Peter Gojowczyk
生年月日: 1989.07.15
国籍: ドイツ
出身地: ミュンヘン(ドイツ)
身長: 188cm
体重: 83kg
利き手: 右
ウェア: Australian
シューズ: adidas
ラケット: HEAD Prestige MP
プロ転向: 2006
コーチ: Kristoffer Schimpf
地面に吸い付くような素早いフットワークから極力ボールに回転を与えず弾道の低いフラットショットを相手コートに次々と突き刺していく攻撃的なプレースタイルで近年ツアーレベルに定着しつつあるドイツの個性派プレーヤー。彼の名が初めて世界に知られるようになったのは14年、シーズン開幕戦のドーハで予選勝ち上がりからベスト4に入り、準決勝では当時No.1のナダルをも大いに苦しめた。発音の難しいゴヨブチックという名前、また特徴的なフォームから繰り出していく速射砲のようなストロークが注目の的となった。その後は基本的にチャレンジャーを主戦場としてきたが、17年メス(250)において再び予選からの勢いで勝ち進みツアー初優勝を飾るサプライズを提供した。条件としてはボールが滑るような速いサーフェスが最も彼のテニスが生きる環境である。
個性的なフォームから繰り出すフラットなストローク
彼の強さの源となるベースライン付近からのストロークは、両サイドともに早いタイミングで捉えて次々とストレートのコーナーを狙い、相手を展開スピードで振り切っていくのが基本パターン。各ショットにパワーがあるとはいえないが、回転量の少ない伸びやかな球種を深く打ち込み続けることでラリーを支配するのが特徴だ。真っすぐに伸びた左手のセットや早い段階で面が開き始める大きなテイクバック、ラケットヘッドを落とすことなくフラットに当てていくスイング、顔の横への振り抜きなど、型を決め込んだソフトテニスに近い一連のモーションが極めて特殊なフォアハンドを持つ。そこから放たれるショットは球の出所が読みづらいうえに、一撃で仕留められるだけの伸びやキレを誇り、最大の武器と言っていいだろう。相手のショットの威力をうまく利用してカウンターに転じる形を得意とし、しなりを効かせたスイングで外側から巻き込むクロスコートや打点を引きつけてピンポイントでコントロールする逆クロス気味のストレートは相手を大いに苦しめる。バックハンドも同様にコンパクトな振りで鋭いボールを飛ばす感覚に優れ、攻撃の機会を逃すまいと常に積極的に打ち込む姿勢を貫く。全体として非常に素直な球筋を操り、フォアとバックでもペースにそれほど差がないため、彼の独特なリズムに慣れられるとポイントを取る術を失ってしまうのが課題である。加えて、パワフルなスピンボールや緩急の変化などによって持ち味である直線的な攻撃が封じられた時の二の矢を備えておきたい。
1stのポイント能力が光るサーブ
綺麗なフラット軌道の速いサーブを軸にエースを含めたフリーポイントを確実に積み重ねるサーブも武器の1つとしている。決して派手さはない印象だが、特に1stのポイント獲得率は相手を問わず高い水準を維持しており、確率がもう少し改善すればより強力なサービスゲームとなるはずだ。
自分の土俵では相当な強さを発揮する曲者
とにかくボールの軌道を低く抑えることがテニス全体を流れるテーマとなったスタイルはシンプルとはいえツアー屈指の曲者と称するにふさわしい。打ち合いのペースが落ちたり、軌道が上がってしまうと強さが発揮されないという意味で弱点はあるが、相手とすればそこに付け込めずに彼のペースに引き擦り込まれると危険であり、今後も高速系サーフェスを中心に要注意のプレーヤーとして警戒される存在だろう。