように、相手を追い詰めておきながら勝ち切れない試合を演じることが多く、人の良さが見え隠れする一面がある。一方で、ジャッジを巡って審判と必要以上に揉めた末に、集中力を切らして一気に崩れることもしばしば。30代も半ばを迎えたここ数年は低迷しており、セルビア勢としても勢いのある若手に押されて存在感が薄らいでいるが、技術的な面で各要素に残る硬さを少しずつ解消し、それプラス精神面で一皮剥けてくるようなら再びトップ30に戻ってくる可能性は秘めている。