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Kevin Anderson

ケビン・アンダーソン

 生年月日: 1986.05.18 
 国籍:   南アフリカ 
 出身地:  ヨハネスブルグ南アフリカ
 身長:   203cm 
 体重:   94kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  DUNLOP 
 シューズ: lotto 
 ラケット: DUNLOP CX 200 Tour 18×20 
 プロ転向: 2007 
 コーチ:  Diego Moyano, Jay Bosworth  

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 2mを超えるツアー随一の長身から繰り出すサーブを軸にストロークのハードヒットを連打して相手に圧力をかける攻撃的なテニスを持ち味とするビッグサーバー。南アフリカ出身だが、アメリカの大学テニスを経由してプロに転向した経歴を持ち、キャリアに直結する部分に着目すればアメリカ育ちと言ってもいいプレーヤーだ。とはいえ、ツアー初優勝を唯一の母国開催大会であった11年ヨハネスブルグ(250)で獲得したことは彼のキャリアを大いに彩っている。この手の大型プレーヤーはサーブから速い展開でネットプレーに繋げてポイントを取っていくタイプが多いのだが、彼の場合はボレーよりもストロークの強さが目立ち、ベースラインからの長い打ち合いでもしっかりと渡り合えるという意味では、テニスに安定性があるということができる。グランドスラムでついに4回戦の壁を突破し、初のベスト8進出を果たした15年全米での活躍は鮮烈で、特にマレー戦のアップセットは思考は大胆に保ちながらも1つ1つのプレーは非常に丁寧に行えるという彼の強みを終始貫き通しての勝利だった。この後自身初のトップ10入りも果たしたが、翌年は怪我に苦しみランキングを大きく後退させてしまった。しかし、17年にはしっかりと実力の高さを示す形で見事に復活を遂げ、全米ではファイナリストに輝くという望外の結果も手にした。さらに18年は勢いではなく実力の上積みが非常に安定した好成績に繋がり、トップ5の座も手中に収めた。同年ウィンブルドンの躍進はこの上なくドラマチックで、フェデラーを2セットダウンからの逆転で破った準々決勝がフルマラソンだとすれば、6時間35分に及ぶ死闘の末ファイナルセット26-24の決着でイズナーを下した準決勝はさながら100kmマラソンであった。肉体および精神に負った代償はあまりにも大きく、決勝ではジョコビッチの前に散ったものの、1年の間に2度のグランドスラム準優勝は称賛に値し、三十路を迎えてからまさにキャリアの絶頂期を謳歌している。最も得意なサーフェスはバウンドが高めのハードコートだが、サーブの有利さが増す芝はもちろんクレーでも普段よりリターンが返せるという理由から強さを発揮する。特大の武器を持ちながらもそれに頼ることなく常に課題の改善に取り組むプロ意識の高さや、幾度の故障離脱にも挫けず這い上がってくる不屈の姿勢、相手を気遣う慎ましやかな人柄など、人間的にもツアーで非常に尊敬を集める。

落差のあるビッグサーブでエースを量産する

 下半身のバネが強調されたフォームが特徴の強烈なサーブは彼の最大の武器であり、エースを連発する威力はもちろんのこと、確率の高さや豊富な球種を兼ね備えるなど、すべての要素において平均的に高い質を誇り、相手が誰であれそう簡単にブレークを許すことは少ない。中でも得意とするコースはアドバンテージサイドのセンターであり、相当なスライス回転が効きながら200km/hを超えてくるサーブへの対応は困難を極める。フォアを中心とした3球目の攻めに自信を持っている分、リスクを冒してまでエースを狙う必要はないという点が高確率の1stを実現している要因といえ、サーブ自体の迫力では同じ2m級のイズナーやカルロビッチのような、相手に手も足も出させないほどの圧倒的な支配力には敵わないが、ある程度攻めのリターンを打たなければポイントにならないという部分での相手へのプレッシャーはアンダーソンに軍配が上がるだろう。課題としてはサービスフォームが前のめり気味で、高くジャンプして打つことにより着地位置がベースラインの2mほど前になるため、甘いリターンには素早く打点に入れるメリットがある反面、深いリターンが来るとどうしても下がりながらの対応となり、力のない返球になってしまう。トップ5級のプレーヤーは確実にベースライン際に鋭いリターンを返してくるため、彼らに勝つにはすべてのサーブをラインに乗せるくらいの技術と集中力が必要になってくる。

