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Jack Sock

ジャック・ソック

 生年月日: 1992.09.24 
 国籍:   アメリカ 
 出身地:  リンカン(アメリカ)
 身長:   191cm 
 体重:   88kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  NIKE 
 シューズ: NIKE 
 ラケット: Babolat Aero Strom 
 プロ転向: 2011 
 コーチ:  なし 

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 極端に厚いグリップから強烈に振り抜くことで繰り出されるフォアハンドの威力を軸にベースラインでのストローク戦を支配し、ネットへ詰める動きも絡めながら攻撃的なテニスを展開する、アメリカテニスの復権を担う忠賢プレーヤー。ビッグサーブとビッグフォアを武器とするテニスは典型的なアメリカンスタイルといえ、特に彼の場合は技術面も含めて同郷の憧れの存在であるロディックを彷彿とさせる。USTAのジュニアチャンピオンに2度輝き、10年には全米ジュニアのタイトルも獲得するなど、プロ転向前のキャリアは非常に華々しいものがあり、ツアー参戦後やや伸び悩みの気配も見えたが、臀部の手術を経て復帰しヒューストン(250)でツアー初優勝を記録した15年あたりからようやく躍進の基礎が整ってきた。パリでマスターズ初制覇を果たし、土壇場でATPファイナルズの出場権最終枠を射止めた17年終盤の奇跡的な逆転劇は、その絶大なインパクトから今後間違いなく語り草となっていくだろう。なお、ダブルスでは14年ウィンブルドンを制した経験があり、ポスピシルとのペアは瞬く間にブライアン兄弟の存在さえ脅かすような世界的なダブルスペアとなった。また、16年リオ五輪では男子ダブルスでジョンソンと組んで銅メダル、ミックスダブルスでマテック・サンズと組んで金メダルと輝かしい成績を残している。ハードコートを最も得意とするが、歴代のアメリカ人プレーヤーが苦手としてきたクレーでもほとんど変わらない強さを発揮できる。

相手に恐怖心すら植え付ける強烈スピンのフォアハンド

 リストの返しを最大限利用することでラケットヘッドを走らせ、強烈なスピンを生み出すフォアハンドは彼の最大の武器で、その回転量はナダルを凌駕するとも言われるように、揺れながら急激に落ちる軌道の変化とバウンド後に重く跳ね上がる球威によって相手をベースライン後方へ押し込んでいく。テイクバックからフォロースルーにかけて常にラケットが体の軸の近くを回っていくフォームが特徴で、インパクトはスピンに特化しているが、一方で鞭をまさしく上から下に叩きつけるようなスイング軌道でボールを捉えるため、ショットのスピードも相当なものがあり、ウィナーも量産することができる強みを持つ。とりわけ得意とするのは回り込みからの展開で、球際の強さに加えてスイングスピードがある分、間に合いそうにない体勢からでも逆クロスあるいはストレート方向にも鋭く通してくるのが脅威で、軌道を上げてしっかりと長い距離をとる深いショットとサービスライン付近に落ちる角度のついたショットを使い分けて甘いボールを引き出したうえで、豪快にトドメを刺すのが彼の形だ。また、フォアサイドからカウンター気味に放つ外からのダウンザラインも大きなポイント源となっている。

硬さが課題もスライスによる揺さぶりが巧妙なバックハンド

 バックハンドから放たれるショットはコンパクトなスイングでボールを切ってバックスピンをかけるスライスが軸となる。ラケットでボールを押して伸びを重視する球種ではなく、切るタイプの比較的スピードの遅いスライスを得意とするため、狙いは攻撃というよりもペースを落としながら相手の焦りを誘発することにある。圧倒的な破壊力を誇るフォアには打たせたくないが、バックに集めてもいやらしいスライスが延々と返ってくる。相手に対してこのような感覚を植え付けられるのがスライスを多用する戦術の大きな強みである。ただし、スピンの安定感に欠けるために仕方なくスライスで粘るという側面が強いことも事実で、バックのハードヒットから攻撃の展開を生み出すのは現状のクオリティでは難しいと言わざるを得ない。中でも強いスイングで捉える際に体の軸がぶれるのが精度に問題を抱える大きな要因となっている。それでもここ最近は攻撃の欲望を抑え安定感を出す戦略の下、あまりラケットを振らずにブロックして左右に打ち分ける返球能力を身につけつつあり、長いラリー戦に耐えられるようになってきている。また、苦手だからこそ強引にでも得意のフォアに回り込む姿勢を貫いているといえ、相手としてもソックのバックサイドに集めるのは躊躇わざるを得ない。相手に恐怖心すら与えるフォアハンドは紛れもなく特大の武器だが、それに頼るようではプレーが単調に終始してしまうため、バック側からのポイントパターン構築は今後も継続して取り組みたいところだ。

繊細な技術と豊かな発想が織りなす頭脳プレーの数々

 ネットプレーをはじめとするダブルスで培った繊細な技術が存分に散りばめられているのも魅力の1つだ。ネット際では経験と自信に裏打ちされた読みの良さが際立ち、パスのコースに先回りして早く的確なポジションを取れるからこそ、足元の難しい処理でも平然とドロップボレーで短くコントロールできる。一方で相手がネットに詰めてくれば、とりわけバックサイドからはドロップショットに近いタッチでネット前に緩く沈め、一度ボレーをさせてから次で確実に抜くという憎いまでに頭脳的な選択を実行してくる。また、ストローク戦の中にもドロップショットを非常に高い頻度で交ぜてくるが、エンターテイメント性を重視する性格的な側面もあってか、こちらは明確な戦術というよりは咄嗟の発想力や気分で繰り出している印象が強い。ゆえに裏目に出ることもあるが、逆に意外性は抜群で、こうしたギャンブル的な要素も含めてソックのテニスと言うべきだろう。

回転量の多いキック系統を基軸に据えるサーブ

 最速220km/hを超えるフラットサーブに加え、フォア同様に手首のスナップを駆使したスピン量の多いキックサーブを交えることで相手に的を絞らせないサーブも大きな武器である。ただ、跳ねるサーフェスでは回転系が効果的に機能するが、常にそれが球種の軸となっているため、本来であればもう少し増えてもおかしくないサービスポイントがあまり奪えていない。ダブルフォルトの多さという弱点もあり、状況に応じた配球や精度の面で改善の余地を残している。

明るく楽しいプレーを貫く個性を残しつつ緻密な戦術を磨きたい

 長身で一見すると筋肉質な身体は重そうに見えるが、大型プレーヤーの中では比較的俊敏に動けるタイプで、繊細なテクニックも水準以上。ストローク、サーブともに手首をこねるようなスイングが技術のベースにある点で怪我が心配されるが、今後さらに経験を積み重ねていけば、大きな大会で優勝を争うようなツアーの中心人物になれる素質は十分に持っている。現在はサーブとフォア強打の勢いが突出している分勝ててはいるが、相手に研究されるとやはり厳しさもある。また、とにかく明るく楽しんでプレーする個性はファンにとって魅力的だが、時に遊びすぎが原因で勝負が二の次になったり自ら集中力を切らしてしまうことがある。17年の大飛躍から急転直下、以降はスランプに陥り信じられないほどランキングも落としてしまっているが、再起を期すには思いつきではない戦術の緻密さを磨いて総合力を上げつつ、精神面ではアメリカの旗頭としての自覚と気概を胸に戦ってほしいものだ。