パワーショットの裏側で実は際立つ堅い守備と安定感

 ストロークは基本的に両サイドともに打点の高さを活かした上から押し込むようなフラット系のパワフルなショットでウィナーを狙うか、あるいはそれを打ち続けることで相手のミスを誘う戦術が主となる典型的なハードヒッタータイプ。しかし、最近は繋ぎや崩しの局面では軌道を上げて深さを出し、甘くなったところを豪快に強打するというメリハリのついたラリー戦でポイントを取るパターンが確立されてきたことが、トップ10入りの原動力となった。それどころか守備型ベースラインプレーヤーの分類でもあながち間違いではないほど今の彼は動きとブロック能力に長けている。もちろんパワフルな強打があるため攻撃力は高いが、攻撃的かといえば必ずしもそうではなく、実は守りの堅さがベースに変貌したことが強さの底上げに寄与したと見られる。そう思わせるもう1つの要素として、意外に跳ねてくる高いボールを叩くことが苦手で、逆にペースの落ちないインテンシティの高いラリーでの強さが際立つ印象もある。ショットの中ではフォアハンドを得意とし、クロス、ストレート、逆クロスいずれのコースにも同じようにラインを捉える強烈なボールを打ち込むことができる。彼が肩から頭にかけての高い打点から打ち下ろす打球は、ほとんど並のプレーヤーのスマッシュに近いと言っても過言ではなく、これは相手にとっては大きな脅威となっている。一方、バックハンドは抜群の安定感を武器に常に深さを出して相手の攻撃を跳ね返していく。右足を深く踏み込みすぎるあまり腰がスムーズに回らないためクロスコートに引っ張るショットに角度がつかない点や、低く滑ってくるボールを持ち上げきれずネットにかけるミスが多く見られる点など、技術的な要改善点はいくつかある。決定力の面でも向上の余地があるが、ただ基本的にフォアでウィナーを狙う布石を打つのがバックであることを考えれば、十分なクオリティを備えていると言ってよい。スライスの技術そのものは決して低くないものを持っており、その使い方を習得して強打の展開にアクセントを加えられるようにしたいところだ。

ボレーのフットワークやラケット捌きに課題あり

 深く強力なストロークで相手をベースライン後方に留めることができれば、ネットを取ることも多いが、その処理にはやや難があり、チャンスを作ってネットにつく展開でも、前へのフットワークやラケット捌きにぎこちなさが残るため、トップとの対戦では確実にポイントを重ねることができていない。

ビッグサーバーには十分すぎるリターン力の高さ

 スピードへの反応のみならず変化への対応にも優れるリターン力も水準以上だ。ストロークの安定度が増した最近の進化と軌を一にするように、タイミングを合わせて確実に強く返球する感覚が上がっており、長身プレーヤーあるいはビッグサーバーにありがちなお粗末さはまったくない。むしろリターンの質が高いゆえに相手から返ってくるタイミングも早くなり、体勢を崩した状態でのオープンコートの対処に苦慮している印象があるほどだ。

破壊力と粘り強さを兼備する隙のない実力

 2m超の大柄さからは想像もできないような守備力の持ち主で、「2mもあるのになぜこんなに返ってくるんだ⁉」と相手に思わせることができた時点で優位に立つ。対戦相手としてはそれが当たり前、それがアンダーソンだと思う必要がある。もちろん攻撃面の破壊力も健在で、いまやとにかく隙のない強豪との表現がぴったりと当てはまる。ストローク志向の強いビッグサーバーというのは比較的珍しいタイプといえ、メンタル的にも淡白さはない。性格が真面目すぎるがゆえに試合の勝負所で硬さが出る場面も多いが、テニスは年を経るにつれて着実にスケールアップしており、ビッグタイトル獲得はもう目前に迫っていると言っていいだろう。19年以降は肘に膝と怪我が重なり手術にも踏み切った影響で再び後退を余儀なくされたものの、キャリアそのものが遅咲きであるだけに今後まだまだ注目したいプレーヤーだ。